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終焉の花を送る  作者: 垂水沢 澪
とある昔々の話
1/1

血色の魔王の物語

 遥か遠い昔の話。

 人々がまだ魔を操る術を知らず

 魔族を封じる力を持たず

 争いが最も激化した時代の話。


 それは翼を持った竜の血族。

 それは角を生やした鬼の血族。

 人類を滅ぼさんと手を取り合った

 二つの血族が互いの魔力を掛け合わせ

 生み出した一つの命。


 その者は大海を統べる声を持っていた。

 その者は火炎を纏いし腕を持っていた。

 その者は竜巻を起こす翼を持っていた。

 その者は山脈を動かす足を持っていた。


 生きた厄災……。

 生みの親の願いの通りに命を吸って

 血色に染まった着物を棚引かせ

 戦渦となれば姿を現した相手を

 人も魔族も畏怖を込めてこう呼んだ。


 魔族の王。

 すなわち魔王、と。


 魔王は四大属性の王たちを従えると

 やはり人々を襲った。


 野を焼き、町を海に沈め

 まるで羽虫を潰すかの如く

 容易く命を奪っていった。


 嘆きの声も悲しみの涙も

 魔王には届かない。


 絶望に暮れる人々に

 希望の光をもたらしたのは

 ――後にビルヘン帝国を築くハーモニアス家の祖。

 勇者、ハーモニアス・B・ロウバストである。


 勇者は大剣マランドーズを手に

 幾度となく魔王へ戦いを挑んだ。


 水属性の王・ウンディーネ。

 火属性の王・サラマンダー。

 風属性の王・シルフ。

 それぞれを魔石に封じ、魔王の力を削いだ。


 そして、ついに追い詰め

 森の奥深くへと逃げ込んだ魔王を

 勇者はその手で討ち滅ぼした。


 死の間際に魔王が放った魔力は

 今も尚残り、常人の侵略を拒み続ける

 《魔の領域プリシオン》を作り上げている。


 唯一、難を逃れた

 土属性の王・ノームは

 そんな《魔の領域プリシオン》で

 魔王の墓標を前に

 その死を悼みながら

 ただ粛々と

 日々の時間を過ごしているという……。

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