表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エペ・ラピエル冒険譚(一部先行公開)

作者: 坂本裕太


  第二章「誠実の森」



 サンクトゥスを発ってまだ日が明るい内に、ヘレナは誠実の森の入口に立っていた。

 彼女の頭上には眩しい太陽と白い雲の浮かぶ青空が広がっていたが、森の頭上になると一変して、分厚い黒雲と灰色がかった霧がどんよりと漂っており、森の中からは鬱蒼とした森林の吐き出すような薄気味悪い湿った空気が静かに漏れ出ているのであった。森全体を覆う黒雲と霧のせいで陽の光が一切入っておらず、森の入口から窺える内部は夜のように薄暗い。

 ここからは先へ進むべきではないと、動物的な本能が彼女の足を地面に縛り付けていた。これでは善人どころか悪人でさえも、この森に入る事を躊躇うに違いない。

 不穏さを醸し出す森を前に、ヘレナは中々足を踏み出せずにいたが、森を迂回するというサンクトゥス王の提案を断ってここまで来た以上、今更引き返す事もできない。戻れないのであれば前進あるのみ、そう彼女は勇気を振り絞って、恐る恐る森の中へと入っていった。

 最初の木々の間を通り抜けた途端、まったく別の世界に迷い込んでしまったかのように周囲が一気に暗くなる。ひんやりとした空気が肌に張り付き、そこら中の草木や茂みがヘレナの訪れを囃し立てるように風もなく音を立てて揺れ動き出した。

 立ち止まったヘレナはレイピアを鞘から抜き、辺りを見回す。

 いつ茂みや木陰から魔物が飛び出して襲ってくるのかと怯えずにはいられなかった。日々体を鍛えていた彼女であったが、今まで魔物と戦った経験は皆無であるため、いざという時にまともに戦えるかどうかは不安である。

 ヘレナは常に左右へ目を配りながら、レイピアを構えつつ再び歩き出した。

 幸いな事に、まだ誠実の森が安全な頃に使われていたのであろう道の形跡が途切れ途切れに残っており、それを辿る事で迷わずに済みそうであった。

 森の奥へと足を進めていくにつれて、ヘレナはこの場所が持つ異様さを実感していく。

 もし、森が一つの生物だとするのなら、まったく生気が感じられないのだ。木の枝や地面には緑が生い茂り、空を求めて背を伸ばす木の幹はずっしりと太っているものの、それらの表面は乾いた土のように瑞々しさの欠片もない。

 動物の気配が一切感じられないのも不気味であった。鳥の囀る声も虫の鳴く音もなく、兎や猪が草むらから顔を出す事もない。それなのに、枝の葉や茂みがひとりでに動いて、あたかもそこに小動物が身を潜めているとばかりに物音を立てるのである。

 少なくともここが完全に死んだ森ではない事は確かだ。

 まるで生きている人間から活力を奪ったような状態だと、ヘレナは思った。ただ生きているだけ、ただ息をしているだけの、魂の抜け殻になった人間を思わせる様相である。

 彼女の幼い頃の記憶にある森というのは、もっと活き活きとしたものだった。

 両親と一緒に野草を摘んだり、木の実を収穫したりした記憶が蘇る。小枝を見上げれば鳥の親子が陽気な歌をうたっており、臆病な小兎は人間を見つければそそくさと茂みの中へ逃げ込み、どこからか迷い込んだ蝶々の一匹が一本の花に止まって一休みをしている。

 そんな光景のたった一つでさえ、この誠実の森には見当たらない。

 サンクトゥス王は凶暴な魔物で溢れ返っていると言っていたが、今のところ魔物の影すら見えないのはどういう訳なのだろうか。たまたま運良く魔物と遭遇していないだけなのか、それとも魔物の活動する縄張りのような奥地にまだ入っていないだけなのか。

 森の奥へ奥へと進むにつれて、辺りの暗闇はより一層濃くなっていく。

 それでもヘレナの目には木々の持つ輪郭がある程度見え、足元に残る道の形跡を見失わない事から、森自体が不可思議で微弱な明かりをぼんやりと纏っているのだと分かる。ただ、その明かりの強さは木や葉の色合いと関係しているようで、それらが石像の肌を思わせる灰色へと呑み込まれていくのに合わせて、徐々に頼りなく衰えていくのであった。

 しばらくして、ヘレナは自分がどれくらいの距離を歩いたのだろうかと考える。

 よくサンクトゥス城下町で走り込みをしていた彼女はまだ疲れておらず、その経験を頼りに推測すると、そろそろ森の中間あたりに差し掛かってもよさそうだと感じていた。

 とはいえ、この森の広さを正確に知っている訳ではないため、そこには彼女の希望的な観測も含まれている。体力には十分な余裕がある一方で、たった一人で魔物の巣食う魔の森を歩いている状況に彼女の精神は次第に不安定さを隠し切れなくなり、そうした不安から呼吸の間隔も段々と詰まり始めていた。

