魔物討伐
おはようございます。
第125話投稿させて頂きます。
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また、誤字脱字報告もありがとうございます。
今回は和登視点になります。
楽しんで頂けたら幸いです。
「で?どんな心境であんなに優しくコハクの本音を引き出したんだ?お前、普段は女子にあんなに優しくしないだろ?」
コハク達と別れ、イレギュラーな行動をしだした魔物の所に向かう途中で隣に座る乾が何やらニヤニヤと笑みを浮かべながら聞いて来る。コイツとは幼稚園ぐらいから親の仕事の都合で転校するまでの小学校4年生までの付き合いで高校生に為ってから再会したけどニヤニヤ笑いなのに厭らしくないのは相変わらず器用だと思う。
「別に普通だろ?人を女の子が泣いていても素通りする鬼畜みたいな言い方をするな」
「「いやいや、お前(先輩)はそういう奴(人)でしょう」」
俺の言葉に乾だけじゃなく戌夜まで声を上げよった。なんと失礼な‼
反論の為に口を開こうとすると俺より先に戌夜が口を開く。
「確か同じ2年生のミスにも選ばれた美人な先輩を手酷く振ったんですよね。泣いている先輩に「それじゃ」の一言で去って行ったって聞きました。一年生の間でも有名ですよ。」
おい‼尾ひれに背びれ胸びれまで付いているじゃねぇか‼あの腹黒女、何言ってくれやがんだ‼そもそも一年にまで話す様な事か‼何考えてやがんだ‼
思わずムッとした顔で戌夜の言っていた事を否定しようとすると今度は乾が更に悪乗りして口を開く。
「他にも校外学習の時に女子を一喝したりとか女子からの振りをスルーとかバレンタインのチョコ突っ返し事件とか色々やってるだろ?女子の間じゃ有名だぜ?触らぬ狗神に祟り無しってな」
ちょ・・・本当にマジでヤメテ‼さっきから早乙女さん達の視線がすごく痛い・・・
若干の居心地の悪さを感じながら俺は乾と戌夜に唸り声の様な声を上げながら反論する。
最早、女性陣の目がチベットスナギツネみたいに細いんだけど・・・
大体、今から大量の魔物を討伐に行くって言うのに何でこんな話になってるんだよ・・・
「・・・お前等、噂や一部の行動だけで好き勝手言ってくれるじゃねぇか。てか、乾は事情を全部知ってるだろ‼」
不機嫌そうに乾に聞くと当の本人は些かやり過ぎたと言わんばかりの顔で口を開く。
「あ~、まぁなぁ~、すまん。少し緊張してたみたいだ・・・確かに俺でも彼女面のストーカー勘違い女や校外学習の自由行動の見学先にゲーセンを推したりとか散々騒いだ挙句にお姫様抱っこしろみたいな振りとか爪や香水や髪、酷いとこだと血入りのチョコなんて送られたら冷たい対応にもなるわ・・・悪ふざけが過ぎた本当にすまなかった」
乾は本当に申し訳なさそうに誤解を招く言い方をしたことを謝りついでに先程の発言の真実を口にする。
全く、緊張しているのは分かるけど弁解するならおちょくるな‼
俺が呆れていると湊瀬さんと早乙女さん、あとついでに戌夜から驚愕の声が上がる。
「「「えっ⁉そんな事実が有ったんですか⁉」」」
おい‼後輩‘s‼そんなに驚く事か⁉少なくとも湊瀬さんと早乙女さんにはそんな態度取ってないでしょう?
