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①俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます 一部一章 ~スカートめくりま扇と神様ヒロインのエロ修羅場!?編~  作者: ぺんぺん草のすけ


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いざ、門外へ!(3)

 しばらくすると、ヨークは一人の男と共に宿舎から出てきた。

 入り口前で男はヨークと別れると、そのまま第一の騎士の門を警護している守備兵たちのもとに赴き、なにやら話し始めた。


 一方、ヨークは自分の馬を引きながら、タカトたちのもとに戻ってきた。

「さぁ、少年! 門外のフィールドに入るぞ!」

 その掛け声とともに、自分の馬にまたがる。

 馬が鼻を鳴らし、ひづめで地を打った。


 両開きの騎士の門に守備兵が数人ずつ分かれて立つと、壁のような門を力強く押し開き始めた。

 門の隙間から乾いた風が吹き抜け、空気が一変する。

 辺りの気温がじわりと上がった。

 それに呼応するように、守備兵たちの表情が引き締まり、武器を持つ手に力がこもる。

 門の開閉を見守るヨークの瞳も鋭く光り、張り詰めた気配がその場を包んでいた。


 重厚な門にもかかわらず、意外なほど静かに開いていく。

 それはまるで、映画の幕が開いていくかのように──

 門の枠内にだけ、こことは違う世界が写し出されていくようであった。


 ゴーン


 門が鈍い音を立てると、押し広げていた守備兵たちの動きが止まる。

 第一の騎士の門が、完全に開ききったのだ。


 突如として、一般街の中にぽっかりと大きな穴があいたかのように、

 門の向こうには荒野と、澄みきった赤い空が、彼方まで続いていた。


 挿絵(By みてみん)


 門の向こうに広がっていたのは、第一の門外のフィールド。

 タカトたちが暮らす融合国とはまったく異なる、荒野の世界だった。


 草木もまばらで、荒れ果てた大地が広がっている。

 門外には少し強めの風が吹いているのだろう。

 見渡す限り平らな大地に、砂埃が舞い散る。

 ところどころに枯れ果てた茂みがポツリポツリと点在し、

 さらにその奥、赤茶けた空気の中に、石造りの建物がぼんやりと浮かんでいた。


 赤い大地。どこまでも続く、火星のような風景――

 それはまるで、希望も命も飲み込んでしまうような静寂だった。


 それを見つめるタカトは思う。

 ――これが、門の外の世界……。


 門前広場で馬を進めるヨークは、軽く手を上げて第一の門の守備兵たちに挨拶を交わした。

 そして、意気揚々とタカトたちを引き連れ、門外の荒野のフィールドへと入っていった。


 ヨークたちが目指すのは、門外フィールド内にある第一の駐屯地。

 この騎士の門の外には、聖人国と魔人国との境界線が存在する。

 そして、その境界線近くに設けられているのが、守備兵たちが守りを固める前線の駐屯地である。


 つまり、そこは――聖人国と魔人国との争いの最前線。

 ゆえに、毒消しや傷薬といった消耗品は常に不足しており、戦地の緊迫感が常に張りつめている場所なのだ。


 ヨークは馬上から振り返り、タカトたちに声をかけた。

「門外はな、本物の戦場だ。魔物も普通に出るし、油断したら死ぬぞ。しっかり気を引き締めておけ」


「ええ~……そんな怖いこと言わないでよ……」

 タカトは思わず弱音をこぼす。

 だが、すぐに少しだけ希望を込めて尋ねた。

「でも……このあたりって、まだ聖人国のフィールドなんでしょ? だったら、そこまで危なくない……よね?」


 そう、騎士の門外に広がるフィールドは、聖人国と魔人国、それぞれの勢力が支配する領域に二分されている。

 その二つの領域が接する部分が、“境界”だ。

 この境界は固定されたものではなく、日々揺れ動く。

 聖人国側の騎士が従える神民の数と、魔人国の騎士が従える神民魔人の数。

 ――その戦力比によって、境界線はじわじわと押し引きされているのだ。

 今、タカトたちが足を踏み入れた場所は、聖人国の騎士の門に近い位置にある。

 当然、ここは聖人国側のフィールドだ。

 聖人国のフィールド内では、神民は“神民スキル”を使うことができる。

 たとえば、魔装騎兵が持つとされる「限界突破」や、騎士が使える絶対防壁「騎士の盾」などがそれだ。

  だが、もし魔人国の神民魔人や魔人騎士がこの地に侵入してきたら……

 ここは彼らの所属するフィールドではないため、彼らのスキル「魔獣回帰」や「騎士の盾」は発動しない。

 つまり、自軍のフィールド外で戦うことはスキルを封じられた状態で戦うということ。

 それは、あまりに不利で、危険な行為なのだ。

 ――だからこそ、タカトは願うように言ったのだ。

「ここは聖人国のフィールドだから、大丈夫だよね」と。

 たとえそれが、希望的観測にすぎなかったとしても。


「大丈夫とは言い切れん」

 馬を進めながら、ヨークは淡々と告げた。


「およそ三年前――魔人騎士ヨメル本人が、なぜか魔物を率いて聖人国のフィールド内に侵入し、輸送部隊を襲ったらしい」

「え……!?」


「そのとき輸送部隊は、甚大な被害を受けたそうだ」

 ヨークの顔には、冗談めいた色は一切なかった。

「幸い、近くにエメラルダ様がいたおかげで、多くの神民は助かった。だが……」


 空気が一瞬、重く沈んだ。


「……一般国民のほとんどは、命を落としたと聞いている」


 顔を見合わせるタカトとビン子。

 今さらながら、門外のフィールドに足を踏み入れたことを後悔し始めたようである。


 ……だから言っただろ、あれだけ権蔵が「門をくぐるな」って。


 まったく、このバカチンが!


「いいか。神民でないお前たちが人魔症にでもかかったら、その場で殺処分になるからな。気をつけろよ」

「……せめて、人魔収容所とか……」

「バカか! ここは戦場だぞ! よほど暇でもない限り、いちいちそんなことに構ってられるか!」


 タカトはビン子と顔を見合わせ、震えながら言った。

「きっと、大丈夫だって……ここは聖人国のフィールドなんだ。大丈夫……大丈夫だって……」

「だから、権蔵じいちゃんの言いつけを守らないから……」

 すでに涙ぐんでいるビン子ちゃん。


 その時、ヨークが前方を指差した。

「あれが駐屯地だ」

 荒野の果てに見える四角い石造りの建物。

 ビン子はほっとしたように目を細め、ぽつりとつぶやく。

「意外と小さいのね……」

「まだ、距離があるからな」

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