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魔力を感じる練習をしてみる?

おはようございます。第120話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とても励みになります。

また、誤字脱字報告もありがとうございます。

最初の☆の後は和登視点、二個目の☆の後は三人称視点の練習をさせて頂いてます。

楽しんで頂けたら幸いです。

 皆と話をした後、夢菜さんからは龍に乗る練習に付き合ってほしいというお願いをされ明日からネージュに付き合って貰って練習する約束をしてからルガディン侯爵に紹介された宿の部屋でリコリス商店の各店舗から私の持っている簡易の転移陣に送られてきた嫌気香を整理する。嫌気薬は魔物が避ける効果が有るので冒険者にも需要が有るから店にも常備しているので集めるのは簡単だった。後はオウルから好気薬が送られてくるのを待つだけだ。

 そんな事を思っていると部屋のドアがノックされる。


「どうぞ、鍵は開いているよ」


 誰がドアの前に居るのかは、予想が付いているので私は薬の整理を行いながら扉に向かって声を掛ける。


「お邪魔します」


 ドアを開けて予想通り狗神君が控えめに入って来たので私は手を止めて彼に向き合う。


「お茶を入れるからそこに座っていて」

「あ、うん、ありがとう」


 部屋にある椅子に狗神君が座ったのを確認し、アイテムボックスからもう一人分のティーセットを取り出し、ティーポットら狗神君の分のお茶を入れる。

 ふと、フェルに言われた男の子を警戒しなさいと言う言葉が頭に浮かぶ。

 まぁ、要件は何となく分かっているし、大丈夫でしょう。そもそも、フェル達が思うような感情はお互いに抱いてない。


「はい、熱いから気を付けてね」

「うん、ありがとう」


 狗神君がそう言って受け取ったのを確認し私はベッドの方に行きベッドに腰掛ける。


「それで?何か話したい事が有るんだよね?」


 仮面とフードを外してそう尋ねて淹れ直したお茶に口を着けながら聞くと狗神君はコクンと頷き口を開く。


「コハクが居ない間に第三王子の婚約者が接近して来たんだ。気にしていたみたいだから一応、報告をしておこうと思ってね」


 そう言うと狗神君は警戒していたけどいつの間にか警戒度が下がっていた事、致命的な話はしなかった事、シレネたちの仲間にならないかと誘われてそれを断った事、他の勇者達に注意喚起してくれた事などを話してくれた。

 う~む、話術や態度、話しやすい姿勢で相手の懐に入るタイプだったか・・・念のために渡した精神抵抗の指輪は無駄になったな・・・

 まぁ、それはそうと狗神君には言っておかないといけない事が有るよね。


「狗神君、教えてくれてありがとう。それと、私の事を信じてくれてありがとう」


 私が笑いながらお礼を言うと狗神君も笑いながら頷いてくれた。

 さて、これで話は終わりかなっと思った所で狗神君は何かを思い出した様な顔になり口を開く。


「あ、そうだ。なぁ、コハク、体内の魔力の循環ってどうやって感じれば良いんだ?」

「どうしたの?急に?」


 狗神君の唐突な質問に私は些か困惑しながら事情を聞くと要するに師匠の特別講義を聞いて分かりやすかったけど未だに魔法は使えずに師匠に聞いた所、理論で分からないのなら後は感覚と言われたらしい。因みに一緒に講義を受けて居た乾君と夢菜さんは理論の説明で魔法が発動できたらしい。


