表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/49

船の中

 船の中。

 出来あがった料理を見下ろしながら、コーデントはつぶやく。

「なにやってんだろうな、俺」

「……料理、上手だよ?」

「そりゃどうも。じゃなくて、曲がりなりにも俺たちは海賊なんだ。分かってるな?」

「……うん。とりあえず」

「そう、とりあえず。で、俺がこの海賊船の船長で、お前はその部下。それもいいな」

 乗っ取った海賊船。

 捕虜を除けば、彼ら二人しかいない。

「……私、部下」

 こくり、とうなずく黒髪の少女。

 リャッカ。

「で、うっかり漂流していた俺たちは、この船を乗っ取ってようやく食料にありついたわけだ」

「……美味しい、よ?」

「ありがとう。なんで俺が料理を作ってんだよ!?」

「……?」

「だーかーら、こういうのは部下であるお前の役目だろ」

「……料理、苦手」

「だったら覚えるなりなんなり――」

「……頑張る」

「おおう……素直じゃないか」

「野菜、とか」

「うん?」

「……斬るのは、得意」

「知ってるよ……」

 なんとなく、船を乗っ取る時にでた死人について思い出す。

 彼女が斬り殺した船員が大多数だったが、そのまま海に放り捨てた。

「というか、それを知ってたからこそお前を連れてきたわけだしな。感謝しろよ」

「……」

「なんで無言なんだよ」

「……考えてた」

「なにを」

「……感謝すべきか」

「とりあえず感謝しとけ」

「……うん。ありがとう。掘り出してくれて」

「どういたしまして。はぁ」

「……? どこ、いくの?」

「そろそろ島でも見えてくるんじゃないかと思ってな。外に出てくるよ」

「……行く」

「そうか……って、そんな慌てて食わなくてもいいだろ!? よくそんなに食べるよな」

「……」

「俺よか食うもんな……。昔から大食いだったのか?」

「……けぷ。それほど。同じ、くらい」

「そーかい。腹壊すなよ」

「……うん。壊さない」

 外に出て。

「今日もいい天気だよな」

「まぶしい……」

「なんでぐったりしてるんだよ。それはお前なりの冗談なのか?」

「……うん」

「そうか……」

「見えた」

「なにがだ?」

「……島」

「……っ!? 本当だ! あの遠くのちっこいのがそうか」

「……おっきい、山がある。ふたっつ」

「お前、目、いいよな……」

「……町のところ、谷になってる」

「よっし。じゃあ、行ってみるか」

「……あると、いいね」

「スターズブルーの遺産か。そんな早く見つかるとは思ってないが……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