S:89 なき未来
「その二つがあるからこそ、君に頼みたい。奇跡の光を放った彼になら、次代の英雄を継ぐにふさわしいと私は思うんだ」
「そう思う根拠は?」
何事も根拠がなければ、行動に移してはならない。思いつきなんて持っても他だ。
「英雄の勘だよ。――私には少し先の未来が見える。それに、自分が選ばれなかったのは、君にその適正がないからだ」
「適正?」
「そうだ。『剣の流派』には適性があるんだ。もちろん自らが見た情景が一番適性のある流派なんだが――君が見たのは暗闇だろう、きっと」
「そうですけど」
「暗闇、私は前例を知らないが、未来がそういっているんだ。――君は流派の『基本形』と呼ばれるものが一切できない、できていないんだ」
「――――」
よくわからない用語が飛んだが、何となくは察した。
つまり、空は他の型の基本が全くできないから、ルミラの技を継承することなんてもってのほかだといいたいらしい。
「ただし、君は魔法に適性がある。ありすぎているといってもいい」
「へえ――というか、そんなに未来のことをぽんぽん話してもいいのかよ」
「いいんだよ。当たり障りのない未来だけを伝えてくれる便利な機能だからな。――少年もそうやって助けたのだから……」
そう零す英雄の横顔はうれしさなどなく、ただ自分の非力さを悔いているようで。
「――わかったよ、手伝ってやるよ」
「ありがとう。助かるよ」
「代わりに――俺の未来を教えろ。俺の未来はどうなっている」
これは純粋な疑問だ。どうせなら、当たり障りがないのなら、聞いておいても損はないだろう。
「そうだな。――これも理由の一つか……」
「もったいぶらないでくれよ」
「分かった教えよう――君は、君の未来は」
ないよ。
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