まぁ、普通はそう言う反応ですよね
おはようございます。第108話投稿させて頂きます。
評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とても励みになります。
また、誤字脱字報告もありがとうございました。
楽しんで頂けたら幸いです。
「ほう、遺跡とダンジョンの調査の帰りに後ろの彼等に出会ったんですか」
「んだ、後ろの冒険者の人だづは、途中で会っでここに来るって聞いたがら護衛もがねて同行させてもらったんたべさ。個人で調査なんかやっでっと物騒でしょうがないべや」
「そうですね。最近では《ユニーク》クラスの魔物の姿は余り見ませんがひとりで出歩くのは危険でしょう。書類の確認が終わりました。ようこそ、首都ミレイアヘ」
「あんがと」
首都に入るための検問を無事に終え私は大きなリュックを揺らしながら門をくぐる。
その後ろを何とも言えない顔をした7人が付いてくる。
まぁ、現在の私の姿に困惑しているんだろうね。
現在の私の姿は黒髪に幅広の帽子、牛乳瓶の底の様な眼鏡、体系を隠すダボダボの服、大きなリュックと言う様な姿に訛りのすごい口調というとんでもなく野暮ったいキャラだ。困惑して当然だよね。因みにネージュはリュックの中だ。
「七変化が過ぎるだろ・・・普通にコユキの姿で通ればよかったんじゃないか?」
狗神君の格好へのツッコミにあくまでもキャラを崩さずに返事をする。一貫して通す事って大事だよね。
「なるべくなら自分の姿さ隠してぇ、わだすばこの国で行方不明扱いだべさ、ほんどだったら何時もの姿で入りたかったが流石に無理だべや。まぁ、8年前のこどだし、わだすの事なんて見ても誰も分からんと思うげども」
狗神君の言葉にそう言って答えているとなぜかリルが物凄く複雑そうな顔をしている
はて?なんでそんな顔を?さっき言った様に8年前に行方不明になったわけだし私は貴族の娘では無いのでそこまで騒ぎにならないだろうに・・・
「と言うかいい加減口調を戻してくれないか・・・違和感が半端ねぇ・・・」
「いや、むしろこの格好で通常の私の口調に戻した方が違和感倍増だと思うよ?」
「「「「「「「確かに・・・」」」」」」」
元の口調に戻した私に声を揃えてそういう彼等に私は溜息を一つ吐き、口を開く。
「まぁ、私もそろそろ疲れたからね。何時もの喋りに戻らせて貰うよ」
そう言いながら裏路地に入り周囲を確認して誰も見ていない事を確認してから何時もの黒コートに黒ズボン、厚底靴に着替えてから仮面を被り髪の色を戻してフードを被り、.皆に合流する。
髪の色は特殊な変装用の粉で実はカルルカの時にも使ったものだ。魔力を流してやれば元の色に早戻りだ。
「さ、これで違和感はないだろ?」
「いや、違和感はねぇけどコハクは変装の数が有り過ぎて分かり———「チェストーーーー」ぬぉ!?」
そんな私を見た乾君が私の変装の数に関して意見を言おうとした所ですかさず回し蹴りを叩きこむ悲鳴を上げながら避ける彼に私は小さく舌打ちしながら仮面の下で口を開く。
まぁ、不意打ちを避ける事が出来たのは日ごろの訓練が成果を出している証拠だね。うんうん、いいよいいよ。
「危ないだろ‼いきなり蹴って来るんじゃねぇよ‼」
「シャラップ‼この格好の時にはトワと呼べと言ってるでしょうが!下手にここで本名出したら次は剣が飛んでくると思ってね。当然、皆もそこのところよろしく頼むよ。さ、早く学校へ向かうよ」
「理不尽な・・・・」
乾君のその言葉を最後に皆で学校に向かう。途中、道行く人にジロジロ見られたけどこんな異色のパーティを見たら当然だろう。
程なくして私達は無事に学校に着くことが出来た。
「リル‼無事だったか‼」
門の前で守衛さんに話をしようと思って一歩前に進もうとしているとからそんな声と共にリルを誰かが抱きしめる。
見ると赤い髪の俗に言う美男子という感じの男性だ。
おぉ・・・人の前でお熱い事で・・・リルが嫌がっていなければセクハラですよ?赤い髪の人。
・・・う~ん?赤い髪の男の人?はて?知り合いにそんな子が居たような・・・?
「リ、リ、リ、リ、リスト様‼人前でス。恥ずかしです‼」
あ、はい、リスト君でしたか・・・8年の月日は大きいね・・・すっごく男らしくなっていて驚いたよ。イケメンだし夜会で御令嬢が騒がしそうだねぇ~・・・はて?リルとの距離がやたら近くありません?