 息苦しさを感じたヘレナは自分の肩が強張って息切れを起こしている事に気付く。

 不安と緊張のあまり、無意識の内に不要な力を入れ過ぎていたのであろう。森の不穏な雰囲気に呑まれて、冷静さを失う訳にはいかない。一度落ち着くために少し休憩を取ろう。

 そう思って立ち止まったヘレナは何度か深呼吸をして、気持ちを強く持つようにと自分に言い聞かせる。それと同時に心の弱っている自分自身も認めて、己の未熟さと無知から生まれてくる恐怖を部分的に受け入れると、多少なりとも緊張が和らぐのであった。

 そう、これは例えるなら、子供が扉の隙間に潜む暗闇を怖がるようなものなのだ。まだ知らない事の方が多い子供は未知の物事に対する警戒心が強く、それ故に訳もなく泣いたり怖がったりするものだが、そういった傾向は成長するにつれて少しずつ改善されていく。それと同じように、私も旅を続けていく内に魔物との戦闘経験も重ねて、何事に対しても堂々と勇気を持って立ち向かえるようになっていくはずだ。

 前向きな思考を頭の中に思い浮かべると、ヘレナは先程よりも幾分かの落ち着きを取り戻したのであった。これによって周囲に目を向ける余裕が生まれて、改めて自分の置かれている状況を再確認した時、彼女はある違和感を覚える。

 その違和感とは、森が静か過ぎる事であった。

 森に入った時にはあれほど勝手に揺れ動いていた草木や茂みが、いつの間にかぴたりと止まっている。やはり風はなく、妙に肌と絡まるような湿った冷気が漂っていて、まるで時の流れが完全に停止してしまったかのような静寂に包まれていた。

 足音を立てる事さえ躊躇してしまう静けさを前に、冷気のせいかあるいは不気味さのせいか鳥肌の立つ感覚に襲われながらも、ヘレナが一歩足を踏み出そうとしたその時である。

 彼女よりも先に静寂を破って、どこからか不規則な物音が聞こえてきた。

 よくよく耳を澄ますと、それは草の生えた土を裸足で踏み荒らすような足音であった。その足音が大きくなるにつれて、獣染みた乱れた息遣いも混じって聞こえるようになり、少なくともヘレナと同じ人間から発せられるものではない事が分かる。

 猪にしては身軽過ぎるし、兎にしては重過ぎる。それに足音と息遣いが不揃いに聞こえてくるという事は、その生き物が最低でも二匹はいるという事だ。もし、その音の正体が兎や猪といった動物のものではないとしたら。

 足音が間近に迫ってそちらを振り返った瞬間、ヘレナは何者かに勢いよく押し倒された。

 狼のようなその生き物、いや魔物は鋭い牙を持つ大きな口を開いて、ヘレナの顔に喰らいつこうとしてくる。彼女は両腕で魔物の首元を押し返して、必死の抵抗を試みる。視界のほとんどは魔物の赤黒い口内と鉤爪のような無数の牙に支配され、彼女の顔には魔物の口から零れる血生臭い唾液と粘着性のある体液が降り掛かる。

 このままでは魔物に喰い殺されてしまう、あの時の父と母のように。魔物の手に掛かって八つ裂きにされた両親の無惨な姿が脳裏をよぎり、言いようのない恐怖が体中に走った。

「嫌、死にたくない!」

 魔物の大きく開いた口が彼女の顔に牙を突き刺そうと、何度も鼻先を掠ってくる。

 ヘレナは両腕で魔物の体をどうにか浮かせると、自分と魔物の体との間に片方の足を差し込んで、なるべく遠くへ追い払おうため力の限りに突き飛ばした。

 すぐさま立ち上がって、近くの木を背に魔物と向き合う。

 狼のような魔物は二匹いた。ただ四足歩行の姿勢である事以外、外見は狼と明らかに異なっていた。体毛がなく、骨張って痩せ細った猫背の人間に似た体型をしており、陽の光を受けていないせいか肌は色白でところどころが灰色にくすんでいる。最も特徴的なのは、皮膚を無理やり割いたような大きな口と鋭い牙が頭部の大部分を占めている点であった。

 ヘレナは進退のどちらかを決めるよう迫られる。

 この場から逃げ出したい気持ちの方が強かったものの、目の前の醜悪な外見をした魔物の動きが素早そうに見え、とても逃げ切れる自信が湧いてこない。もし背を向けて走り出したとしても、一度追い付かれてしまえばうつ伏せに押し倒されて、今度こそ本当に抵抗する術もなく喰い殺されてしまうだろう。