「あ~、狗神君は理論感覚型だったか・・・これはまた面倒くさい・・・」


 話を聞いて私は思わずそう口にしてしまう。


「理論感覚型?」


 私の言葉を聞き狗神君は不思議そうに首を傾げて私の言葉を繰り返す。


「えっとね。魔法を使う人間は感覚型、理論型、感覚理論型、理論感覚型の4つのタイプに分かれるんだ」


 そう言って私はそれぞれの対応の説明を狗神君にする。

 感覚型・・・どんな魔法をこれぐらいの威力で放つと言う様に原理や威力、規模、魔力の使用量を全てイメージ力で魔法を行使するタイプ

 理論型・・・放つ魔法の規模やどの様な作用を起こすかどのぐらいの魔力を使うかどの様な原理で起るかを全て術式に当てはめて魔法を行使するタイプ

 感覚理論型・・・主な所は感覚型と同じだが、一度発動させた術式に別の術式をぶち込むなど滅茶苦茶する。

 理論感覚型・・・放つ魔法の規模やどの様な作用を起こすかどの様な原理で起るかを術式で決めて自分の中の魔力の使用量等を感覚で扱うタイプ。自分の中の魔力を感覚によってコントロールする為、自分の体を巡っている魔力を掴んでいないと魔法の発動は難しい。

 っと以上の説明を狗神君に教えると彼は溜息を一つ吐き

 口を開く。


「・・・俺って何にもいい所の無さそうなタイプだったんだな・・・」


 狗神君の呟きに私は手を振ってその言葉を否定する。


「いや、理論感覚型は治癒魔法を使う人とかヒールを使う人達に多いんだよ。治療にどれぐらいの魔力を使ってあげれば良いかを感覚で掴んでいるからね。無駄が無いし早いんだよ」


 その言葉を聞いた後で狗神君は少しだけ笑った後に口を開く。


「そうなんだ・・・あと、感覚理論型の説明がかなりひどい気がするんだけど・・・」

「私は感覚理論型なんだけど私を見て貰っていたら適格だと思うよ・・・」


 実際、デクリノミアに滅茶苦茶だと言われているし、私も滅茶苦茶やっている自覚が有るからねぇ・・・この説明が一番簡単なんだよね・・・

 私は苦笑しながら口を開く。


「さて、じゃあ、本題だけど早速、魔力を循環させる練習をしてみる?」


 空になったカップを横に置いてから私は首を傾げて狗神君にそう聞いた。


 ☆


「さて、じゃあ、本題だけど早速、魔力を循環させる練習をしてみる」

「あ、うん。よろしくお願いします」


 そう言いながらベッドの上で首を傾げるコハクを見ながら俺は今更ながらにちょっとこの状態ヤバくね?等と考えながら返事をする。

 いや、今までだって何回か夜にコハクの部屋を訪ねたし、何なら今の黒コートよりも女の子っぽい恰好の時にも押しかけているのに今更か・・・先日、乾に変な事を聞かれたせいで変に意識したか?


「準備出来た?」

「うわ‼」

「大丈夫?」


 そんな事を考えていると唐突にコハクの顔が目の前にあって思わず声を上げて驚く。

 コハクが疑問顔なのが少しだけ、腹が立ってしまった・・・


「だ、大丈夫だよ・・・てか、何でこんなに近づいて来ているんだ?」

「これから練習するのに必要だからだよ?」


 そう言うとコハクは唐突に俺の両手を取る。

 不謹慎ながら自分より小さい手に少しだけドキドキしてしまう。


「今から私が君の魔力を手を通して吸い上げてから君に戻して循環させるからその感覚をしっかり感じて見てね」


 そう言うと握られた右手から何か温かい物が流れ出る感覚がして今度は左手から暖かい感覚が流れ込み全身にソレが広がって行く。


「右手から暖かい何かが出てソレが左手から戻っているのが分かる?」

「あぁ、ソレが徐々に全身に広がってる」


 今、現在感じていることそのままコハクが聞いてきたのでついでに全身が温かくなあっている事も告げる。


「その感覚が、体の中を魔力が巡っているって証拠だから忘れない様にしてね。魔法を使う時には今、右手で感じている様な感覚が重要だって覚えておけば魔法が使いやすくなると思うよ。じゃあ、今日はこれぐらいにしようか?」