密かに三人の態度にショックを受けていると乾が頼んでもいない説明の為に口を開く。
「こいつ顔が良いだろ?ちょっと優しくすると勘違いする女の子が多いんだよ。此処では個人名は伏せるけどミスに選ばれた奴も前にガキの頃にいじめっ子から庇って貰ったって思ってこいつに付き纏っているんだよ。本当は別の子を助ける為に割り込んだんだけどな。コイツと高校で再会した時なんて滅茶苦茶うっさかったんだぜ」
「「「うわぁ・・・・」」」
乾の説明に戌夜達の視線が何となく同情的な物に変わる。同情的目は勘弁して貰いたいけど話は逸らせたし、しょうがないか・・・
そんな事を考えていると通信機にネージュから通信が入って来る。
『ゆうしゃ達、おしゃべりも良いけどそろそろ敵が見える頃だよ』
その言葉に全員で辺りを見回すと黒い塊が移動しているのを見て全員で表情を引き締めるとネージュの言葉に続けて通信機から別の人の声が聞こえて来る。
『勇者様方、聞こえますか?私は魔王軍斥候部隊の副隊長をしています。フュッテと言います。聞こえたら応答をお願いします』
「聞こえました。俺は光の勇者に選ばれた狗神と言います。現状の説明をお願いします」
通信機から聞こえて来たフュッテさんの声に代表して答え現状の確認をし、指示を仰ぐ。
『私達は今、勇者様方が魔物の影を確認した場所から陸路で2時間ほどの場所に陣を構え迎撃の準備をしています。ネージュなら数十分の距離なので我々と合流してください』
通信を聞き湊瀬さんはネージュに指示を出し、通信機の案内に従い合流地に向かう。
一体、どうやって俺達の位置を確認しているのだろうか・・・まぁ、斥候部隊だから何処からかネージュを確認して指示をくれているのだろう。
数十分後、俺達は指示された合流地点でフュッテさん達斥候部隊の人達と合流する。
「勇者様方、此方に来ていただきありがとうございます。私は先程通信をさせて頂いたフュッテと申します」
狐の獣人の男の人がお辞儀をしながら出迎えてくれ、今後の行動を話し合った。
とりあえず、現状で設置できるだけわなを設置し、皆で挑む事に為った。
時間一杯、罠を仕掛けて待っていると土煙を上げながら魔物が近づいて来るのが見える。
土煙を上げながら近づいて来る先頭の魔物が罠に掛かったのを合図に俺達は武器を構えて魔物に切り掛かる。
悪いけどお前達に構っている時間は無い‼さっさと終わらせて貰うぞ‼
「我を守りし光の精霊よ、我が剣に宿り敵を打ち滅ぼす力を我に与えよ《ルクス・エンハンスアーマメント》」
この数日でコハクと練習し何とか使えるレベルまで仕上げた魔法を使い武器を強化し、これまたやっと最近使えるようになった能力を使う為に次の言葉を口にする。
「飛べ‼バルドル‼」
その言葉と同時に魔法で強化され淡い光に包まれている《バルドル》の刀身が九つに別れ空中に浮かび魔物の群れに向かって飛び敵を切り裂いていく。
時々飛んでくる刃を器用に避ける魔物も居るがそいつに向かって俺はコハクと同じ様に追加の術式を魔法に与えてやる
「《サイプレス・サーヴァント》」
魔法を覚える際にこれまたついでと言って覚えさせられた第三の厄災にくっついていた眷属を元に作られた魔法を発動させると光の槍が避けた魔物を追尾しその体を貫いた。
そこまで行動した所で他の皆を見る。乾達はスリーマンセルの形を取り上手く魔物を翻弄しながら戦っているのが目に入る。
湊瀬さんはネージュに乗り空の上からサイプレス戦でも見せた高火力の攻撃をお見舞いしている。
俺達だって弱いままじゃない‼このまま押し切らせて貰うぞ‼
そんな事を思いながら俺は再び魔物との戦いに意識を戻した。
此処までの読了ありがとうございます。
少しご報告ですが私の私生活の問題で二週間程、投稿をお休みさせて頂きます。
読んで頂いている所を申し訳ありません。ご了承の程をよろしくお願いいたします。
投稿再開は4/18の予定です。




