S:75 七勢派について ー廊下での一幕ー
「で、なんですか話って」
廊下でスロスの半歩後ろを歩きながら、空は問う。
おそらく昨日の不審者のことだろうが、残念ながらというべきか、不幸中の幸いというべきか、起承転結でいう、起の部分しか、空はことを知らないと思うのだが。
空の問いにスロスはやれやれといったあきれ顔で答える。
「こんな誰もが通るような通路で会話する内容ではないということだ。君ほど頭が回るのだったら、この一言で発してほしい」
つまりは、昨日のことは廊下で話す内容じゃない、しっかりと話ができる場所までそのことに関する質問は慎んでほしい。
昨日のことはきっと不祥事として学園に知れ渡っている、とするなら、教師としては、一生徒だけを矢面に立たせるのは、心が痛いのだろうか。空としても目立つのは避けたいし、それを否定する理由もないのだが、なにせ場が場だ、教師と二人きりで長い長い廊下を歩いたことなんてない。だから、話題を変えるために別の質問をする。
「俺は自分が頭が回るとは思っていないんですけどー」
「それほどの軽口をたたいていられるのが何よりの証拠だろう。頭にはてなも何も浮かんでいない」
どうしてそんなに自信満々なのだ。
「あ――そういえば、前々から気になってたんすけど、せんせーって七勢派ですよね」
「ああ、確か初対面の時にそう言ったな」
「七勢派の人たちって、勘が強いとか、そういった特殊能力みたいのってあるんすか?」
その問いに、スロスは自らが空の歩幅に合わせることで、問いに対する承認をされた。
「七勢派。君はどれほど知ってる? あのラストと話していたぐらいだ。今知っている七勢派は二人だけかな?」
「まあ、そうですね」
空の持論ではあるが、七勢派というくらいだ。七人はいるだろう。そしてその七人全員が――七つの大罪と何らかの関係を持っているに違いない。それはすぐ隣を歩くスロス、そして、先ほどの部屋にいたアモスが証明している。怠惰と色欲。七。この二つの共通項は空の知る限り七つの大罪が有力なのだ。
「――もしかしたら君なら、私の想像の範疇を超えてくるかもしれない。だから一つ質問をしよう。話はそれからだ」
気づけば部屋の前にいて、部屋の前でスロスは強く最後の一歩を踏んだ。
ダン! と鈍い音が誰もいない廊下に響く。
「君は――七勢派について、どう考察する?」
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