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S:43 子供あやし
「――」
どうしてだろう。目の前で女性が泣いているのに。
その姿が妙に神秘的で、魅入ってしまったのは。
コロシアムに差し込む日が、さらにその現実離れした景色を加速させる。
開かれたエメラルドグリーンの瞳。目からこぼれる透明な涙。泣いているのに、惚けた表情。子供のようだった。いや、スロスは――子供になりたいのかもしれない。弟にどれほどの思い入れがあるのかは分からない。しかし、涙に匹敵するほどの存在だったことは分かった。
だからだろうか。
「――」
空は気づけば、その頭をなでていた。
しばらくなでていると、スロスが声を上げて、手で顔を覆い泣く。――その時の空の表情は、スロスにしかわからない。
そしてそれは、泣き止むまで。
子供をあやすような、どこか懐かしい感じを持って、無言でなで続けた。
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