S:27 誰が正しい
平成最後の投稿!
これはまた、何て偶然なのだろう。
ソラス・その名から感じることは一つだろう。いやだが、見た目そっくりの名前もそっくりとか、良くできているものだ。変に見られていたのはこのせいなのだろうか。黒い翼に加え、また生きづらくなるような要素を渡されてしまった。もしもスレスが担当だったなら……気が気でない。
「担当になったスロスだ。以後よろしく」
「――嘘でしょ……」
何でこう、フラグが素晴らしく立ってしまうのだろうか。
綺麗、なめらか、まさにそういった言葉の羅列。
――また綺麗に立ったなぁ……。
まあいいか。相手も大人だ。空ばかりが気にしている可能性があることも否めない。
とりあえず、授業は始まったのだ、頭を切り替えなければいけない。
周りの生徒がやはりざわざわとする。それは英雄だからだろう。
「まず君たちに聞きたいことがある」
スロスが一つ咳払いをし、そう言った。心なしか、少し空気が重く感じる。
「君たちは何故――剣を握る?」
到底空の答えられなさそうな質問が飛び出してきた。
場がピリピリとした空気になる。それほどまでにこの英雄の言葉の重みが違うのだろう。こと担任や主任の言うことと違うように、言葉の裏に経験や重いが詰まっている風に聞こえる。
「――誰も答えられんのか」
その言葉で皆が一気にうなだれる。空はもちろん何が何だか、コネで入ったので、よく分からないままだ。
「じゃあそうだな。――ユーシャ、レイン。お前ら答えろ」
「「えっ」」
そんなピンポイントな。
あてられた空とレインはお互いを見合う。その様子を皆が見る。
「じゃあレインからだ。立て」
そういわれたレインの身体は弾けるように起立した。一本の棒のようになっている。
「私個人の意見ではありますが、剣を握る理由は、我が国の民を守るため、そして、この身を守るためであります!」
「なるほど。素晴らしい意見だ。座ってよし」
「失礼します!」
そして立つときのスピードに負けず劣らずの速さで座った。
「次は君だ」
言われて向き直るとその顔はニヤニヤとしている。朝のことがあったからだろう。
空はレインと違い、歴史を知らないためその威厳を肌では感じられない。言葉だけを知っても、分からないので。
「はーい」
伸びた返事をしてゆっくりと立ち上がる。
「言ってみろ」
何か終始ニヤニヤしてるな。ちょっとムカつく。
まあ、あたりさわりのないことを言って穏便に終わらそう。
「僕が剣を握る理由は弱きものを助けるためでーす」
いわゆるいじめをなくすには~~みたいな感じで答えた。
「――本当にそう思っているのか? 嘘としか思えんな」
――本当に英雄化疑わしくなるが、見る目は確からしい。
「本当のことを言うまで座らせんぞ」
「へーへー了解」
「ちょっ、ユーシャ君!」
レインが空の態度に流石にカチンときたのか、口に出そうとするが、スロスがそれをやめさせる。
――視線だけで黙らすとか、怖い怖い。
空はレインを制したスロスの態度から好きな風に発言を許されたと解釈し、ポケットに手を突っ込む。こういうことは形から入らねばならない。
「――剣を握る理由。簡単だ。お前ら全員が思ってること。それは――」
優越感だ。
そう発言した瞬間、全員の反感を買ったことが体で分かった。体が察した。
だが続ける。自分の意見を周囲の目によって潰されるなんて嫌だから。
「弱いものを守るなんてただの口だけ。ほんとはそんな弱い奴らを見て、自分らに寄ってたかって助けを求めてくる奴らを見て、優越感、自分がいないといけないんだっていう気持ちを育てるためだけだ。現に、何故この学園から卒業した奴が法を犯してる? 答えられないなら答えてやる。――優越感だ。自分より劣っている奴らを嬲るのが好きな奴がいるんだよ実際に」
ブラフをかましたつもりだったが、何人かは当てがあるようだ。
「やっぱりな。――それが俺らの本性だよ」
「それぐらいでいい。座れ」
客席を催促されたので着席したが、皆の視線の先はスロスではなく空に向けられていた。
「正解を言おう」
その瞬間、皆の目つきが変わった。――だいたい何を思っているのかは察しが付くが。
――残念ながら、その望みはかなえられない。
「この話は――ユーシャが正しい」