「そんなに恥ずかしがらなくても良いだろう?あと、俺には敬語じゃなくて良いっていつも言っているだろ?昔みたいにしてくれ。それにコハクを探しに遠くに行って挙句の果てにクラシアに難癖をつけられて行方知れずになっていた婚約者を心配して何が悪い?何が有ったんだ?詳しく説明してくれ‼」
「リスト様、子供の時の様にしていたら他の方達に示しがつきませんよ。あと、その事は後で説明しますから・・・」
リルが真っ赤になりながらリスト君に言葉を返す。あぁ、確かにリルの現状って行方不明扱いだったか・・・街の検問を通った時は偽造したタグを見せていたから門番も気が付かなかったか・・・
それにしても、婚約者でしたか・・・はい、もう私の脳は許容範囲を越えました以降この事については触れません。まぁ、16歳で成人しているし、あれから八年経っているし何にもおかしくないね。
「分かった。コハクの事も含めて旅の話をしっかり聞かせて貰うからな。それで?そちらの者達は?」
リルを抱きしめたまま私達に視線を向けて私達の事をリルに尋ねる。
まぁ、男性が多いこのメンバー(しかも、こっちも顔面偏差値が高い)と婚約者が一緒に居たら心配にもなるか・・・私は明らかに不審者だろうしね
リルは私の方をちらりと見ると説明の為に口を開く。
「彼等は勇者様とその協力者のお二人です。ですからリスト様、ピシッとしてください」
「お見苦しい姿をお見せして申し訳ございません。私はリスト・ルガディンと申します。ルガディン家の嫡子で現在はこの学園の騎士科で学んでいます」
リルの説明を聞き、リスト君はリルから離れると些か遅すぎるレベルで騎士礼をして挨拶を始める。どうやら彼は婚約者馬鹿に為っているらしい。
「あ、こちらから挨拶をしなくて申し訳ありません。俺は狗神和登です。光の勇者をやらせて貰っています。リルと一緒に旅をさせて貰いました」
「乾優だ。暁の勇者だ」
「山辺戌夜です。白夜の勇者やってます」
「湊瀬夢菜です。風の勇者です」
「早乙女光と言います。水の勇者です」
「私はマカ・ネキネリスです。ルファルデ法国で聖女に任命された者です。ワトさんと同じ様にリルさんと一緒に旅をさせて頂いていました」
皆の挨拶が終わると視線は自然と私の方に向けられる、
あー、うん。ですよね・・・表向きは私も初対面ですもんね。この中で一番怪しいし、自己紹介をされた以上返さないとだよね。
「トワです。黄昏の魔王です。イクス・ゴルデュフィス・ゲネディスト教諭延いては王族に内密の話が有って訪れました」
「魔王‼」
そう言いながらリスト君は腰に下げている剣に手を掛ける。抜刀して切り掛かって来なかったのは素直に凄いと言えるね。
まぁ、唐突に魔王なんて言われたら誰でも警戒するよね。
「リスト様‼ストップです‼この人は敵ではありません。剣の柄から手を離してください」
「リル?」
リスト君の行動に慌てた様子でリルが体を反転させてリスト君と向き合う格好になる。
リルはリスト君の前に立ち塞がりジッと見つめているとその様子から何かを察したのか驚いた様子で私とリルを交互に見ている。
「・・・リル、まさか・・・彼女なのか?」
リスト君の言葉にリルは少し躊躇するも首を縦に振り肯定の意を示す。
あぁ、少し失敗したかな。恐らくリルの態度でリスト君に私の正体がバレたらしい。まぁ、この辺はしょうがないか・・・
リスト君は、溜息を吐くと柄から手を離す。その様子に警戒をしてくれて居た狗神君達も安堵の息を吐く。とりあえず一安心みたいだ。
「はぁ~、後で絶対に詳しく話してもらうからな」
そう言うとリスト君は私達より先に守衛さんに何かを話している。守衛さんは少し怪訝な顔をしてから門を開いてくれる。
どうやら私達より先に話を通してくれたらしい。何て言ったのかは分からないけどね。
「本当は学園長に話を通した方が良いのだろうが、今の学園長に話すと話がややこしくなりそうだからな。案内するから付いて来てくれ」
そう言うと彼は校門を潜り、私達を中に招き入れてくれた。
はて?学園長に話を通すとややこしくなるとはどういう事かな?学園長は厳格な人そうだったけど案外優しい人(昔、第二王子の誕生パーティーの際にドレスを着せられない様に師匠から逃げ回っていた際は笑いながら匿ってくれた)だったはずだ。いくらその時と状態が違うからといってリスト君が嫌な顔をするような人物じゃなかったと思うのだけど?学園長が変わったのかな?
そんな事を考えながら私は懐かしい学校の門を潜った。
此処までの読了ありがとうございました。
次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。