 それなら、死にたくなければ、戦うしかない。そう覚悟を決めたヘレナはレイピアを構えようとして、それが手元にない事に気付く。

 目を凝らして魔物の方を見ると、一匹の足元の近くにレイピアが転がっていた。ついさっき魔物に押し倒された拍子に手放してしまったのだろう。武器がなくては素手で魔物に敵うはずがない。早くレイピアを拾わなければ。

 腰のベルトに手が触れて、ふと護身用の短剣もあったのだと気付いたヘレナがそれを抜こうとするや否や、その動きに反応してか二匹の魔物がこちらに飛び掛かってくる。

 咄嗟に横へと避けた彼女であったが、露出した木の根本に躓いて転んでしまう。起き上がろうとしながら顔を後ろに振り向けると、早くもこちらに狙いを定めた一匹が頭上に飛び上がって、再び彼女に覆い被さろうとしているところであった。

 ヘレナは身を守る一心で体を上向きに反転させながら、その勢いを利用して抜いた短剣を斜め上へと振り切る。まったく間合いを考えた行動ではなかったものの、幸いな事に短剣の切っ先が魔物の頭部を斬りつけて、その場を凌ぐ事に成功する。

 魔物が痛みでのたうち回っている内に、立ち上がったヘレナは落ちているレイピアの元へと走って、それを拾い上げるとすぐに右手に持ち、短剣の方を左手に持ち替えた。

 そこへ間髪入れずに、もう一匹の魔物が突進してくる。

 レイピアという武器が斬るものではなく突くものだと覚えていた彼女は、向かってくるその魔物の首元を目掛けて、一歩前へ足を踏み込みながら一直線にレイピアの先を突き出した。

 生き物に刃物を突き立てる嫌な感触が右手に伝わってきたかと思うと、針のように細いレイピアの刃は魔物の肉体を怖いほど簡単に貫通してしまった。魔物は四つの脚を激しく動かして苦しそうにもがいた後、急速に元気をなくしていき、何度かの痙攣を経て息絶えた。

 レイピアの突き刺さった部位から薄っすらと垂れてくる血は黒くも赤色をしていた。全ての魔物がそうではないだろうが、魔物も人間と同じ赤い血を流すという事実を目の当たりにしたヘレナは何とも言えない感情を覚える。

 彼女が目の前の事に気を取られている間に、残っていたもう一匹の魔物が傷の痛みから獲物であるヘレナへと意識を向け直したらしく、激昂した様子で襲いかかってくる。

 それに気付いた彼女は魔物の亡骸からレイピアを引き抜いて構えた。

 大丈夫、今やったようにもう一度同じ事をするだけで良い。私は魔物を倒す事ができたのだから、決してあの時のように弱い子供のままじゃないんだ。

 地面を強く蹴って飛び掛かってきた魔物に合わせるように、彼女の突き出したレイピアは魔物の首元と胸部の間に刺さって、背骨を避けて背中へと貫通した。だが、致命傷には至らなかったようで、執念深く獲物へと襲いかかろうと牙を見せ、前脚が空を切る。

 ヘレナは怯えつつも左手の短剣を振り上げて、一思いに魔物の頭部へ突き立てた。

 それが止めとなって絶命した事を確認すると、彼女はようやく魔物との戦闘が終わったのだと確信して、湧き上がる安堵感からその場に座り込んだのだった。

 勝利に対する達成感や魔物を殺した事への興奮も当然あったが、それにも増して自分が生き延びた現状に思わず目元が緩んでしまうほどの安心感を覚えていた。

 汗とも涙とも分からない水滴が彼女の頬を伝う。

 魔物と戦うのがこんなにも恐ろしく辛い事だなんて。小さい頃、父と母が身を挺して魔物から私を守ってくれた時、どれほどの恐怖と苦痛を堪えていたのか、今初めて理解できたように思う。確かに私はこうして魔物に打ち勝つ事ができたけど、あの時の父と母の方が今の私よりもずっと強かった。父と母は魔物と戦う力を持っていなかったけど、娘である私を命懸けで守ってくれたのだから。それこそが本当の強さだ。私もそんな風に強くなりたい。

 ヘレナは自分の考える強さを改めて認識して、そろそろ先に進まなければと思った。立ち上がるために顔を上げたその時、彼女は視線の先にいるものを見て身を固くする。

 そこには魔物がいた。しかも、今倒した二匹の魔物とは別の種類である。数は一匹だが、まるで童話の中に出てくる怪物のような巨体をしている。ただれた真緑の皮膚をした贅肉に太い両腕を持つ様はさながら巨人のようであるものの、肩から上には頭がなく、そこから呼吸らしき音が漏れ聞こえてくるのであった。

 このままだと殺される。でも、こんなに大きな魔物とどう戦えば良いの?

