【お試し】こちら、ダンジョン管理ギルドです。
剣戟蔓延り、魔法が発達したこの世界
中心にある一番大きな大陸である、このフェルナタクス大陸では数他のダンジョンが存在している。
冒険者が経験を積む為、貴重な素材を手に入れる為、点在し、レベル別になっているダンジョンに皆が挑んでいく。
だけど、みんなは知らない
ダンジョンに挑戦するのは人間で、ダンジョンに蔓延るのは魔物だ。
なら、誰がその魔物を配置している?
ダンジョンマスター?中ボス?守護者?
いえいえ、違います。
・・・・・え?知りたい?
しょうがないなぁ、こっそり教えてあげるから、内緒だよ?
サンサンと光り輝く朝日の中、仕事場へ向かって歩を進める。
光が鼻をくすぐり、何となくくしゃみが出そう。
ふぁあああぁっと大きな欠伸を一つして歩きながら腕を伸ばす。
「おはようさん、ユエ。眠そうだねぇ」
「オバチャンおはよー、昨日遅くまで飲んでたせーで寝不足でさぁ」
「アハハ、ほどほどにしときなよ!ホレっ」
「ありがとー」
道すがら買い物とかで良く立ち寄る道具屋のオバチャンからポポの実をもらう。
疲労回復に良いというこの実はシャクリという食感が楽しい果物だ。
中途半端に伸びた金の髪を片手で弄りながら、仕事場までの道を歩く。
女にしては若干高めの身長をつつむのは体にそう形のジャケットと膝丈のワンピース、踵の太いブーツはヒールが高いのでそこらの男には負けないくらいの身長になっている。褐色の肌も種族の性か周りの人よりも濃いめだが、この辺りでは種族が入り混じっているせいか目立つことはない。
15分ほど歩いて、森沿いに進んだところにある石柱の前に立つと石柱の中頃に右手をペタリと置いた。
手を置いたところから緑の光が石柱を模様を作り、僕の体は真っ白な部屋に転移した。
転移先の部屋は壁やブラインド、家具も真っ白だが足元のマーカーと壁に取り付けられた機械と差し込まれている複数のカードだけが色を持っている。自分の名前が書かれたカードを手に取り、時間が無い為、足早に歩を進める。真っ白な引き戸を開けると、始業前だから多くの人が自分の席に着いていた。
席は種族事にある程度分かれているが、100名程度がいるので雑多としか言いようがない。
部屋の中ごろにある自分の席に着くと、前の席に座る同じ竜人族のアリアがこちらを振り向いた。
「おはよう、ユエ。遅かったね?」
おっとりとした美人のアリアは職場で有数の美人だけど、華奢に見える小さな手で硬い鉱石を粉砕出来る綺麗なお姉さんである。
「あー、うん。寝不足の上、きのー飲みすぎたー」
ぐてりと机につっ伏すとクスクスとアリアが笑っているような声が聞こえる。
そんな声に釣られて、こちらも笑みが浮かぶ。
そのまま2人で話していると、前の方がざわりとうるさくなったので、そろそろ会頭が来るようだ。
間もなくブラックタキシードにマント姿の会頭が現れた。バンパイア族の会頭は若干ヘタレの見た目だけはナイスミドルだ。見た目はいいんだけどなー・・・・・
さて、毎朝恒例の朝礼がはじまった。
「おはよう、本日分の配属は各チームリーダーにつたえてある。
さて、今日の連絡事項だが、南のAダンジョンに勇者一行が向かっているらしい。南地方はレベルが低いので勇者達はまだ冒険をはじめてあまり時間が経っていない。ある程度の階層まで進ませた後に、一度進めない仕掛けを作って知能面も試した後に最下層まで誘導するように、腕の欠損位ならポーションで治るが殺すなよ。
Aダンジョン攻略後は街方面の問題を対応させた後に少しレベルが高めのダンジョンに誘導して欲しいと王都の冒険者ギルドからの依頼だ。」
配られた用紙を見ると今日の僕は容姿を変えてAダンジョンに勇者を誘導して、もし仕掛けに悩んだ時のお助けキャラか、アリアは西のRダンジョンでBランク冒険者達が素材集めに来てるから竜に変幻して中ボスか、そっちのが楽しそうだなぁ・・・・・
て、あれ?そっか、知らないと思うけど、実は大陸にあるダンジョンは全部僕達のような仕事をしている人の為つながってるんだよ。いうなら、バックヤード、かな?
え?なんで冒険者ギルドからの依頼があるのか?
大人の事情だよ。
これは、特大の秘密なんだからねー
な、い、しょ、だよ?
さーて、仕事に行きますかぁ
あ、ゴブリンのお兄さん、変身前はいつも通りイケメンだねぇ、眼福眼福