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Link. ~すべての世界線がつながる物語~  作者: ヤマ
2:Third Life ----七つの罪
97/105

S:97 一歩

「失礼しますっ!」


 汗をふき、息を切らして保健室に到着した。

 廊下から周りの目を気にすることもなく、息を切らしたまま、今の勢いのままで挨拶する。

 返事は――ない。

 ということは朝と同じ状態なのだろうか。

 空の頭の中に、朝の出来事がフラッシュバックする。

 だめだ、ここで立ち止まっては。朝の出来事をまた繰り返してしまうのか、お前は。

 違うだろ、俺は空だけど、ユーシャでもあるのだから。

 ドアに手をかけ、勢いよく開けた。


 ――保健室は、夕焼けさえ差し込まない、闇の間だった。

 特定のベッドを見る。――小刻みに震える人影がいた。

 空間には空の息がよく響く。それを聞いている彼女はどんな気持ちなんだろう。

 きっと今にも逃げ出したいだろう。少なくとも空はそう思う。

 だから、さっさと終わらせよう。

 空は決意して、服を少しだけはだけさせて、その翼が見えるように翼に意識を向ける。

 魔法と同じように、広がるように意識を向ける。背中にない筋肉があるように意識して、その筋肉を伸ばす。はじめなのでゆっくり、ゆっくりと翼を広げる。

 広がった翼は、部屋に歪な形の影が姿を現す。

 深呼吸。吸って、吐いて。


「よっし」


 空にしか聞こえないように、小さな決意を秘めて一歩踏み出す。

あと2話。

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