 気後れしたヘレナが身動きすら取れずにいると、巨人のような魔物は彼女にではなく、彼女の前に横たわっている二つの死体に太い腕を伸ばす。その死体を掴み上げた後、恐らく肩から先にあるのであろう口の部分に放って、唾液の溜まった口内を動かしていると思われるような水気の多い音を立て始めた。

 巨人のような魔物はヘレナに気付いていない様子である。あるいは眼に相当する器官を持っておらず、視覚以外の感覚を頼りに獲物を探しているのかもしれない。

 何にせよ、行動を起こすのなら今しかないだろう。

 先手を仕掛けるべきかどうか、ヘレナは急いで思考を巡らせる。

 先程のように小柄な魔物が相手ならまだしも、これほどの巨体をした魔物と戦うのは体格差を考えても圧倒的に不利である。大木の幹のような太い腕に掴まったら最後、その拘束から抜け出す暇もなく握り潰されてしまうであろう。

 さっきの戦闘とは状況が異なり、魔物の敵意がこちらに向いていない今なら戦わずに済むかもしれない。サンクトゥス王もこう言っていたではないか。「時に己の力量を知って逃げる事は弱さでなく、勇気という名の強さである」と。

 巨人のような魔物から目を離さないようにしつつ、抜き足で一定の距離を取ったヘレナは一目散に逃げ出す。

 走っている途中で思い切って後ろを振り返ってみると、巨人のような魔物がこちらを追ってくる気配は一切ない。それでもどこか安心できない気持ちがあって、しばらくの間は走る速度を緩めずにいたのだった。

 体力には自信のあったヘレナも歩き詰めのせいで疲れを覚え始めて、さらに魔物との戦闘で精神を擦り減らした事も重なり、その足取りが次第に鈍くなってくる。進めど進めど辺りの景色が一向に変わらず森の出口に辿り着かない事も彼女の疲労感を強める一因となっていた。

 長い時間を歩いても森を抜けられない現状が続くあまり、若干のもどかしさを募らせたヘレナは自分が頼りにしている足元の道に対して疑いの目を向ける。

 はたして、これは正しい道なのだろうか。他に頼れる道標もなかったため、足元に残る道らしき跡を辿ってきたものの、これが魔の森と化す前に使われていた通行人のための道だという確証はそもそも得られていないのだ。たまたま自然によって形成された道らしき土かもしれないし、魔物の徘徊によって出来た獣道かもしれない。

 そうした疑念が頭に浮かんできたものの、ここから後戻りをしてもこの現状を打開できるようには思えなかったため、結局のところ前へ進む以外の道はなかった。

 心も体も疲れてきたヘレナが縋るようにレイピアの柄を固く握り締めながら歩みを進めていると、突然周囲に白い煙のような霧が立ち込めてくる。それと気付いて足を止めた時にはすでに何も見えなくなっており、辺り一面が真っ白な空間へと変貌していた。

 魔物の襲来かと一瞬身構えたものの、何かが襲ってくる気配はなかった。

 もしかすると限られた魔物だけが使えるという不思議な力、魔法によって別の場所へと飛ばされたのかとも考えたヘレナは自分のいる場所を確認しようとする。

 微弱な光を帯びているらしい霧の中にじっと目を凝らすも、物の輪郭や影すらもまったく見えない有様であって、体の前に突き出してみた腕がすっかり呑み込まれてしまうほど濃い密度をしており、自分の体の下半身さえもまともに見下ろす事ができない。

 しかしながらも、森の木々が放つ独特な香りは感じられて、足の裏からは依然として草と土を踏む感触が伝ってくるところから察するに、まだ自分は森の中にいるのだと判断した。

 これが魔物の仕業にしろ、森の自然な現象にしろ、何も見えないこの状態で魔物に襲われたらひとたまりもない。もしまた、あの狼のような魔物や巨人のような魔物と遭遇したら、まともに戦う事も逃げる事もできないのだから。

 最悪の事態が頭をよぎって焦ったヘレナは己の方向感覚を信じて前へ進む。

 とにかく歩き続けるように意識していたが、不意に木の幹に頭をぶつけたり茂みへ体を突っ込んだりしないよう慎重に歩く必要があり、時々立ち止まって、体の前でレイピアを振って進行方向に障害物はないかと確かめなければならなかった。

 焦る気持ちとは裏腹に遅々として進まない足取りがもどかしく、一秒でも早く霧が晴れて欲しいとヘレナは願う。一筋の太陽の光さえ入らないこの森は鬱蒼としていて、元より視界が良好とは言えなかったものの、霧で何も見えないよりは遥かにましであった。

