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第六の厄災対策会議

おはようございます。

第142話投稿させて頂きます。

今回からコハクの視点に戻ります。

が楽しんで頂けたら幸いです。

「いたたた・・・・全く妾の伴侶は容赦がないのぉ~。ただのスキンシップじゃろうに・・・」


 私に蹴り飛ばされた場所を擦りながらメア・・・この国の教皇、メアニア・フィア・ルファルデは戯言を抜かしながら立ち上がる。

 ちっ、やっぱり()れてなかったか・・・結構、本気で蹴り飛ばしたんだけどなぁ・・・体だけは丈夫な奴だ。


「ちっ、生きてやがったか・・・てか、誰が伴侶だ。誤解する人は居ないけど誤解されるだろ」


 唖然としている狗神君達を置いてきぼりにしたまま私は些か乱暴な口調でメアに喋りかけると彼女は何も無かったかのように喋り始める。


「むぅ、連れないのう。初めて会った時には魔物から救ってくれただけでなく数多居る怪我人の中で妾にだけ貴重な薬を使って命まで助けてくれた上に妾の事を部屋までエスコートまでしてくれて朝まで一緒に居てくれたと言うのに・・・」


 そう言って両手で頬を抑えクネクネと体をくねらせるメアに冷たい視線を向けてメアの言葉を否定する


「誤解を招く言い方をするな。スタンピードだったから助けたのは国全体だし、メアにエリクサーイミテーションを使ったのは君が一番重症だったからだし、他の人達にはポーションを配ったから君だけに薬を提供したわけじゃない。君を部屋まで運んで朝まで一緒に居たのは容態の変化に対応出来る様にしただけだ」

「う~ん。その冷たい対応もそそるの~。このまま妾の部屋に行くか?」


 冗談めかして言っているが目がマジなメアの一言に悪寒を感じながら私はあくまで平坦な声で話を続ける。

 さっきから置いてきぼりを喰らっている狗神君や他の皆からの視線がそろそろきつい。


「行かんわ。てか、こんな話はどうでも良いから対策会議をするから早くパーシヴァルさんやリヴァイさんを会議室に集めなさい。時間の無駄になるでしょ」

「ああ、(邪魔な)連中ならとっくの昔に会議室に押し込み済みじゃよ。どうせ会議するからお主等は待っとれと予め言っておいたのじゃ。勇者達も今から会議室に押し・・・

 案内しようと思っていた所じゃ」


 私の言葉に会議の準備はもう出来ているとサラッというメアに頭を抱えたくなる。

 こいつ・・・無駄に仕事が出来るから質が悪いんだよねぇ・・・普段、騒いだら誰かしら出て来る重鎮たちがこんだけ騒いでも一人も出てこないのはそれが理由だったか・・・てか、他の人達をほっとき過ぎだろ・・・


「じゃあ、会議室に行こう。いい加減に他の人達を待たせるのは悪い。皆も付いて来てくれる?」

「あ、あぁ。分かった」


 未だ戸惑った様子の皆を連れて私達は一度会議室に移動する事になった。


「コハク殿。お久しぶりですなぁ~。メアニア様がまたご迷惑をお掛けしましたかな?」


 会議室に入って早々に枢機卿であるリヴァイさんが開口一番そんな事を言う。

 リヴァイさんが私の本名を口にした事が意外だったのか狗神君達は些か驚いた様な顔をしている。

 後で説明しないといけないかな?

 そんな事を考えながらリヴァイさん達に向かって口を開く。


「ええ、色々と面倒でしたよ。分かっているなら何とかしてください」

「それは無理ですな」

「無理ですね」


 さらりと私の文句を無理の一言で流すリヴァイさんと聖騎士長のパーシヴァルさんを仮面の下で睨みながら私達は進められた席に座り集められた全員を見てから本題に入る。


「色々と言いたい事は有りますがお待たせしました。簡単ではありますが第六の厄災に付いて話をしましょう」


 その一言に先程まで笑っていた皆は気を引き締めた顔になる。

 全員の空気が真面目な物に変わったのを確認してから私は第五、第六の厄災の特徴とその二体が同時に出現する事を話す。


「う~む。何とも厄介な状態でありますなぁ・・・」


 一通りの説明を終えた後、リヴァイさんは顔を顰めながらそんな事を言う。


「使える戦力は冒険者ギルドに募集を掛けるとしても何人集まる事か・・・癪では有るがやはり火の勇者に援軍を頼んだ方が良いのですかね?」


 パーシヴァルさんも顔を顰めたまま一番無い選択を口にするので私は溜息を吐きながらその選択を否定する。


「残念ですが冒険者ギルドも火の勇者も当てになりません。むしろ私は、冒険者ギルドは絶対今回の戦いに参加させない様に釘を打って貰う様に言う予定でした。それと、第六の厄災についてはそれほど心配する必要は有りません」

「どういう意味じゃ?」


 私の言葉に教皇モードに切り替わっているメアが詳しい説明を求める。


「奴らは最初10体くらいで私達の前に現れるけど奴には本体が居る。奴らは切れば切っただけ数が増える連中だ。今回は第五の厄災も同時に出現するから私の国の兵もこの国には派遣できないけど私は此処にいるからね。皆には私が本体を見つけるまで奴を殺さない様に相手をして貰いたいんだ。それだけなら余計な邪魔が入らなければ聖騎士と勇者の皆で何とか出来ると思う。聖騎士の中には女神の贈り物を持った人も居るでしょ?」


 一通りの説明を終えてメアに確認を取るとメアは頷いてから私の質問に答える。


「なるほどのぉ・・・女神の贈り物に選ばれた聖騎士は確か10人程居たはずじゃの・・・わかった。早急に冒険者ギルドに通達を出しておこうかのう・・・さて、今回はこんな所で会議を終えるとしようかの。あまり長く話しては皆疲れてしまうからの」


 メアのその一言で今回の会議は終える事になり私達会議室を出る。


「ちょっと待たぬかコハク‼泊って行かぬのか⁉」


 会議を終え、大神殿を後にしようとする私達に驚いた様に声を掛けて来る。後ろではマカさんが右手で額を抑えながら溜息を吐いている。

 そんなメアに私は仮面の下でジトっとした目を向けながら答える。


「大神殿に泊まったら安眠なんて出来る訳が無いからね。皆にも予め宿を取る様に言っておいたしそっちに戻るよ」


 私の言葉にメアはその場で地団駄を踏みながら文句を言う。


「ぬう・・・やはりユメナ殿とヒカリ殿に宿を取るように言っていたのはお主じゃったか‼酷いではないか!」

「酷くない。君がそんなだから安心できないんだろうが。マカさんも気を付けてね」

「私は知っているので大丈夫です。御心配ありがとうございます」


 そんなマカさんの一言を最後に私達は大神殿を後にした。


「で?コハクちゃん。結局、メアニア様とはどんな間柄なの?」


 宿に向かう途中の道で夢菜さんが皆を代表して聞いて来る。

 その言葉に私は些か頭痛のする頭を抑えながら彼女との事を皆に説明をする為に口を開いた。


ここまでの読了ありがとうございます。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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