S:47 大事なお話
「ユーシャ、安心したまえ。君が思っているようなことはないさ。ちょっとからかっただけだよ」
「はい……」
正直どう反応していいのかわからない。学校にしっかり行っておくべきだったと空は遅まきながらも後悔する。後悔したところで、という問題があるが。
「それじゃ、基本の知識を押さえたところで、次に行こうか」
どうやらこれからが本番らしい。楽しみだ。
「それで、スロス様。剣の流派を流し込むっていうのは……?」
「この流れで自然に様付けで呼ばれたことに驚きを隠せないが――二人とも、目をつむれ」
スロスが様付けで呼ばれたことに少し照れていた気がしたが――まさかそれを隠すために目をつむれと?
「今からを流派を流し込む」
暗闇の中でその声が聞こえて、しばらくしたら、体に心地よい違和感が走った。
頭の先からじわじわと生暖かいものが流れ込んでくる。流れてきて、想像力が駆られる感じがして。
頭に湧き出たイメージは――暗闇、何も浮かばなかった。
「これで終わりだ」
スロスの声により意識が覚醒した。
「何か見えたか?」
スロスは空とレイン、二人に曖昧な質問を投げかける。
「――私、水が見えました。水というか、川というか、その始まりというか……流れていくものを見ました」
「そうか。レインはきっと『水の流派』を使うことになるだろうね」
「『水の流派』……」
レインとスロスの会話を聞いて、空は、自分の流派に不安を持った。
なにせ何も見えなかったのだ。どんな流派にも当てはまらないともいえるし、どの流派にも当てはまるともいえるのではないだろうか。
「で、ユーシャ。君は何を見た?」
「俺は――」
どうしても渋ってしまう。もし、何も見えない=出来損ないだとしたら?空の心中で負の感情が渦巻く。
「俺は……何も、見えなかった、です」
居心地の悪い空は、スロスから視線を逸らす。スロスがどんな顔をしていたかは分からないが、次に聞こえた声は、どうしてか――焦っているように聞こえた。
「そうか。――レイン。私は少しユーシャと話をする。これで特別授業も終わりだし、先に帰ってなさい」
「了解しました! わざわざありがとうございました! ――ユーシャ、あんまり手を煩わせるんじゃないわよ……羨ましい」
「……」
返事をしようと思ったが、レインの態度はそれを求めているようではなかったので、空は何も言わずにその背中を一瞥した。
「さて、ユーシャ。君に話しておかなければならないことが増えた」
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