S:67 turning point 1
ここでひと段落つきます。次からの伏線たくさんあります。
プレム学園の屋上にて――
「どういうことだ」
「どういうことだは俺が聞きてえよ。何で流派を使えるやつがいるんだよ。俺たちは聞いてないぞ」
「私だって驚いている。――その風穴、どっちに空けられた?」
「白いガキのほうだよ。あのやろ、型なんて贅沢なもん使いやがって……」
男はぐちぐちと先ほどまでの出来事に文句をつける。
「そもそも、『剣の流派』を、よりによってあの二人に流し込んだのかよ。どうかしてんじゃねえのか」
「お前にだけは言われたくな――今、何と言った?」
「あ――」
「だから、今なんと言ったんだ。答えろ、グレッダ!」
怒鳴られて、グレッダはいやいやながら返事をする。
「だから、あの二人は流派を持ってた、その原因がお前だって言ってんだよ!」
「そんなはずはない!」
「どうしてそんなことが言える!」
「私が『剣の流派』を流し込んだのは――ユーシャと、別の女子生徒だからだ!」
「――は」
怒鳴りあいの末、グレッダはスロスの口から信じがたい事実を聞いた。
「おいおい、嘘だろ。だってあいつは――」
それを聞いてたじろぐグレッダに、冷静にスロスが言う。
「本当だ。お前がこの程度の嘘も見破れなくなってしまったというのなら――落ちぶれたな」
言われた通りに魔眼を使うと――もちろんというべきか、スロスの発言には一切の嘘が含まれていなかった。――しかしそれは、ユーシャの潜在意識下の、グレッダを打ち抜いた型が、もしかすると伝説の……という可能性もはらんでいるということだ。
「――。カハッ、マジか」
グレッダが一通り問い詰め、納得したところで、今度はスロスが事情を聞く。
「ところで、どうしてセイルが流派を持っていると思ったんだ?」
「そうだな、それは、これが原因だ」
そう言ってグレッダは、真ん中に穴の空いた服を左手でがばっと上げる。
「――ッ!」
そこには、ユーシャに打ち抜かれた穴の周り、胴体のいたるところに、その褐色の肌には見えないような、焦げ目のようなものが無数についていた。
「なん、だ」
「どっかで見たことがあるはずだ。――――『希望事件』だよ」
「なッ!」
本当にそうなのだとしたら、この焦げ目は、『光の剣』とさえ言われた、勇者『ルミラ』のシューティングホープだとでも言うのだろうか。しかし、スロスはあの現場に実際赴いて、誘拐犯の身柄を拘束した時も、同じような焦げ目を見た。それがもし本当なのだとしたら。
「セイルは――ルミラの型を、引き継いでいる……?」
「そういうことだな」
「だとしたら、あの二人は歴史を揺るがす二人になるかもしれない」
型のない者と、伝説を引き継いだ者。そして――。
「今年かもな。――『災厄』が訪れるのは」
今世代あたりにもたらされる、災厄の到来。
「型無し、そして、伝説――まだまだ隠れてるやつがいるかもしれない。それに、俺は旧知の奴にあることを伝えなければならないしな」
「旧知?」
「ああ。――セイルってガキが今の伝説なら――一昔前の伝説が、俺に連絡よこしてきやがったからな……突然連絡が来たから驚いだが、まさかそういうことかもしれんからな」
うれしそうな声音で話す反面、その顔は険しい。それは、単に風がうるさいだけなのか――いくつもの事象が重なる今世代に、不安が隠しきれていないのか。
「どっちにしろ、平穏が続くのもあと少しかもしれないな……」
スロスの言葉を肯定するように、風は一層強さを増した。
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