表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/288

89話 強くあるべき理由

白露の下忍たちを訓練したあと、サカキは一人を呼び出していました。

アヤ視点です。



――訓練所:廊下――

「お呼びでしょうか……」

アヤはビクビクしながらサカキの前へやって来た。

サカキに周りには秘密で、と呼びつけられていた。

白露の下忍で、黒い直毛を後ろで結んでいる。目は鳶色。17歳で線の細い印象の顔立ちとよく言われる。


「君、名前は?」

「アヤ、と申します」

「アヤ……、白露には7人のアヤがいたな」

「ええと、黒松のアヤで」

「本当の名前は?」

「――え?」


「忍者になる前の名前があっただろう?」

「あ……、はい、アヤセです」

「アヤセか、いい名前だ。そちらのほうが合っているな」

「ありがとうございます」


「なぜ実力を隠している?」

「えっ?!」

いきなり切り込んでこられてアヤセは声を立ててしまった。

「君は上忍になれる素質がある。幻体目も持っている。自分でも知っているだろう?それなのになぜ隠す?」

サカキは腕を組んで、静かな表情でアヤセを見下ろしている。アヤセも身長は176ハルツ(cm)あるが、サカキのほうが頭1つ高い。


アヤセは戸惑う。

上忍って本当にすごい。あの短時間の手合わせて見抜かれてしまったのか。

理由を言っていいものだろうか、怒鳴られたりしないだろうか。

サカキの表情がふっと緩む。

「……言いたくないのならいい。俺も気が付かなかったことにする」


アヤセが驚く。

「あ、いえ……とてもくだらない理由なので――」


サカキがこちらをじっと見ている。

刀の切っ先のような切れ長の瞳に吸い込まれそうだ。不思議だが、彼にはなんでも話してもいいような気がした。

「……俺、あの4人といっしょにいるとすごく楽しいんです。彼らと、これからもずっと仲間5人組でいたいから……」

「そうか。友達なんだな」


サカキは怒ったり、たしなめたりはしなかった。

意外な気持ちでアヤセはサカキを見た。


「怒らないんですか?」

「別に。友人がいるのはいいことだ。

アヤセ。このまま下忍でいることも君はできる。

だが、上忍であればその腕前で多くの忍者を、身近にいるものを助けることができる。

それができなかったとき、君は後悔しないでいられるか?」


「それは……」

アヤセは、はっ、と顔を上げた。


考えたことがなかった。

彼ら4人といればいつも楽しくて、修行も苦にならない。

そんな日々がずっと、これからも続いて行くと思っていた。

上忍になってしまえばそれができなくなる。


でも――

今日の訓練で思い知らされた。

もしも目の前に強敵が現れたら。


今の自分ではなすすべもなくやられる。

あの4人もだ。

上忍でさえ、最初は未忍から訓練をした、と言っていた。

それなのに自分はどうだろう?


「サカキ様――」

アヤセはサカキの視線をまっすぐに捉えた。


その表情を見てサカキは薄く笑い、右手を挙げて制した。

「続きはサヤに言え。俺は敵対している忍軍のものだ。戦場で会ったら容赦はしないからな」


と言うとサカキはくるりと背を向けて歩き去った。

アヤセはその背に「ありがとうございました」と深く頭を下げた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


「というわけだ」

忍軍訓練所の廊下でサカキがつぶやく。その後ろに気配を表したのはサヤだった。


「さすがね、私ではこうはいかなかったわ」

「これを見越してあいつをうちに預けたんだろう?」

「ええ。見つけたのはつい最近だけどね。素質はあるのに実力を出したがらなかった。理由がアレだったなんて。私なら「甘えるな!」って怒鳴っちゃうところだったわ」


「それが怖くて黙ってたんだろう。上忍として強制的に訓練がはじまることも」

「自分から決意してくれたのなら何も言わないわよ」


「それがいい。それからもう1人――」

「やっぱり彼……?」

「おそらくな」


「サギリっちはどこに?」

「詰所裏手のだれも来ないところに一人でいさせてる」


「だれかが付いてくれてるのよね?」

「ああ。最強の3人だ」


サヤはうなずき、サカキとともにそこへ向かった。

アヤセ君は後日、上忍となって再登場します。

次話 90話 黄昏の隠形 は明日更新予定です。初めて妖と接触・戦闘になります。

ここまで読んでいただいてありがとうございます!よかったら、いいね、ブックマークよろしくおねがいします。すっごく励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