表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/89

危機的状況

 どうしてこうなった……。


 俺は今、人生最大の危機的状況に直面している。


 スタバの勉強会から帰ってきた後、佐々木さんと俺は、俺の家で勉強会の続きをすることになった。


 だが、時間が経つにつれ——。


「うぅん、裕貴くん……」


 佐々木さんはメイド姿のまま、俺の肩に寄りかかって寝てしまった。


「さ、佐々木さん!? 起きて!」


 俺は小声で必死に彼女を揺り動かすが、ピクリとも反応しない。


 どうするべきか……?


 そんなことを考えている間にも、佐々木さんの吐息や、甘い香りが俺を余計に意識させる。

 なんというか、色々と刺激が強すぎる。


 仕方なく、俺は近くにあったブランケットを彼女に掛け、1人で勉強を続けることにした。


「この問題はこう解くのか……」


 俺が黙々と問題を解いていた時だった。


 ガサッ……


 寝ていた佐々木さんが微かに身じろぎし、ゆっくりと瞼を開けた。


 そして、目を擦りながら、寝ぼけたように立ち上がる。


「うーん……暑い……」


 ——その瞬間、俺の理性が最大の試練を迎えた。


 佐々木さんは、突然メイド服を脱ぎ始めたのだ。


「ちょっ!? ちょっと!? 佐々木さん!?」


 思わず声を上げるが、彼女にはまったく届いていない。


「あれ? 裕貴だぁ〜」


 彼女は甘ったるい顔で俺を見つめたかと思うと、下着姿のまま俺に歩み寄る。


「ちょ、ちょっと!?」


 思わず目を手で覆うが、佐々木さんはそんなことなど気にもせず、俺の手をそっと掴んだ。


「一緒に、寝よ?」


 そう囁くと、彼女は俺の勉強机から強制連行するように俺を引き剥がし——。


 バフッ


 気づけば俺は自分のベッドに押し倒されていた。


「さ、佐々木さん!?」


「裕貴〜くぅーん……私ね、いつも思うんだよ? 筋トレも良いけど、少しは私にも構ってほしいって……」


「さ、佐々木さん!? な、何言って!?」


 徐々に彼女の身体が密着してくる。


 ヤバい、ヤバい、マジでヤバい!!!


 このままだと俺は「裕貴真一郎」という理性を完全に手放すかもしれない……!


 そう、覚悟を決めかけた時——。



「し、失礼します! お坊っちゃま、一体何が……」


 その瞬間、俺の部屋のドアが開き、メイド長であり、佐々木さんの祖母である女性が現れた。


「「あ……」」


 俺とメイド長は思わず目を合わせる。


 数秒の沈黙——。


 そして、次の瞬間。


「うふふ、ごゆっくり〜♡」


 メイド長は満面の笑みを浮かべながら、扉を閉めようとした。


「ちょ、ちょっと!? 助けてください!! 佐々木さんをどうにかしてください!!」


 俺の必死の叫びに、メイド長はようやく「しょうがないわねぇ」といった様子で佐々木さんに歩み寄る。


 そして、テキパキと彼女を着替えさせ、やれやれといった顔で俺を見た。


「……で、お坊っちゃま。一体どうしてこうなったのです?」


「俺が聞きたいんですけど!?」


 その後、俺は何一つ嘘をつくことなく、全てを話した。


 するとメイド長は、クスッと微笑みながら頷く。


「……なるほど。この子は昔から寝癖が悪くてねぇ。だから、わざとじゃないのよ。許してあげてくださいね、お坊っちゃま?」


「わざとじゃないのは分かってます! でもドキドキしました!!」


 俺がそう言うと、メイド長はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


「あらあら、お坊っちゃま? あのまま致してもよかったのですよ?」


「な、何言ってるんですか!?」


「冗談ですよ、お坊っちゃま♡」


 メイド長は楽しそうに笑いながら、佐々木さんをひょいっとお姫様抱っこすると、部屋を出ていった。


「この子は私が今日預かりますね♪」


 そのまま、俺の部屋の扉が閉まる。


 静寂が訪れた——。


「はぁ……な、なんとかなった……」


 俺はまるで糸が切れた人形のように、地面にへたり込む。


 まさか、佐々木さんの寝癖がここまで破壊力があるとは思わなかった。


 ……というか、メイド長、どこまで知ってて助けに来たんだ!?



 俺は深いため息をつき、頭を掻きながら呟く。


「……あと少し勉強して、お風呂に入るか」


 さっきまでのドタバタが夢だったかのように、俺は静かに机へと向かった。


 でも、まだ鼓動は収まりきらない。


「……なんなんだよ、もう……」


 そう一人ぼやきながら、俺はそっとノートを開いた——。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