試しに聞いてみたら案外参考に為った・・・
おはようございます。
第144話投稿させて頂きます。
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「おーい。そろそろ再開のハグを終えて対策会議をしないか?前にも会っているんだし、そんなに久しぶりじゃないだろ?」
私が小父様とじゃれ合っているとフェルが少しだけ呆れた様子でそう言って来るのでしょうがなく小父様に頼んで降ろして貰う。
まぁ、平時だったら文句一つでも言うけど今は第五の対策の為に集まっているんだから仕方がないか・・・
「了解。ごめんね。待たせちゃって。それじゃあ、移動しようか?」
そう言って私達は会議へと入り第5の厄災に対する会議を行う。
まぁ、会議をすると言っても第五の厄災である幻惑に対しては散々皆で話し合った後だから簡単な確認だけなんだけどね・・・。
案の定、暁、白夜、黄昏から出す兵力や全員に精神抵抗の装備を配るという話をし、会議を終えてから私は一度黄昏の国に戻る準備を始める。
敵出現まで憤怒の国に残るフェル達が見送りに来てくれた時際に丁度良いので小父様やフェル達に狗神君に渡すプレゼントを相談してみる。
正直、異性に何かを上げた事が無いので少し不安が有るのだ。
「そう言えばさ、小父様やフェル達って身に着ける物で貰うとしたらどんなものが嬉しい?」
私の言葉にフェル達が揃って不思議そうに首を傾げる。
どうやら私から異性へのプレゼントという言葉が出て来て事が不思議で仕方がないらしい。
・・・小父様まで首を傾げるとはなんと失礼な
そんな事を考えているとオウルが相変わらず不思議そうにしながら口を開く。
「何だいきなり?誰か男にプレゼントでもするのか?」
「ほぉ?誰だ?相手はどの様な小僧だ?」
「クリストのおっさん。気持ちは分かるが取り敢えず殺気を抑えようぜ?まだ理由を聞いてねぇし、コハクの言う事だからな。多分、好きな相手だからとかじゃないと思うぞ」
私の言った事に対しオウルは理由を訊き、小父様は何故か殺気を出し、フェルはそんな小父様を宥めている。
小父様はなぜ殺気を出しているのだろうか?
そんな疑問を持ちながら私は何となく気まずくなりながらオウルの問いに答える。
「いや・・・狗神君に昨日ペンダントを貰ったから私も何か御礼を渡したいんだけどどんな物なら喜んでくれるのか分からなかったから聞いたんだけど・・・」
私が理由を言うとフェルとオウルは驚いた顔になり、小父様は些か殺気の濃度が上がったような気がする。
「なるほど・・・光の勇者の小僧か・・・」
「マジか・・・マジで男へのプレゼントか・・・しかも身近でつい最近まで弟子?とか言っていた奴にプレゼントか・・・」
「駄目だな・・・クリスト殿を止める手立てが無さそうだ」
全員が驚いている所に私は何となく居心地が悪くなり急いで話を逸らす。
「ごめん!やっぱりいいや‼フェル、一応大丈夫だと思うけど一応これを渡しておくね‼じゃあ、私は国に戻るから‼変な事を聞いてごめんね‼じゃあ、またね‼」
お互いに何か有った時の為にリング・オブ・トワイライトを指から外してフェルに投げて渡すと私は慌てて転移陣を起動させて黄昏の国に戻る。
まさか狗神君に何を送ればいいかを相談してあんな風に驚かれるとは思わなかった・・・駄目だこの質問は私を知っている人には質問できないな・・・くそ・・・ただのお礼なのに何でこんなに騒がれないといけないんだ‼
そんな事を考えながら私は急いで黄昏の国に戻る。薬師の格好に着替えてからルファルデ法国に戻ろうとする私の様子をメルビスが些か気にしている様子だったが向こうに戻ってからもやる事が有るので私は早々に国を出てルファルデ法国に戻った。
「くそ‼神殿の奴等ギルドに圧力を掛けてしばらく冒険者の活動を禁止するってどういう要件だよ‼」
ガンっと音を立ててジョッキを机に置く男を横目に見ながら私は周囲の声に耳を傾ける。
周りにいる冒険者からはどこもかしこも教会に対する不満の声が聞こえて来る。
どうやらメア達が冒険者達が勝手に動かない様にギルドに冒険者の活動を禁止してくれたようだ。取り敢えずこれで余計な連中が勝手に動く事も無いだろう。
そんな不満の声を聞きながら注文した料理に手を付けようすると唐突に右手を掴まれ声を掛けられる。
「よぉ~、姉ちゃん。一人かぁ?暇ならこっちに来て俺達に酌しろよぉ?」
声の駆けられた方に顔を向けると私の右腕を掴みながらニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべる冒険者風の男達が5人程私を囲み立っている。
男達が私の右腕をグイっと引っ張るその勢いの所為でローブの袖が捲り上げられ右腕の火傷痕が周囲に露わになる。
・・・なんだこいつ等?人が機嫌の悪い時に死にたいのか?
