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S:49 寄せるもの

 スロスと別れた後、日も暮れていたのでセイルの待つ部屋へと向かう。

 しかし、型なしか。

 特別、という点においては空の心は最高に盛り上がっているのだが、スロスのいう『試練』というのが気になる。

 試練だと気づかないような試練だったらどうしようか、反対にとても試練らしい試練だったらどうしよう。空からしたら後者の方がありがたい。

 つらいこと、逃げ出したいこと。空が逃げ出してしまったものとも。


「関係あんのかなぁ」


 永遠に続くと思っていた今が、終わって今がある。もう一度失敗した。今度は周りに人もいる。失敗してられない。

 茫然と、未来と過去について考えていたら、部屋の前についていた。

 自分の部屋といえども、セイルがいるかもしれないのでノックして返事を待つ。

 ――どれだけ待っても返事がない。ドアノブをひねると、カギは空いているようなので、ドアを開ける。

 誰もいなかった。大浴場にでも行っているのだろうか。時間も時間なので十分にあり得る。

 空は部屋の中央、入ってからすぐ見えるセイルの出現させた剣を見る。

 型なし。この剣とは乗り越えていかないだろう。それよりセイルの流派はこの剣の通り『雷』だろうか。だとしたら、この剣はいづれ、セイルの愛剣にでもなるのだろうか。それはそれで想像できる。

 剣の奥にある窓を開けて、夜風に当たる。

 この世界の太陽はどういう動きをしているのだろうか。イルマから聞いた話だとこの国は浮いているので、元の世界の感覚で言うと、日が沈むのが速いといえるだろう。冷たい風が顔に当たる。

 町の方が見える。街灯が光っていて、天使類たちがにぎやかに歩き回っている。宿場町のようだ。

 その光景は、元の世界では決して見られなかった景色でいつまでも見ていられるような気がする。この景色を毎日見ている天使類たちは、さぞもったいない。もう何年も見ていると、飽きてくるのだろう。少し切なくなる。

 太陽が気になれば、次に気になるのは月。この世界に月はあるのだろうか。

 そう思い、空を見ると、ふっと遠くの方で光るものを見つけた。

 きらりと光ったのでよくわかるその星のようなものを訝しげに見る。

 大きく、だんだんと光が大きくなっているのだ。

 その光はこちらに向かってきて。

 空とセイルの部屋を半壊させた。

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