S:99 二人目の告白
――。
「は?」
「そのままよ。私は死ぬ。その未来は覆せない」
「なんでだよ。どういうことだよ」
「だからそのままなのよ」
違う、そうじゃない。
俺の聞きたいことはそうじゃない。
どうしてそんなところまで一緒なんだ。
奇跡という言葉を通り越して――いっそ怖い。運命を疑ってしまう。
「それより、その翼……」
「あ、ああ。見たままだよ。魔法も何もない。俺とお前は一緒だ」
死ぬことまで一緒だ。
確認するように言い聞かせる。目の前のアモスは違うのに、といった表情だ。
「違う。何で片方しかないの?」
「俺だって知りたいよ。片方しかないから飛べないだろうし」
実際、片翼でも飛べるものなのだろうか。飛べるのなら、気の赴くままあの空を飛んでみたいものだが。
「そんなことよりだな――その、悪かった。朝の件」
「謝らなくていいのよ? ――この世界なんて、そんなもんなんだから」
目を伏せて、諦めらめた声で言う。
「でも、俺たちは違う。それは昨日分かっただろ」
「違うことないわよ。私たちは同じ血が流れている」
「――」
言いたい。
違うと言いたい。
言ってしまうか。でも、言ってしまったらどうなるだろう。怪しまれる? 疑われる? ――嫌われれる?
――嫌われても、言うべきことか。でもきっと言葉が信じてもらえれば、彼女を救うことができるのかもしれない。
――。
言うか。やらない後悔より、やる後悔という言葉もある。
「あのな、アモス」
「ん?」
こっちを向いたアモスと目が合う。
端が赤く染まった目。紅潮した顔。
じっくりと対面して、空が泣かせてしまったのだと改めて実感する。
傷つけたからこそ、こういった距離が手に入ったことも。
「実は、俺には血が流れていないんだ」
「え、どういうこと」
「その――つまりだな」
あと少しのところで、尻込みしてしまう。
唾をのみ込み。
「俺に――この世界の血は流れていない」
「ん?」
「俺は、違う世界から来た――人間だ」
ちょうど、ターニングポイントを告げる音のようにチャイムが鳴った。
あと1話……!