 目は見えるのに物が見えない、そんな状況が彼女の精神を擦り減らしていく。

「……て、……てよ」

 つとヘレナは人の声を聞いた気がして、立ち止まって辺りを見回す。

「やめてよ、なんでそんな事をするの?」

 今にも泣き出しそうな幼い女の子らしき声がはっきりと聞こえた。

 森の中に迷い込んだ子供が魔物に襲われているのだと思ったのも束の間、ヘレナはこんな森の奥まで子供が辿り着けるはずがないと冷静に考え直す。きっと、何かの勘違いだ。極度の緊張感と疲労感のせいで幻聴でも耳にしたのだろう。

 軽く頭を振って再び前を向いた彼女は突如として現れた不可思議な光景に唖然とする。

 そこはサンクトゥス城下町であった。

 周囲には見慣れた城下町の住宅が立ち並んでおり、ヘレナはやや開けた空き地の真ん中に立っている。頭上には雲一つない綺麗な青空が広がっていて、何匹かの小鳥が元気に囀りながら横切っていく。そんな青空から降り注ぐ太陽の光に思わずヘレナは目を細めた。

 おかしい、私は森の中にいたはずなのに、どうしてサンクトゥスの町に立っているのか。もしかして、深い霧に幻覚作用があって、妙に現実感のある幻を見ているのだろうか。そうだとしたら、先程はっきりと聞こえた子供の声らしき幻聴にも説明が付く。私はまだ森の中にいるのだから、この光景に惑わされず慎重に行動しなければならない。

 戸惑いの気持ちを押し殺すように深呼吸をしたヘレナは前に進もうとする。

「ほら、見ろよ、こいつまた泣き出したぜ?」

 またもや聞こえた声の方を見遣ると、彼女のすぐ近くに複数人の子供がいた。

 三人ほどの男の子が一人の女の子を取り囲んでいる。男の子達は楽しそうに笑い声を上げながら、蹲っている女の子をしきりに囃し立て、時には面白がって虫を突くように足の先で女の子の背中を小突いていた。その青い髪をした女の子は泣きながらそれに耐えている。

 ヘレナは胸の奥が締め付けられるような息苦しさを覚えた。

 何故なら、そのいじめられている女の子は幼き頃の自分であったからだ。これはヘレナがサンクトゥスの牧師に引き取られて間もない頃の記憶、一人で遊んでいるところをいじめっ子達に見つかってしまい、弱虫だの泣き虫だのとからかわれているところである。

 彼女は確かに弱かった。愛していた父と母を亡くしており、新しい環境に放り出されたばかりのために友達もおらず、頼るべき牧師にもまだ心を開いていなかったのだから。

 この光景は幻覚だと自分に言い聞かせても、ヘレナは心の乱れを完全に静める事ができなかった。いじめを受けている自分自身の弱い姿を見せつけられて、当時の心境が甦ってくると共に呼吸が荒くなり、無意識の内に彼女の口から「やめて」という弱々しい声が溢れ始める。

 ヘレナは気を確かに持とうと、右手に持っていたレイピアを強く握り締めた。

「大丈夫、私はもう、この時みたいに弱い女の子のままじゃない。私は変わったの」

 そう自分に言い聞かせた直後、ヘレナの左肩に誰かの手が触れる。

「そうよ、貴女はもうか弱い女の子じゃないの」

 誰かに耳元で囁かれて、ヘレナは二、三歩後退った。

 見ると、その誰かはよく見慣れた人物であった。

 さっぱりとした短い青髪に透き通るような翠眼、着ている衣服はサンクトゥスから旅立つ前日まで愛用していた普段着、彼女はまさしくもう一人のヘレナである。ただ一つ、ヘレナ本人と違うところは、彼女が今までにした事のない凶悪な笑みを浮かべているところだ。

 もう一人のヘレナは本物のヘレナの背後に回り込み、その両肩に掌を添える。

「貴女は十分強くなった。それこそ、自分をいじめるこいつらに仕返しをしてやれるぐらいにはね? だから、今こそ弱い自分と決別する時よ。さあ、こいつらに貴女の強さを知らしめてやるの。ああ、もし、やめてくれてと泣き喚いても許してやる必要なんてないわ。生かすも殺すも貴女の気分次第なのだから。思う存分に気の済むまで痛めつけて、こいつらの腕や足を好きなだけ折って、その首を斬り裂いてやるのよ!」

 その言葉を実行に移した自分の残虐な姿を想像して、身の震えるほど恐ろしくなったヘレナは首を横に振って、もう一人のヘレナの言った事を否定する。

「違う、強くなるっていうのは、残酷な事を平気で出来るようになる事なんかじゃない。私が思い描く『強さ』は、もっと正しくあるべきもので、それこそ自分だけじゃなくて、大切な誰かを守れる力であって、決して誰かを傷付ける力じゃない」

