S:81 友の呼ぶ声
「少年!」
巨漢は――セイルにルミラと呼ばれた人物は、その体、その翼と張るぐらいに綺麗な、純粋な笑顔をセイルに向けている。
空がセイルの方を一瞥すると、セイルは喜びというよりかは驚きの方が強いように見えた。というか喜びはないようにさえ見える。
「セイル」
静まり返ったその場に響かないように、けれどセイルにはしっかり聞こえるように聞いた。
セイルののど越しが聞こえた。それが返事だと信じて続ける。
「知ってるのか」
視線はルミラに向けながら、警戒は解かず、威嚇を続ける。それをルミラは気づいていないようにセイルだけを見る。空はそれに狂気すら感じてしまう。
「うん……」
セイルも表情を硬くしていて、ルミラを見ている。
額には汗がにじんでいる。それが鍛錬によってなされた汗なのか――今の表情に起因する汗なのか。
「少年、もしかしたら、俺のことを忘れてしまったか?」
少しだけ、瞳の奥で揺らいだ気がした。
それと同時にセイルが動き出す。――一瞬だけこちらを見た気がしたが、気のせいだろうか。
「い、え。覚えてますよ。忘れてるわけないでしょう」
一歩。一歩。ルミラに対して歩を進める。
「僕を助けてくれた恩人なんですから」
「そうか。俺はうれしいよ。君とこうして会えるだなんて。どうだ? 学園生活には慣れたか?」
「ええ。あなたが助けてくれたこの命。人のために使うため、ここまで来れました。今が一番幸せです。英雄の集結しているこの学園には入れて、あなたにも会えて……」
空はなんだか拍子抜けしてしまった。
だって、二人の会話が親子のような。そう、まるで親子なのだ。
近況を報告しあう、久しぶりに会った親子のような、穏やかな雰囲気が二人の間で醸し出されている。
――もしかしたら、空は警戒しすぎたのかもしれない。そうだ、きっとそうだ。相手は英雄なのだ。民間人を救ったのなら、それなり以上の良心を持ち合わせているはずだ。
「そうだ――ルミラさん。僕にも友達ができたんですよ」
「ほお。友達ができたのか。それは喜ばしいことだ! ――で、どんな友達なんだ? 少年の友達だ、きっといい奴なんだろうな」
もしかして。
「その友達は――僕が勝手に思っていることですけど、あなたと同じ光を見た気がしました」
ルミラは目を細めて、話を聞きいる。
「――まあ、言葉だけでも伝わらないですよね。って、僕の友達なら言うと思います」
「――。確かに、本質を見抜く力がある友人のようだな」
セイルの言っている友達が空ならば、うれしいことだ。
「そうなんです。で、その友達が――」
そして、空の予感は的中した。
「ユーシャ!!」
セイルが空に向かって手を差し出した。
こっちにこいよと呼ぶように。
友達といえば、最近リアルの友達に活動がばれました。
いっそ開き直って執筆していきますよろしくお願いします。




