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魔獣な俺と契約者  作者: はずき
第一章 魔獣の世界
9/10

第八話 魔獣とニン君(笑)

お久しぶりです。やっと投稿できた。

▽▽▽▽▽▽▽

No side



赤と青の太陽が競い合うかのように山の後ろへと姿を消し始め、暗い影が鬱蒼と茂る葉により光が少ない森をさらに深い闇の色へと染めていく。僅かな光が照らすのは、底が見えるほど澄んだ色の海と森の中にある湖―――そして、四時間にわたりなぎ倒され木が一掃された場所だけだった。



なぎ倒された木の終着点には、獲物を追い求め、追い詰め己の腹へとおさめた大蛇が気分良く居眠り――――するのではなく、白目をむきその巨体を地面に横たえていた。生態系の上位に位置している事を体で表している筈の魔獣は間違いなく『敗北』していた。



己が力を得るために食べようとした、たった一匹の赤子の魔獣に―――――――山の主であった大蛇は負けた。



しかし、そんな非常識なことをした。産まれて間もない黒狼の魔獣は、主を倒したことなど毛ほど気にした様子もなく、四時間も走り続けたとは思えないほどしっかりと立ち、じっと後方の一点を見つめていた。その姿は、まさに幻獣種と呼ばれるに相応しい王者の風格が備わっていた。側には美しい翼をもつ幻獣が王に仕える家臣のように控えている。



そんな、誰もが凄むような雰囲気の中、似つかわしくない人影。



王者が見つめる先、『この世界』にいるはずのない存在。――――――――――【にんげん】が、放心したように固まり呆然と見つめかえしていた。



太陽たちが姿を消し、月の三兄弟が顔出し始める中、両者は見つめあったまま時間だけが過ぎていった。






▽▽▽▽▽▽▽

Sideクロ



「「・・・・・・・・・・」」



この沈黙、どうすりゃいいの。


まさかまさかの、人間様が俺たちの目の前に突如として現れてから

体感にしておよそ三十分この沈黙が続いている。正直、かなり居心地が悪い、しかし、コミュニケーション能力が皆無の俺にはこの悪夢の静けさを脱するスキルなどない。


見た目は、ワイルドな赤ちゃん狼でも典型的な日本人の心を持っている俺はそれはもうガッチガチだ。《沈黙が続き焦るも、何の話を降ればいいのかわからない‼どうしよう‼考えてる間に沈黙は続く》の無限ループ地獄……。

日本人なら人生に一度はあるのではないだろうか。

その際、前世の俺はループにはまったままグルグルしていた。そんな、俺にこの沈黙がやぶれるはずがない‼



くらっ


!!??

「……っ‼」


息を潜めることに専念しようとしていたが、急な脱力感が襲い前に体が傾いて地面突っ込みそうになる。大蛇が倒れた後から続いていた疲労に足が耐えれなくなったのか?

くそっ、足が踏ん張れん‼うお、っとと。

踏ん張っても踏ん張っても止まらない足に内心焦る。と、止まれ俺ぇぇぇぇ。


ピタッ


「○※△□!!」

ビクゥゥ


おお、止まれた。顔面擦りむくのは痛いからな、危なかった………

「★※△□??」

ん?何やら下の方から声が……?声と言っても全く何を言っているかさっぱりわからん。あれ?バイブレーションのように震えているコレってもしかして?ブレーキのために使った前足によって動けなくなっているのは、顔色真っ青な……人間。


「うわ、ごめん‼」


ビクゥゥ‼


真っ青を通り越して、真っ白になっていく少年は今にも死にそうだ。謝ったのになぜ!!??


「そりゃ、人間にとってワタシたちの声は唸り声にしか聞こえんからな。」


もう、突っ込まんぞ。俺が、無限ループ地獄を脱するために悩んでた時なにしてたんだとか、その口端についた涎は…寝てたんだな。人が真剣に悩んでる横で寝てたんだな、この野郎‼


「まぁ、気にするな。兎に角、夜がやって来る、幼いお前も人間にとっても危険な時間だ、早く洞窟に戻った方がよかろう。」


さらりと流しやがった、コイツ‼

まぁ、確かに沈黙が続いていた間に辺りは闇がやってきていた。わぁ、ちょーこぇぇ。


「よし、じゃぁ早く帰ろう‼」


ビ、ビクゥゥ‼


………………………………ああ。

めっちゃびびってるし、言葉も通じない、俺足ガックガク。


「どうやって、連れていこう…。この、人げ…ニン君」


「ニン君?」


「何か、人間呼びは嫌なんで人間のニン君で。」


「………坊っちゃん……」


やめろ‼分かってるよ‼ネーミングセンスが無いって言いたいんだろう?分かってるから。その、「…それは、ちょっと」みたいな可哀想なものを見る目はやめて‼地味に傷つくからぁぁぁ‼


ドサァ


師匠に憐れみの目を向けられ、抗議していると後ろから何やら倒れるよいな音が…?後ろを振り替えると、気絶した、ニ、ニン君。


「うわぁぁぁぁぁ‼ニン君んんんん‼??」


「あー、気にせず喋ってしまったからな、怖さが降りきれて気絶してしまったんだ。ニンは(笑)」


笑うなぁ‼すまない、ニン君。ああ、でもどうしよう‼これじゃ、ニン君に歩いて移動は無理になってしまった。俺が運べれば良かったけど、それも無理。くそっ、ホームシックならぬ、洞窟シックだ‼


「何を悩んでいる?坊っちゃんとニンくらいならワタシが運んでやるぞ」


「よし、動け俺の足‼動くんだぁぁぁぁぁぁぁ‼」


ガシッ



「さぁ、帰るぞぉぉ‼全速力じゃぁ‼はははははは‼」


「………………………………ごふっ」


「ぎゃぁぁぁぁぁ‼ニン君が風圧に耐えきれずに吐血してるから‼死んじゃうからぁぁぁぁぁ‼」



空の運転。全速力ダメ絶対。





ニン君(笑)大混乱です。

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