 もう一人のヘレナは彼女の訴えを嘲るかのようにせせら笑う。

「何を言っているの? 人を殺す事が本当の強さよ。だって、そうじゃない? 誰かを、そして自分を守るためだと言って争いをする人間達は皆、それこそ弱い者を守ろうとする同じ人間を相手に、ただ敵同士だからという理由だけで殺し合いをしているわ。殺す相手にも守るべき家族や友人があるだろうにね。でも、それで良いのよ。それでこそ、人間は強くなって、初めて大切なものを守る事ができるのだから。さっきの貴女もそうだったでしょう? 自分の命を守るために、同じく命ある魔物を殺したわ。そして今、目の前で貴女を虐めるこいつらもまた魔物と変わらない。貴女が自分自身を守らなければ、貴女は魔物に喰い殺されてしまうわ」

 ヘレナは言い返すべき言葉が見つからずに黙り込んでいた。

 もう一人のヘレナの言っている事はもっともらしく、真理を突いているように思えた。誰かを守るという事は、その一方で誰かを傷付けるという事にも繋がる。確かにその通りかもしれない。だけど、だからといって、他者を傷付ける行為を正当化しても良いのだろうか。そうしなければ、私は強くなれないというのだろうか。

 そんな心の迷いを見透かすように、もう一人のヘレナはレイピアを握る彼女の右手に自分の手を重ねて、耳元でこう囁いてくる。

「ほら、簡単よ。貴女を喰い殺そうとした魔物を殺した時と同じように、これでこいつらの喉を一突きすれば良いの。そうすれば、貴女は弱い自分自身を守る事ができるわ」

 心臓の鼓動が早くなるのを感じて、ヘレナは残り少ない理性にしがみ付く。

 落ち着くのよ、私。もう一人の私のもっともらしい言い分に耳を傾けてしまうのは、彼女もまた私自身の心の声だからよ。振り払うべき雑念、つまり彼女の発する言葉の中にも正しい答えが隠されている。私を守るのは他でもない私自身だ。

「何を迷っているの? 貴女はもう弱くない。強くなった自分を証明するために、正義を以てこいつらを殺すの。大丈夫、誰も貴女を責めたりしないわ。だって、それは正しい、いわば正義だもの。さあ、勇気を出して、一歩前に踏み出すのよ!」

「……そうね、貴女の言う通りだわ」

 ヘレナは右手に触れているもう一人の自分の手から離れて、レイピアの柄を握り直す。

「もし、誰かを殺す事によって『強さ』を証明できるのだとしたら、その殺すべき相手は心の弱さから生まれた自分自身、つまり貴女よ!」

 そう言い放つと同時に、ヘレナはもう一人の自分をレイピアで振り払う。

 上半身と下半身が真っ二つになったもう一人のヘレナは苦しむ様子もなく、とらえどころのない笑みを浮かべながら煙のように消え失せてしまった。彼女の消失を皮切りに、サンクトゥスの街並みやいじめっ子達の姿も薄霧と化して、背景の中に溶けていく。

 気が付くと、ヘレナは元いた森の中に立っていた。

 自分の体すら見下ろせないほど濃かった霧もすっかり晴れており、つと何気なく先程までいじめっ子達のいた方へ目を遣れば、そこには毒々しい棘を持った茨の吹き溜まる大穴がぽっかりと口を開けていたのだった。無数の蛇のように絡み合う茨の中には、動物ものか人間ものか分からない白骨がいくつも散らばっている。

 もしも、もう一人の自分に誘われるがままに、幼い頃の自分を守ろうといじめっ子達に斬り掛かっていたら、今頃この大穴に落ちて鋭い茨の棘に体を引き裂かれていた事であろう。

 それと知ったヘレナは身震いをする。

 やはり、あのサンクトゥスの街並みやいじめっ子達、もう一人の私は霧によって作り出された幻覚だったのだ。しかし、幻覚にしては妙な現実感があったし、私の命を奪おうとする明らかな意思があったように思う。近くに魔物のいる気配はないし、一体何者の仕業なのか。

 周囲を警戒しつつ、ヘレナが進むべき道を探そうとした時、辺りに柔らかな光が溢れ出す。

「善き心を持つ旅人よ」

 それは人間の発するものとは異なる質感を持った、残響を伴う厚みのある声であった。

 頭上から響いてきたその声に振り返ったヘレナの視線は自然と上を向き、そこに一本の大きな樹木を認める。他の木とは比べ物にならないほど巨大で存在感があり、幾多にも伸ばした枝と葉はこの辺りの上空を全て覆い隠しているようであった。

