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勝ち馬に乗る
企業か役所かに限らず、組織か個人かにかかわらず、開発か研究か芸術か営業かにかかわらず、ムダと思われる地味な努力が報われることがある。傍目にはムダに見える仕事でも、やっている当人には勝算と信念がある。それがなかったら本当のムダであり報われることもない。ムダな努力には法律も組織も予算もつかない。評価も報酬もない。ところが面白いことにムダでないと判明したとたん勝ち馬に乗るように法律も組織も予算もついてくる。不法投棄現場を撤去するには何億円あるいは何百億円という予算が必要である。いつの間にか国はそんな予算を大盤振る舞いするようになった。それは国の手柄ではない。そうせざるを得ない流れになっただけである。法律も予算も組織も要らない撤去が流れを作った。二本の手で掘るのである。このムダな努力が結局は一番早かった。天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず。みんなでゴミを掘り始め、それが目覚ましい成果を挙げたからこそ、何百億円という予算も付くようになったのである。