第一話 魔獣の目覚め
死因バナナな少年登場(笑)
バナナの皮で転ぶ。
一昔前には少し笑える話だが、俺たちのような若者から言えば
バカだと鼻で笑われるだろう。
鼻で笑われるんだ。
大切なことだから二回言ったぞ。
多分。
断言しておいて自信が無いのは情けないけどしょうがない。
だって、俺死んだし。
そう。俺、新谷祐樹大学一年の入学式へ登校中。
道に落ちていたバナナの皮を踏み。
見事に滑り一回転ののち頭を強打し、鼻で笑われたか確認するまでもなく死亡したのだ。
あんなに見事なバナナアクションをしたのは人生初だったなぁぁ。
はぁぁぁ。
だが、残念(?)なことに死んでも天国とやらには行けなかったようだ。
なぜなら俺の前にはTHE☆大自然が広がっていった。
そして、俺は生きていた。
新谷祐樹としてではなく
【魔獣】として。
∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇
俺が目覚めたとき感じたのは綺麗な空気の香だった。
都会では、まず感じることのできない。
澄んだ空気、そして自然の香。
あれ??俺ってこんなに鼻良かったっけ??
スンスン
お?これは水だな。
近くに流れてんのかな??
ぴちょん
お?俺の一メートル前で水が落ちたな…
この反響音からするとここは洞窟かなぁ??
「きゅぅぅ??」(洞窟??)
俺は閉じていた目を開いて
久しぶりに感じる光から逃れるために目線を下に落とした。
見えたのは黒。
そこには見事なまでに真っ黒な毛があった。
おぉ。なんか、かっけぇぇ。
…………。
慣れてきた瞳を洞窟の入り口に戻し、大自然を見つめ心を静めて
もう一度俺の手である部分を見つめた。
うん。黒いなぁぁ。
「うきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!????」
(何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!????)
え?
何でこんなに黒いの毛深いの!!??
俺ってこんなにもさもさだったっけ??
いや、でも…これなら剥げる心配がないな!!やったね☆
……じゃねぇぇぇぇぇ!!!
つうか、さっきから俺「きゅぅぅ」しか言ってない。
俺、何なの??
明らかに人間じゃないよね???ね???
お、落ち着こう。
深呼吸だ。ひっひっふぅ~。
これ、深呼吸じゃねぇ!!!
と、と、と、と、とりあえず。
俺の体を確認しよう。
まず、そのためにはこっから出ないとな。
よっと。
俺は伏せていた状態から立ち上がりそして気づいた。
俺、四本足で立ってるじゃん!!??
これで人間のせんは消えたな!!ぐすんっ
てとてと
「うきゅぅ。」(おぉ…。)
大自然だぁ。
マイナスイオンだぁ。
ブンブン
ん?
ブン
ん?ん?
俺は音の方、つまり後ろを振り返り見るとそこには
SHIPPO…ごほん。
尻尾があった。
うん。なんとなくわかってた。
四足歩行だったしね。
人間(今違うけど)順応が早いからな。
ぴちょん
あ。水たまり。
綺麗な青空を映した青だ。
俺の好きな色でもある。
なんとなく俺は、水たまりを覘くと
「きゅぅぅん」(綺麗だな)
漆黒の中に海のように綺麗な青が二つ見返していた。
これ、俺かっ??
狼だ。
黒い毛で青い瞳をもつ狼だった。
犬じゃないぞ??ここ重要!!!!
…犬じゃないよな???
『ステータス』とかあればわかるのに!!
ピロロン♬
お?
【種族】黒狼 Lv.10
【名前】
【性別】オス
【年齢】生後二日
〈HP〉5000
〈攻撃〉60000
〈防御〉50000
〈魔力〉1000000(使用不可)
〈魔法攻撃〉測定不可
〈魔法防御〉測定不可
【固有スキル】身体強化 魔法無効化
【称号】最後の魔獣 転生魔獣
【契約者】
わぁい。
やっぱり狼だったぁ。
AHAHAHAHA。
……これツッコミ属性の俺をどうしたいの??ねぇ??
まぁ、黒狼は良いとしよう…カッコいいから!!
その次からふざけんなよ!!」
名前は何で無いの??名無しの権兵衛なの!!??
生後二日目にしてLv.10てどしたの??
スーパー赤ちゃん??寝てる間に俺はなにしたんだよ!!
基準わかんないけど赤ちゃんのステータスじゃねぇな!!
魔力に至っては、使えないの!!??
異世界の醍醐味全否定じゃん!!!
固有スキルはチートだぁぁ。
称号…は………え?
俺ってば、魔獣なの???
ツッコミスイッチがそこでブッチと切れた俺は暫くフリーズしていた。
ここで冒頭に戻る。
∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇
魔獣は一先ず置いて「転生魔獣」について
考え自分の人生最大最悪最後の黒歴史を思い返し終わったのだった。
そこで俺はやっと、
ステータス欄の最後にある【契約者】と言う文字に気づいたのだった。
え??
契約者って………何??
同時刻ある世界のある国で学園への道のりを歩く少年が
くしゃみをしたとかしないとか。
取りあえず。俺の疑問に対する回答は返ってこなかった。
因みに、スーパー赤ちゃんの体長は1.5メートルです。
でかっっ。