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Link. ~すべての世界線がつながる物語~  作者: ヤマ
2:Third Life ----七つの罪
74/105

S:74 名前にいちゃもん

 彼女は――アモスは、その瞳に影を、空に対しての壁を作り言った。


「アモス、か」


「何よ、まさかあなた、名前にいちゃもんつけるつもり?」


「いや、かっこよくね?」


「――。――? ハッ!?」


「いやいや。アモスって名前、俺はいいと思うぞ。それに比べて俺は……」


 何度も言うが、ユーシャって。空の脳内変換では勇者となってしまう。いくら中二病といえど、自分の名前がキラキラネームだとキツイ。


「な、なんでよ! 私の名前なんてッ――あなたの名前の方がよほどいいじゃない! かっこいいわよ!」


「ハァーン!? 俺の名前がかっこいいだと? 言ってくれるのはありがてえがユーシャなんて名前、俺からしたらキツイだけなんですけどー!」


「はあ!? よく言うわよ、英雄って呼ばれてるようなものじゃない! 羨ましい限りだわ!」


「だからそれが恥ずかしいんだよ!」


 話題は一体どこへやら、二人の会話の路線は外れに外れ、最終的にお互いの名前にまでそれた。

 その話題を正したのは二人の思いもよらない人物で。


「お前らうるさぁぁい!!」


 第三者であり、教師陣の一人である、スロスだった。


「ああ!? 何でスロスがこんなところにッ!」


「誰が呼び捨てにしていいと言った! 年上には敬意を以て接しろ、ユーシャ!!」


「ぎゃあ!」


 訳も分からない声を出した空はスロスに首根っこをつかまれて、スロスはその場にいたアモスを見て、片眉を上げた。


「ほお、珍しい。ラストがちょっかいかけてるなんて」


「ちょっかいじゃないよ、楽しくお話してただけ」


「あれのどこがお話なんですかね……」


 怒声の飛び交う楽しいお話はした覚えがない。


「会話。それこそ珍しいじゃないか。どうした、病気にでもかかったか?」


「まあひどい。レイジーったら、いつの間にそんな冗談が言えるようになったの」


「――」


「どうしたラスト。――もしかして、気になるか、こいつのこと」


「――。少しだけ。ほんの少しだけよ」


「――。もしもし、そろそろ首がきついんですけど」


 手で顔に触れるが、少し冷たくなっているではないか。


「そうだユーシャ。――昨日の件で、話がある。ついてこい」


 ――なるほど、スロスがここに来たのはそういう理由か。しかし、七勢派同士は冠された名前で呼び合うのか。

 首はつかまれたままに、空は地に足つけて立ち上がる。


「用は分かりました。いいですよ、行きましょう」


「切り替えが早いようで助かるよ」


 苦笑して、身をひるがえし、廊下へと出ていくスロスに空はついていく。

 部屋を出る手前、アモスを振り返ると、薄いカーテンはアモスの布を、アモスの布は携えている翼を映した。――その翼はあまりにも異形。天使のそれではないことが明らかで、それはひどく見覚えのある形で、内心笑ってしまった。


 ――どこまで一緒なんだ、と。


 だから、心配そうな顔をしているアモスに、空は笑って。


「じゃあな、アモス。また話そう」


 と、言葉を残して、部屋を後にした。

 アモスはそう言った空の背中の翼を、どう思っているのだろうか。部屋を出た空の頭にうっすらとそんな思念が残った。

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