 薄っすらと額に汗を掻いて来た頃にそんな言葉と共に両手が離される。

 離された手の感触を少し名残惜しく思いながら額の汗を拭う。


「明日は剣の稽古の後に魔法を放つ練習もしようか?魔力の循環は明日もこの時間で良い?」

「うん、ありがとう。よろしく頼むよ・・・・明日もこれをやるの⁉」


 コハクの言葉にお礼を言うが最後の言葉に俺は少し素っ頓狂な声を上げてしまった。

 そんな俺にコハクはほんの少しだけ呆れながら口を開く。


「一回だけで完全に感覚が掴めたら世の中、苦労しないよ。何回か魔力を放つ練習と魔力の循環を練習してやっと感覚が掴めるんだよ?だから明日もここに来てね」


 こうして俺の日課に少しだけ他人に見られると恥ずかしい練習が追加されたのだった。


 ☆


 会議が終わった後の部屋を出た神経質そうな男がカツカツと靴音を鳴らしながら機嫌が悪そうに歩いて行く。

 この国の騎士団の副団長であるハイネックは爪を噛みながら先程の会議の内容を思い出し、一人愚痴る。


「くそ・・・王も騎士団長も首都を危険に晒すような作戦を容認するとは何を考えているのか・・・そもそも我が国を守るのに魔族の力を借りるなど何と情けない・・・」


 大した解決案も提示できなかった自分の事は棚に上げて先程の会議で魔王の意見に賛成していた王や騎士団長達の顔を思い浮かべて手当たり次第に物に当たりたくなる。


「あの、ハイネック様。少しお話宜しいでしょうか?」


 そんなハイネックの後から控えめな女の声が聞こえて来て何事かと振り向く。


「これは、これは、シレネ様。私に何か御用ですか?」


 振り向くとそこには第三王子の婚約者である淡い水色の髪をツーサイドアップにした可憐な少女、シレネ・アルネイト嬢が立っている。

 シレネは優雅に礼をしてから口を開く。


「急にお声掛けしてしまい申し訳ございません。ハイネック様、少しお聞きしたい事が有ったのでお声を掛けさせていただきました。少し宜しいですか?」

「えぇ、構いませんよ」

「ここでは少しお聞きしづらい事ですので少し移動しましょう」


 そう言われシレネとハイネックは外の人気の少ない場所に移動する。

 木の下のベンチに腰掛け、ハイネックはシレネに聞きたい事は何かと促すと彼女はその美しい顔に不安そうな色を混ぜて口を開く。


「あの・・・今日の会議では何をお話されたのですか?私達、クライト様と親しくさせていただいている人間は誰も今日の会議には出席出来なかったので教えて頂けないかと思いまして・・・」


 弱々しく庇護欲を掻き立てられるような彼女の言葉にハイネックはシレネを安心させるような声音で会議の内容を喋ってしまう。

 その内容を聞いたシレネは驚いた様な顔で口を開く。


「そんな・・・そんな不安要素の多い作戦を実行されるのですか?それでは万が一が有ったら首都は壊滅してしまうではありませんか・・・」


 シレネの言葉にハイネックは自分と同じ考えだという事に我が意を得たりとばかりに大きく頷く。


「えぇ、私も全く同じ思いで反論したのですが魔王に一蹴されてしまいました。全く王も騎士団長も信じられませんよ」


 ついつい愚痴っぽくシレネに語るハイネックにシレネはずいっと顔を近づけて口を開く。

 花の様な優しい香りに心を躍らせながらハイネックはシレネの声に耳を傾ける。


「ハイネック様、この国の未来を憂う者同士、クライト様に協力して頂けませんか?ハイネック様が居ればクライト様も安心してくださると思います」

「詳しくお聞きしましょう」

「ここではまだ言えません。後日、クライト様の同志の集まりが有ります。これが日時と場所です。ぜひ、ご参加ください。なお、この事は他言無用でお願いしますね」


 シレネの言葉に話の詳細を希望したハイネックにシレネは一枚のメモを手渡し、ベンチから立ち上がる。


「それでは、お待ちしております」


 そう言ってシレネはハイネックを置いて立ち去って行く。

 ハイネックと別れてハイネックの姿が見えなくなってからシレネはポツリと呟く。


「私の事を袖にした魔王の取り巻きやそれに準じている奴らの好きにさせてやるものですか・・・フフフ」


 そう呟いたシレネの顔は先程までの可憐な印象から一変して醜く嗤っていた。

次回は第4の厄災戦になります。

あまり長い戦いにはならない予定です。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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