S:91 morning ある朝の出来事
二人で並んで朝の定番、食堂に向かって長い廊下を歩く。
相も変わらず珍しいものを見る目を向けられているが、さほど気にならなかった。
――見られるだけなら、誰も傷つきはしないから。
「ユーシャ。大丈夫?」
セイルは空の心配をしてくれるが、心配されるほど空も迷惑していないし、気にしていないので
「大丈夫だよ。気にすんな」
と返す。
セイルは変わらず困った顔をしているが、あまり触れず食堂を目指す。
食堂で、いつも通り鉄かもアルミかもそれ以外かも分からない素材のトレイを持って食堂内をグルグルと回り、食材を取っていく。
空は自分が元居た世界であるような感じの食材だけを取っていく。
故にだろうか、肉系の食材は全くなく、結果的に見てくれだけは一緒な野菜中心のメニューになってしまった。
欲を言えば肉も食べたいが、どうしても見てくれを気にしてしまって、形状や色を気にしてしまう。というか、紫がかった肉を誰が食べるだろうか。生の肉を誰が食べるだろうか。生ハムのようなものならまだよそっただろうに、そのようなものは一つもなかった。一番細くてチャーシューほどの太さとは驚きだ。
セイルは空と違い、肉半分、野菜半分、パンのようなもの二つ、とバランスの良い食事だ。
――セイルから、肉もらって挑戦してみようかな。
自分の中で食べてみたい欲と保守的な心が葛藤している。どちらに傾くかは席に着いた瞬間に決まるだろう。
二、三周回ったぐらいでようやくセイルと空は空いている席を探し始める。
空達の裏にもまだ、生徒はぞろぞろいるので、半分ぐらいは席がすいている。
セイルに席の指定を任せると、セイルは誰も周りにいないような席に向かって歩いていく。
特に文句もなかったし、セイルなりの気遣いだろうと思って何も言わずについていく。
トレイを机に置き、セイルが空の隣に座る。それに合わせるように空も座る。
そして――空はきりだす。
「セイル――その肉、一切れくれないか?」
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