 大樹の姿をした魔物かと思った彼女はレイピアを構える。

「恐れる事はない。儂はこの森の生命を見守る年寄りの樹。邪悪な魔物ではない」

 ヘレナはサンクトゥス王の言っていた『誠実を尊ぶ老樹木』の事を思い出す。

「もしかして、あなたが賢樹様?」

「ほう、まだ儂の事をそう呼んでくれる人間がおるとは。いかにもそのとおりだ」

 そう穏やかに話す老樹木から敵意は感じられず、ヘレナは武器を下ろした。

 サンクトゥス王から聞いていた誠実の森と老樹木に関する話によれば、魔の森と化した影響によって善人と悪人の区別を正しく付けられなくなっているであろう賢樹様は危険だ、との事であったが、今のところ話は通じそうな様子である。

「まずは先程の非礼を詫びるとしよう。善き心を持つそなたに邪悪なる幻影を送り込み、抗い難い言葉の誘惑を以て、死という現実の底へ陥れようとした事、誠に申し訳ない。何年ほど前になるか、人間の少女の姿をした悪しき存在の瘴気に屈して以来、儂の意識は光の無い深き眠りの中に沈められてしまい、体の自由が利かなくなっていたのだ」

 ヘレナは老樹木の言う「少女の姿をした悪しき存在」に心当たりがあった。

「賢樹様、その少女は黒髪に金色の瞳をしていなかった?」

「おお、まさしく、闇夜に溶け込むような漆黒の長い髪に、満月のように鈍く光る金色の瞳を湛えておった。あれは非力な少女に身をやつしておるが、その実体は強大な悪の力を秘めた異国の魔王故、いずれこの土地に生きる全ての人間と魔物を支配するであろう」

 重苦しい口調でそう語る老樹木を見て、ヘレナは事態の深刻さを改めて認識する。

 異国の魔王、その力が強大である事はすでに彼女も知っている。サンクトゥス王城を襲撃して、大勢の兵士や騎士に囲まれていながら物ともせず、一部の魔物にしか使えない魔法を操って、いとも簡単にエミティア姫を攫っていったのだ。

 魔王の目的は人間を滅ぼし、世界を支配する事なのだろう。これまで語られてきた、この土地に現れては時の勇者によって退治されてきた数々の魔王の目的もそうであった。

 しかし、ヘレナは今回の魔王がかつての魔王達とは違う特徴を持っているように思えた。

 賢樹様の話を聞く限り、魔王が現れたのは最近の事ではなく、何年も前の事である。これまでの魔王は現れたその瞬間から人間を殺戮したり主要な城を攻めたりしたようであったが、今回の魔王はそれらを行ったという話を一切聞いていない。先日のサンクトゥス王城襲撃がそれだとしても普通の侵略行為とは毛色が違い、その被害は最小限に留まっており、城下町に関してはまったくの無傷であった。

 サンクトゥス王城襲撃の際に魔王が行ったのはただ一つ、エミティア姫の誘拐である。しかも、エミティア姫が無事十四歳を迎えて、聖人としての洗礼を終えたばかりの事であった。

 これは偶然なのであろうか。もし、聖人となったエミティア姫を自らの目的に利用するためにその日を待って潜伏していたのだとすれば、あの魔王の脅威はその強大な力だけではないと言えるかもしれない。

「ああ、儂にはもう時間がない」

 突然苦しみ出した老樹木の声を聞いて、ヘレナはふと顔を上げる。

「どうしたの? どこか具合が悪いの?」

「儂の意識が再び、光の無い深き眠りに沈もうとしておるのだ。先程はそなたの強き心、邪悪なる幻影に映し出された己に打ち勝つ様を見て、儂は正気を取り戻した。だが、かの魔王によって呪われたこの森を浄化するまでには至らなかったようだ。儂が正気を保っている内に、微力ながらそなたに儂の加護を授けよう」

 老樹木は身を震わせるように枝葉を揺らして、ヘレナの足元に一本の小枝を落とした。

 彼女はその小枝を拾い上げる。それは掌に収まるほどの短さであり、一見すればそこら辺に生えている普通の木の枝と何も変わらないようであった。

「その枝には儂の霊力が込められておる。いつしか、そなたの力ではどうにもならぬ、出口なき迷路へと閉じ込められた時に、一度だけ進むべき道を指し示してくれるであろう」

「ありがとう、賢樹様。だけど、私は今まさに、この森から出られなくて困っているところなの。魔王に攫われたエミティア姫を助け出すため、森を北に抜けたいのだけど……」

「案ずるでない」

 不安がるヘレナを見てか、老樹木は優しく語りかけるような声で続ける。

「儂が森の出口へと導いてやろう。この森の地中の至る所には儂の根がいくつも生え広がっておる。それを使えば、そなたは道に迷う事なくこの森を抜けられる」

「賢樹様の根を?」

 その言葉の意味をヘレナが理解するより先に、老樹木の根本から一本の太い根が半分ほど顔を出す。その根は老樹木の本体から放たれるものと同じ柔らかな光を帯びており、土竜の通った跡のような地面の盛り上がりを作りながら、彼女の進むべき道を示してくれる。

