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逃げてきた子供達

こんばんは、第14話を投稿させていただきます。

楽しんでいただけたら幸いです

 失敗しました…

 まさかスカウトの対象の少女が不在だったとは…

 しょうがありません、森にでも行って魔物相手に前に作った魔法の試し打ちでもして時間を潰しましょう。



 ・・・今日の私は本当に付いていない。森の中に入って約30分、長閑な村すぎてここまで魔物と一切遭遇しないとは、誤算でした。


「索敵スキルにも何も引っ掛かりませんねぇ~。はぁ、出直しますか…」


 魔物と遭遇するのを諦め村に戻ろうとしていると索敵スキルに反応が有りました。

 この感じは魔物ではありませんねぇ。なんでしょうか?

 警戒をしながら草むらから何かが出てくるのを待っていると子供の声が聞こえてきました。


「はぁ、はぁ、急げ、あともう少しだ…」

「テト、ユユがもう限界だよ。急ぐのは分かるけど少し休まないと」

「そんなこと言ってる場合かよ!コハクは今もやばい状態なんだぞ!!」

「分かってる!でも、ここで無理をして肝心なことが伝えられなければ意味がない!」

「はぁはぁ、ごめん…二人とも…ごめん…」


 おやおや?何やら切迫した感じですねぇ、男の子二人は喧嘩しだしそうな勢いですし、女の子の方は泣き出してしまいそうな感じですねぇ~。

 というか、さっきコハクと言っていたような気がしますがひょっとすると件の少女の事でしょうか?これはこの子供達に少し話を聞いてみた方がよさそうですね。


「もし、ちょっとよろしいですか?」

「誰だ!?」


 私の声に喧嘩をしそうだった二人が一気に警戒態勢に入り女の子を後ろに庇いました。

 おぉ!良い反応ですねぇ、女の子を後ろに庇う所もとても良いですねぇ~。


「あぁ、すみません。驚かせてしまいましたか?安心してください。私は、怪しい者ではありません。こう見えて魔法学校の教師をさせて貰っています。ここには、鬼のような学園長の命令である少女をスカウトに来ました。」

「すみません。何か証明になる物は有りますか?」


 いまだに警戒中の子供達に笑顔で応対していると赤茶色の髪の少年が証拠を出せと言ってきました。なかなかに警戒心が強いですねぇ。


「証明になる物ですか?ふむ、今すぐに出せるものはこれぐらいでしょうかねぇ」


 ポケットから校章彫られておりそこに黒色、茶色、水色の小さな魔石が三つ嵌った徽章を取り出し子供達に見せてあげると今度は黄色い髪の少年が声を上げました。


「あぁ!それ俺も持ってる!学校に合格した時に貰ったやつだ!」


 そう言うと少年はズボンのポケットから黄色い魔石の嵌った徽章を取り出しました。

 おぉ!意外な所に救世主が居ました。そうですかこの子が件の特待生でしたか、実際に顔を見るのは初めてですねぇ。


「この徽章イリア魔法騎士学校の教員と生徒が皆持っている物です。魔石が嵌っており、生徒の物に近づけると石が光ります。これ一つで結構値が張るものですが、特待生の子には学校から支給されるんですねぇ。では、実際に近づけてみましょう。私の持っている物が本物なら彼の徽章に近づければ石が光ります。」


 そう言って私は少年の持っている徽章に自分の徽章を近づけて実際に光る所を見せてあげると三人ともやっと納得してくれたようでした。さて、何が有ったのかを聞き出さなければいけませんねぇ・・・


「では、証明になる物を確認していただいた所で改めて聞きますが、なぜそんなに急いでいるのですか?」


 私の言葉に子供達はしまった!というような顔をして口々に事情を説明し始めました。

 はいはい、一人ずつ冷静に話をしてください。私はいっぺんには聞き取れませんよぉ。

 三人を落ち着かせて話を聞くとどうやら森の奥にブラッドベアが居り更にイビルベアまで居たとの事です。

 そして、件の少女コハクが一人残って様子を窺っているとの事です。


「ふむ、非常にまずい状況ですね。とにかく今は出来ることから始めましょう。私はこのままコハクさんの所に向かいます。えっと、テト君でしたっけ?君は肉体強化を使って村にこの事を伝えに行ってください。ムウ君とユユさんは、今は、周りに魔物も居ませんのでひとまず此処で休憩を取ってから村に向かってください。反論は受け付けません。今は時間が惜しい言うとおりにしてください」


 何か言いたげな少年達に指示を出し、テト君が強化魔法を使い村に向かって駆けて行き、残りの二人が木の陰に隠れたのを確認してから私も全速力で彼らが走ってきた道を駆け抜けます。

 残った少女が生きているか分かりませんがおそらく生存は絶望的でしょう・・・

 索敵スキルを発動させ、そんな事を考えながら私は森の奥に進んで行きました。


次回もこの先生の視点です。

投稿までしばしお待ちください

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