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「俺の出身は、お前が知らないところだよ」
そう言った空のことを、いぶかしげに――困惑したように見る男。
しばらくにらんだような視線を浴びせて言った。
「――嘘じゃねえのか、気色悪い。まるで嘘つかれてるみてえな真実だ」
「あいにく、嘘じゃないんだわ。――俺の出身は誰も知らない、と思う」
確信が得られないのは、ほかにも転生者がいるかもしれないからだ。少なくとも、そのカギとなる存在は、空以外の『型なし』だろう。それを鑑みると、片手ほどしかその存在がいないことになる。そして――その中に、間接的に知っている人物、『ソラス』が、もしかすると転生者かもしれないという仮説が存在してしまう。そろえはあまりにも、スロスが可哀そうになってしまう事実になりえる。
「俺が考えるに――もう何人かは同じ出身――広い意味でになるが、いる。ぐらいしか、お前に言えない」
「――嘘じゃねえらしい。しかし、いったいどういうこった? まるで――」
「まるで、異世界から来たみたいな言い方するな、だろ?」
「――――」
心を読んだわけでもない。空が思ったことを言っただけだ。だが、それで黙ったということは、言いたかったことはそういうことだろう。
「どうして、俺の言いたいことが分かった」
「そりゃ、分かるだろ。俺の発想とてめぇの発想が合致しただけだろが。驚くことでも何でもねえ」
「――何言ってんだ。そんな、相手の心まで考えるみたいな」
「は? 普通じゃねえのか?」
「そんなわけねえだろ。相手の心を考えることなんて、今時バカしかしねえぞ」
――。まるで時代が違う。これが異世界なのだと、改めて気づかされる。レインの時もそうだったが、複数人から聞くとため息もつきたくなる。
空も、異世界なのだから多少なりとも違いは考えていたが、根本が違うとは思ってもみなかった。
「――しょうがねえ。教えてやるか……」
「ああ? いったい何の話してんだ?」
「ありがたい話だよ。相手の心を考えることで得があるっていう話だ」
「はあ?」
――わかっていなくても、自分は損をしない。
だから、常識の違う相手の態度に空はいらいらしたりしない。
「で、聞くのか、聞かないのか?」
「あぁ? ――俺はただ、新入生の具合を見に来ただけで――」
「そうかよ」
「――! こりゃ、おもしれえ」
面白いものか。
話が通じないのなら、程度が違うのなら、それはひどくつまらない。
だから空は――俺は、いらいらしたりしない。
この瞬間、『空』と『ユーシャ』が――つながった。
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