先程のフェル達とのやり取りで些か機嫌の悪い私が物騒な事を考えていると男達は火傷痕を見て顔を顰める。
「おいおい、ひでぇ火傷痕だが傷もんかよ」
「兄貴、右手だけかもしれやせんぜ。上玉ですし火傷痕だけで手放すのは惜しいですぜ」
「それもそうだな。うし、姉ちゃん。店から出るぜ~」
そう言って下卑た笑みを浮かべた男達は無理矢理私を立たせ店の外に引っ張り出そうとする。
期待はしていないが周囲の冒険者は見ているだけで止めようとする者はいない。
まぁ、良いさ。店から出たら私の憂さ晴らしに付き合って貰おう。
そんな事を思いながら引き摺られていると入り口付近から怒鳴り声が聞こえて来る。
「その子の手を離せこの糞野郎‼」
その言葉と同時に私の手を掴んでいたボスの男を誰かが殴り男は私の手を離し衝撃でカウンターに吹っ飛んで行く。
「リーフちゃん!こっちだ‼」
そんな声と共に私の右腕は再び誰かの手に掴まれる。
さっきの奴らと違うのは力任せに掴むのではなくこちらを気遣う様に握られている事だろうか。
取り敢えず言葉に従いそのまま走りだすと後ろから先程の男達の怒声が聞こえて来るが入り組んだ道に入ったりして何とか撒き、助けてくれた相手を見て少々驚く。
「リーフちゃん。大丈夫だったかい?」
息を整えながら笑顔でそう言う相手は意外にも月濱 純也だった。
その顔を見て私は慌ててリーフの仮面を被り月濱 純也にお礼を言う。
「月濱さん。助けてくれてありがとうございました。本当に助かりました」
頭を下げる私に月濱 純也は笑顔になりながら口を開く。
「そうか、無事で良かったよ。今は冒険者の連中が荒れているから一人でいると危ないよ。ワコちゃんはどうしたんだい?」
その問いに私は少しだけ考えてから答える。
「ワコさんとはちょっとだけ別行動をしているんです。皆さんが荒れている理由は神殿の皆さんが出した冒険者の活動禁止が理由ですよね・・・何が原因なのかご存じですか?」
私の言葉に月濱 純也は頷くと言葉を続ける
「あぁ、詳しくは言えないだけど今この国はとても危険な状況なんだ。本来なら冒険者全員を導入するべきなんだ。なのに神殿の連中は何を考えているのか俺の戦闘への参加も断って来たんだ」
苦々しい表情をした月濱 純也はこれ以上私にするべきではないと思ったのか唐突に話題を変えて来る。
「そう言えばリーフちゃんは何であんな所に居たんだい?」
「単純に食事の為に入ったんですけどまさかあんな目に会うとは思いませんでした・・・特区地区の件と言い今回の件と言い助けてくださって本当にありがとうございました」
掴まれた右腕を擦りながら改めてお礼を言うと月濱 純也は気になっていたのか私の右腕を見ながら口を開く。
「どういたしまして。ところで一つだけ聞きたいのだけどさっきアイツらが君の右腕を掴んでいた時に見えてしまったんだけどその腕の火傷痕はどうしたんだい?」
気づかわしげにそんな事を聞いて来る月濱 純也に私は笑顔を向けながら口を開く。
「昔、まだ未熟だったころに鍋の薬品を溢してしまって熱して有った液体だったのでこんな風に為っちゃたんですよ。今はもう痛みも無いのでそんな顔しないでください」
「そうか・・・大変だったね」
私の作り話に納得した様子に為った月濱 純也は少しだけ笑顔を作りそう言った。
・・・さて、そろそろ彼と別れても問題無いだろう。
そう思い私は再び笑顔を作り月濱 純也に声を掛ける。
「それでは、そろそろ行きますね。本当にありがとうございました」
「一人だと危険だから俺も宿まで付いて行こうか?」
「此処から近いので大丈夫です。そこまでご迷惑は掛けられませんよ」
「迷惑なんて思ってないよ。俺で出来る事なら何でも言ってよ」
その言葉でふと彼にも貰ったら嬉しいアクセサリーを聞いてみようと思い彼に問いかける。
「あ、それなら最後に一つだけ。月濱さんはどんなアクセサリーを貰ったら嬉しいですか?」
その問いに月濱 純也は少しだけ不思議そうな顔をして答える。
「誰かにプレゼントする物かな?それなら俺はロケットとか首から下げられる者が良いかな。それにくれた人の手作りの何かが有れば最高だね」
「ロケットですか・・・参考にします‼ありがとうございました」
そう言って早々に月濱 純也と別れる。
ロケットに手作りの何かか・・・案外参考に為ったかもしれない。
私は通信機を取りだすと宿に帰る道すがらリコリス商会に連絡を取り様々な効力を付与させたロケットを特注で作る様に指示を出した。
手作りの何かはクッキーでも焼いて彼に渡そう。
狗神君に渡す手作りの物を考えながら私は宿へ帰った。
ここまでの読了ありがとうございます。
次回から第五、第六の討伐戦になります。
次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。




