クラスのマドンナ vs 転校生!?修羅場の予兆
学校が終わり、俺は春樹と並んで歩いていた。
「なぁ、裕貴はさ、いつ佐々木に告るんだよ」
突然の一言に、俺は思わず足を止めて春樹を見た。
「な、なんだよいきなり」
「いや、だってよ。あんなに距離近いのに、告白しないのはおかしいって」
……そっか。春樹は知らないんだった。俺が佐々木さんに一度、振られてること。
俺は立ち止まり、春樹の目をしっかり見据えた。
「……俺、フラれたんだよ。実は」
「えっ!?」
春樹が目を見開いて、足を止める。
「じゃあ、佐々木が好きな相手って、誰なんだよ」
「さあ。でも、俺はまだ諦めるつもりはない。……好きだからさ」
素直にそう言うと、春樹はどこか納得したような顔になった。
「そっか。……頑張れよ、裕貴。応援してる」
春樹の言葉が、優しく胸に響いた。
そんな会話をしていると、春樹が急に立ち止まった。
「おい、あれって……噂の転校生じゃね?」
春樹の視線の先を追うと、コンビニの前で何かを食べている女の子の姿があった。
楽しそうに笑っていて、その隣には見覚えのある後輩――澤部さんがいた。
(あの二人、同じクラスか……?)
そんなことを考えていた時、春樹が俺の首元を掴んできた。
「な、なんだよ急に」
「見ろよ、あれ……!」
春樹が指差した先。そこには、澤部さんたちに絡む、見知らぬ男たちの姿があった。
※
「ねぇ君たち、少しだけ俺たちとドライブしない?」
サングラスに金髪という、いかにもな男たちが、私と今日転校してきたばかりの五十嵐ちゃんを囲んでいた。
「あ、あの……私たち、これから家に帰るので……」
私は精一杯の勇気を振り絞って言葉を返す。
けれど、男たちは面白がるように笑いながら距離を詰めてきた。
「だったら、俺たちが送ってあげるよ! な? ドライブしようって!」
ひとりの男が、私の肩に手を伸ばそうとする。
怖い。震えが止まらない。
その瞬間、五十嵐ちゃんが一歩前に出た。
「あの、私たち、そういうの大丈夫です。どこかへ行ってもらえますか?」
きっぱりと言い切る五十嵐ちゃん。睨むような目で、男たちを見返していた。
「そんなこと言わないでさ~」
男の一人が彼女の肩に触れようとした――その時。
「ちょっと。この子たち、嫌がってるじゃないですか」
聞き覚えのある声。視線を向けると、そこには――裕貴先輩がいた。
男の手首をがっちり掴んで、静かに、でもはっきりと睨んでいる。
「チッ、……はいはい、すみませんでしたー」
男たちは舌打ちを残して、その場を去っていった。
「大丈夫? 二人とも」
裕貴先輩が、優しい声で私たちに問いかけてくる。
「裕貴先輩! ありがとうございま――」
「ありがとうございます、先輩っ!」
私が言葉を発するよりも先に、五十嵐ちゃんが目をキラキラさせてぴょこんと頭を下げた。
その勢いに、裕貴先輩も一瞬きょとんとしていた。
「おーい、裕貴ー! この子だよ、今日の転校生!」
背後から春樹先輩が駆け寄ってくる。
「そうなんだ」
「はいっ! 今日から転校してきました、五十嵐 累です!」
「五十嵐ちゃん……!?」
彼女のその様子に私は思わず声を上げてしまう。
そんな私の驚きをよそに、五十嵐ちゃんはグイグイと裕貴先輩に近づいていく。
「裕貴先輩っ!」
「は、はいっ!?」
「先輩って、好きな人いますかっ!?」
「はいっ!?」
その場にいた全員の時間が止まった。
裕貴先輩も、春樹先輩も、私も。
五十嵐ちゃんのあまりに真っすぐすぎる言葉に、目を見開いて、ただただ固まっていた。
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