S:79 空から降る陽
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「ようやっと終わった」
空とグリードせいでピリピリしたスロスをどちらもなだめようとせず、スロスさえもピリピリして、最終的に男どもがビクビクしながら事情聴取される地獄の時間が終わった。
「お前のせいで拘束時間が長くなった」
不満げな顔と声で抗議してくるグリードだが、空はそれに反論をできない。後ろに鬼がいるからだ。
だから軽くあしらう。
「どっちものせい、だろ。この場はそれでおあいこにしよう」
「ああ?」
「――――」
少し反論の声が聞こえた気がしたが、それよりも察知できたのは後ろから放たれる鬼気だ。
「う、そだよ。さっさと散ろうぜ」
「それもそうだな。暗くなってきたし」
近くの窓からは陽が差し込んでいる。廊下は窓がなければ真っ暗なのではないかと思うぐらいに闇を張り付けていて、ここにきて電気のない世界を肌で体感する。
しかし、部屋はやけに明るかったのは、なぜなんだろう。セイルに聞いてみよう。
三人はその場を後にして、空は部屋を目指して歩く。
その帰路の途中、空はやけに多く陽が』差し込む場所を見た。
そこは、空にとって一番思い出のある場所――コロシアムだ。ガラスが横一列、ゆうに十メートルはガラス窓が続いている。そこから陽が射す、というのは室内だからおかしいだろと思った空だが、その窓越しに見えた景色を見たら、納得せざるを得なかった。
コロシアムの上空、その言葉通り、天井は存在せず、吹き抜けになっている。上の空からは陽の光が差し込んで、それがコロシアムの壁面を照らす。この学校がどれほどの規模かは分からないが、窓一列をそのまま縦にしても、きっと一番上には届かないだろう。空のいる地点からちょうど三メートルぐらいだろうか、同じような窓が一列、その上にも一列ある。三階建てで、怒カラでも観戦できるようにしているのだろうか。だとしたら、ここはやはり、コロシアムという名がぴったりだと空は感じた。
そして陽の中、それを受ける一人がいた。
セイルだ。
部屋にいるかと思っていたセイルがここにいたので部屋に戻る用事がなくなってしまった。電気以外にも気になることがたくさんある。しかし、今はいいか、空は今日廊下を歩いただけで全く体を動かしていないから、セイルと一緒に剣を振ろうか。
出入口へと回り、セイルの元へ駆け寄る。
「おーいセイ――
「しょーーねーーん!!!!!」
どこからともなく大声が聞こえて、直後、コロシアムの真ん中に砂ぼこりが舞う。
何が起きたんだ、セイルは大丈夫か。そう思ってしまうのも無理はないだろう。
――昨日と同じように、空からまた、降ってきた。
セイルが何で一人で鍛錬しているかというと、日によってコロシアムを使えるクラスが変わるので、たまたま遅くまで残ったセイルが一人で鍛錬していたってことになります。どこのクラスにも一人はいる努力家の一人がセイルです。




