私と三人の捕食者達

作者：空蛇

初めての逆ハー物ですが、最後まで読んで下さると嬉しいです。

「俺ら三人とも、いつみの事好きみたい。」

「……は？」

ヤバい、マジで頭が痛い。

非常事態に耐性ゼロの生まれについての雑魚キャラ。

そんな私の脳みそが、今、凄まじいまでの混乱状態に陥っている。今にも裂けそう。

本当にそうだったら、即死だけどね。それでも、痛くて痛くてしょうがない。

こうなった原因は、

「俺、これ嫌い。」

…そう言いつつ、よりによって人の弁当を勝手に食っている、このヒョロくて背の高い男。

だけでなく。

「あのさ力。それ人の弁当だろ。」

とかいってる怖い顔の人や

「ホントだよね。…所で、その天ぷら美味しそうだね、いつみ。あたしにもちょーだい？」

その意見に同意しつつ、ちゃっかり私のおかずを強請っている美少女のせいだ。

弁当を食べているのは川野力、怖い顔の人は岡原秀人、色気たっぷりの美少女は綾木鈴。

この三人、見た目もかなり強烈だけど、中身も相当強烈だ。

三人が三人とも、互いにひけを取らない。

川野力…あだ名はリキ…はヒョロイ割に怪力。同じ高校２年生とは思えない。

綾木鈴…スズは見た目は美少女だけどオネエ。

岡原秀人…ヒデは顔は恐いが、常識人だ。あれ？ヒデ、変人じゃないな。

　　　　　いや、恐すぎて稀に相手に気絶されるあたり、変な奴か…不憫だな。

この三人とは、小学生の時からの腐れ縁だ。本当に腐れ落ちてしまえばいいのに。

まあ、それは置いといて。

「あのさ、ヒデ。さっき私、リキが世にもおぞましい事を言った気がしたんだけど。

　気のせ「気のせいじゃないぞ。」いだよね…って、はあ？」

私の台詞に、自分の台詞を被せるヒデ。

思わずぽかん、とした私の口の中に

「隙ありまくり、いつみ。」「むぐっ！？」

と卵焼きを詰めるスズ。そしてそれを見るリキ。

三人とも、とても冷静だ。

「あんた達、また冗談いって…笑えないからやめてくんない？」

「冗談じゃないよ、あたし達。本気だから…って、信じてない顔してるね」

そりゃあ、そうだ。そんな平熱な態度で言われても、信じるハズがない。

特にスズ。

「男が好きなんじゃあなかったの？」

ハニーブラウンの長い髪や、ミニスカから伸びる白い足は魅力的だし。

「あたしのコレは趣味よ。」

さいですか。

とか思ってると、そっと誰かが私の頭に手を置いた。ヒデだ。

「おいら達、いつみの事が小２の時から好きなんだよね。ずっとけん制し合ってたから、気がついてると

思ってたんだけど。」

気が付いてなかったみたいだね、とヒデは困ったように笑う。

傍から見るとものすごい恐いが、長い付き合いだからか相手の事はよくわかる。

とか思ってると、ぐい、とリキがヒデと私を引き離した。

そしてこう言う。

「俺達、本気。だけど、お互い喧嘩する気はないから。ただこれは…」

俺達からお前への宣戦布告だから。

「本気で落としに懸かるから。」

覚悟する間も与える気はない、と言いつつ私の頬を引っ張るリキ。

その眼鏡の奥の瞳は、まるで捕食者みたいだった。リキだけじゃない。

「いつみが悪い訳じゃないけど。…あたし最近、我慢出来なくて。」

「おいらもそうだよ。やばい、舐めまわしたい。」

比較的常識人なスズやヒデまで、まるで餓えた動物みたいな目をしている。

神様、ねえ神様。私何か悪い事したっけ。

なんか私、近いうちに食べられそうな気がするよ…。

主に、物理的な意味で。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。