S:22 元人間
「触れちゃいけないって、なんとなく、分かってるつもりだけど……」
「そう、だな。そう――俺がこの教科をできるのは、お前に頼んでいる俺の名前も関係ある。だけど――」
「無理に話さなくていいよ? 誰にだって隠し事の一つや二つある。――君の口が言いそうなことなんだけどね」
少し冗談交じりでそう言うセイルの意見を――空は無視した。
「いや、話すよ」
もちろん、空とセイル、二人の今後の関係に壁があると弊害があるかもしれないから。それと、空自身の心の問題であるが、このまま終わると、なんだか後味が悪い。
「相棒なんだから、隠し事してもいつかはばれるだろ。なら、話せるタイミングで話した方がお互いの得になる」
「ソラ……」
では話そうか。空の出身を。空の素性を。
「一つ一つ説明させてくれ。まず――俺は、元人間だ。今の時代がどうにも分からないが、確かに俺は一度死んだ」
「元人間……つまり、人間の時に一度殺されて、天使類になったってこと?」
「そうなるな」
誰に殺されたのか、それは分からなかった。ただ確かなのは、とてもきれいな翼だった、空がそれに見とれていたという事実。
「確かなのは、俺が前世の記憶を持っているということ」
だからこその空の名。だからこその空の主張。
しかしあれほど自分の身柄を明かしたがっていたが、いざとなるとこうも緊張してしまうものなのか。
「そしてその記憶があるからこそ言えること。それは――」
俺が、異世界から来た存在であること。




