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宙を舞う教皇

おはようございます。

第141話投稿させて頂きます。

今回も和登の視点です。

今回は少し短めですが楽しんで頂けたら幸いです。

 ゴディニさん達が去ったのを確認してから俺も急いで店を出てコハクを追う。

 店を出て少しした所でコハクが待っていたので側まで走る。

 近くまで来るとコハクはいつも通りの様子で口を開く。


「最後の方は彼等の相手をさせてしまってごめんね。何か変な事言われなかった?」


 歩きながら聞いて来るコハクに俺は先に言われた事は何となく伏せて話す。


「あー、女装が似合っているから転職するなら声を掛けてくれって言われたよ」

「・・・行かないよね?」

「行かないよ‼」


 一瞬心配そうな顔でそう言うコハクに直ぐに否定の言葉を告げるとコハクはクスクスと笑いながら言葉を続ける。


「冗談だよ。他には何か言われた?」

「・・・別に何も言われてないよ」

「そっか、じゃあそろそろ着替えて大神殿に向かおうか?」

「そうだね」


 恐らく別に何かを言われた事を察していながらも追及されなかったのでコハクのその言葉に同意し、路地裏に入り変装を解いてから合流し大神殿に向かう。

 神殿に向かう途中でちょっとした物を思い出し、コハクに声を掛け鞄の中からゴディニさん達の登場ですっかり忘れていた小袋を取り出しコハクに渡す。


「これは?」


 いつもの黒コートに仮面という衣装に身を包んだ頭を傾げながら小袋を受け取り不思議そうに問いかけて来る。

 些か気恥ずかしくなりながらも答える。


「あー、何と言うか今日のお礼。露店で似合いそうだったから良ければ使ってよ」

「開けても良い?」

「もちろん」


 控えめにそう聞いて来るコハクに頷いて答えるとコハクは手袋を外し、丁寧に小袋を開いて中身を取り出す。

 袋から取り出したのは二種類の金属で月と龍に乗った少女を模ったペンダントだ。


「これは・・・」

「なんかこの国の恩人の子がモデルになんだってさ。コハクも龍に乗っているしコハクに似合うかなと思ってさ」


 手の平に乗せたペンダントをジッと見ているコハクにお店の人に教えて貰った事を話すとコハクは何処となく気まずそうな雰囲気を醸しながら口を開く。


「あ~、そのモデルって多分私だね・・・。前にマカさんが言ってたんだけどこの国を魔物のスタンピードから助けた事が有るからね・・・その他にもこの国の政にもチョイっと首を突っ込んでいたりするんだよねぇ・・・だからここではコユキとして外を歩けないと言うか何というか・・・」

「ご、ごめん。そう言えば確かにマカがそう言ってた記憶がある。ごめん‼それ返して貰っても良いかな?」


 コハクの言葉に確かに出会ったばかりの頃にマカが興奮しながら言っていた事を思い出す。

 知らなかった事とは言え本人に本人モチーフのお土産なんて気まずいにも程がある。

 慌てて手の平の上のペンダントを回収しようとすると伸ばした俺の手をひょいっと避けて少しだけ揶揄う様にコハクが話し出す。


「え?嫌だよ?私が貰ったからもう私の物だよ~」


 そのまま直ぐにアイテムボックスの中に仕舞い込みスタスタと歩き出す。


「あ、そうだ。今度は私からも何か送らせて貰うから楽しみにしていてよ」


 その言葉で俺はコハクからペンダントを返して貰う事を諦め些か上機嫌に為ったように見えるコハクの後ろを追って大神殿に向かって歩き出した。

 もう少し早く思い出して渡すべきだったか・・・

 そんなやり取りをして少ししてから俺達は十字の右上に円の四分の一の扇方がくっついた様なシンボルの付いた立派な建物の前に着いた。

 そう言えばこのシンボルってこの国の教会全部に付いていたけどどんな意味が有るのかな?今度コハクに聞いてみるか・・・

 そんな事を考えていると前を歩いていたコハクが立ち止まり口を開く。


「他の皆にはもう連絡を入れて有るから皆待ってると思うよ。それと狗神君以外の皆には事前に言っておいたんだけど教皇であるメアニアはすごく癖の強い人だから心して接してね」


 最後に何やら不穏な事を言って神殿の奥に進むコハクの後を追って歩き神官や警備の聖騎士に何回か話をした後に奥の部屋へと進んでいく。

 豪奢な扉の前に立ちコハクがドアノブに手を伸ばすのと同時に扉の向こうから何かが駆けて来るような足音がして来る。

 その足音を聞くとコハクは急いでドアノブから手を離し扉から距離を取る。

 扉から距離を取った瞬間にドアがバンっと大きな音を立てて開け放たれ法衣を纏った一人の少女が弾丸の様な勢いでコハクに避ける隙を与えずに抱き着き喋り出す。


「コハクーーーー‼‼‼久しぶりじゃなぁーーー‼他の勇者殿達に聞いたが男と数日間、寝食を共にしたんじゃろ?お主の貞操は無事かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?????」


 抱き付いた体制からコハクの胸などをコートの上からベタベタと触りながら少女は捲し立てる様に喋っている。


「メア!何もなかったから取り敢えず私の身体をベタベタ触るのはやめて貰おうか?」


 心底うざったそうにそう言うコハクを無視しながら少女は尚もコハクの身体を触りながら口を開く。


「嫌じゃ、お主の貞操は妾が奪うと決めているのじゃ‼どこの馬の骨ともわからぬ奴に奪われるのなら今この場で奪うのみじゃ‼ぐふぅ‼」


 そう言った瞬間に法衣を纏った少女は宙を舞い元居た部屋へと吹っ飛んで行く。

 コハクの方を見る何かを蹴飛ばした姿勢のまま少女の飛んで行った方を見ながら唸る様な声で一言喋る。


「やめろと言っただろうがこのアホ教皇」


 部屋の中を見ると乾や他の皆が唖然とした顔で伸びている少女を見ていた。

 ・・・あれが教皇かよ・・・この国、大丈夫か・・・?


此処までの読了ありがとうございます。

次回はコハクの視点に戻ります。次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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