S:12 ソラ = 勇者 ;
「――で、魔力は人類の――名前忘れちゃったけど、誰かが解明したらしいよ。確か――『魔力は其の創造にあり、創造に帰すものである』だったかな」
「創造、ねぇ」
創造、ではなく想像ではないのだろうか。それともこの人はそれを分かったうえで、この発言をしているのだろうか。無論、空の独断と偏見の中での意見だが。
「うっし。セイル! 昔話はそこまでにして、お前に教えたいことがある! 誰にも言ってはいけない、秘密の秘密だ!」
「え、えぇ……」
セイルが困惑する、無理もない。
「セイル――魔法を使いこなす方法を教えてやろう」
「ほ、ほんと!?」
「よ―く聞くんだな。魔法ってのは――想像するだけだ」
「――えぇ……?」
今度は拍子抜けか。無理もない。
「じゃあ説明するぞ。頭で創りたいもの、出したいものを形どる。それだけだ。例えば……」
鏡を作ろうかな? まだ魔法の限度が分からないので作れるかどうかは知らないけど。まず、この世界にあるのかさえも知らない。
「頭で形を鮮明に、できるだけ鮮明に……そしたらっ!」
目の前が光り、鏡が空間から出てくる。
それよりも空が驚いたのは、目を開けたままでも、ものを作れたということだった。これはとてもいい収穫だ。今後に関わるかは、まだ分からないが。
「何だいこれ!? 世界が反射して見えるよ!?」
「そんなにはしゃぐなって……」
「だってこれって、僕らの学校にも一つしかない世界の珍品の一つなんだよ!?」
「は?」
だとしたら、これはとんでもないハンデを手に入れたことになる。このハンデに上限がなかったのならば、いよいよチートと言われても反論できない。
「ほら! 教科書にも載ってるから! ――たしか、この辺……」
開かれた教科書には、確かに鏡が載っていた。――文字は読めないが。
「何で、本当に――君ってやつは、分からない……」
ぽつぽつと呟きを繰り返すセイルを余所に、空は鏡の前に立つ。
――いつも通りのつもりだった、それがこんな結果を、収穫をもたらすとは思いもしなかった。
鏡の前には、空の知らない、白髪の、小金の瞳の――その背に漆黒の翼を携えた少年がいた。
タイトルは――分かる人には分かると思います……(プログラムの代入の意味です)