「この光る儂の根を辿っていけば良い。ただ、急いだ方が良いだろう。儂の意識はすでに薄れつつある。儂の意識が途切れた時、この根がそなたの命を奪おうとするやもしれん」

 自分の身よりも相手の事を心配してくれる老樹木に、ヘレナはもう一度感謝する。

「賢樹様、ありがとう。私は必ず魔王を倒して、あなたとこの森も救ってみせる」

 彼女は老樹木の小枝を腰のポーチに仕舞い込むと、光る根の伸びる方向へ駆け出した。

 暗くて鬱蒼とした魔の森にようやく現れた頼るべき道標ほど心強いものはない。老樹木の根が放つ光は森の隅々を照らし出す事まではできなかったものの、その明るさ以上に彼女の心を晴れ渡らせて、体中に溜まっていた疲労感を一時的に取り払ってくれた。

 次第に森の木と木の間隔が広がり始めて、視線の先に外の光が見えてくると、ヘレナの足取りはより一層軽くなる。その一方で老樹木の根が放つ光は衰えつつあった。

 ヘレナを危険に晒さないよう必死で意識を保とうとしているのだろう。それでも少しずつ堪えきれなくなっているのか、老樹木の根が苦しむ蛇のように蠢いている。賢樹様の気遣いを無駄にしないためにも、早くこの森を抜け出さなければいけない。

 このまま走り抜ければ森の外へ出られる。そう思ったその時、彼女の向かう先の地面から一本の根の先が飛び出して、森の奥へ引き戻そうとこちらに迫ってくる。

 ヘレナは驚いたが、走る足を止めなかった。

 ここで立ち止まったり、引き返したりしてはいけない。怖がらずに前へ進まなければ。

 迫り来る根の先がヘレナの体を捕らえようとした瞬間、彼女は咄嗟に走る勢いを利用してその根と地面の隙間へ滑り込んだ。地面を強く蹴って、兎のように出来るだけ前へ身を乗り出して飛び込むと、そのまま前転をしてからすぐに立ち上がる。

 追撃してくるであろう根に応戦するため、後ろを振り返ったヘレナがレイピアを構えたものの、そこには鬱蒼とした森の木々が薄暗い闇を湛えて広がっているだけであった。

 しばらくの間、彼女は身構えたまま動けずにいた。

 何故、つい今程まで襲いかかっていた根が攻撃を止めたのか疑問であったが、今自分の立っている場所が森の外である事を知った途端、その訳に納得がいく。賢樹様の力が及ぶ範囲はあくまで誠実の森の中だけなのだ。

 安堵したヘレナはその場に座り込んだ。上空には傾きつつある太陽が見える。

 彼女は再び太陽の光を浴びる事ができたのを嬉しく思った。森の中にいる間はずっと張り詰めたままであった緊張の糸が解けると、それまで溜め込んでいた体中の疲労が汗を伴って吹き出して、手足に蓄積していた痛みを次々と思い出させる。

 凶暴な魔物の蔓延る誠実の森を抜けるまでの間に、彼女が命を落としてもおかしくなかった状況はいくつもあった。魔物に襲われた時や老樹木の幻覚に惑わされた時など、一歩間違えればこうして太陽の下に戻ってくる事はできなかったであろう。時の運が味方をしてくれた場面もあったかもしれないが、それらの予断を許さない状況を切り抜けたのは他でもない自分自身なのだと、彼女の心に確かな自信が芽生える。

 その湧き上がる自信に力を得たヘレナは体の疲労や手足の痛みを堪えて立ち上がる。

 ここで満足してはいけない。私にはまだ目指すべき先があるのだ。サンクトゥス王が言うには、魔王の行方を探るためにラクス南港町で情報を集めた方が良い、との事だった。

 彼女はポーチから地図を取り出して、ラクス南港町の位置を確かめる。

 誠実の森を抜けたら、そこから北上したところにその港町があるようだ。地図上からはそこに要する日数や距離が分からないものの、今日一日で港町に到着するのは難しそうである。

 それでもなるべく気力が残っている内に進めるだけの距離を稼いでおこうと、ヘレナは北へ向かって歩み始めた。幸いにも彼女には野宿の経験はあったため、外で夜を明かす事に抵抗はなかった。まだ父と母が生きていた頃の、サンクトゥス城下町へ移り住むために経た過酷な旅の記憶がこんな形で役に立つ時が来るとは。

 ヘレナはここに来てようやく、旅の始まりを実感したのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