黒の魔装騎兵と赤の魔装騎兵(2)
森深くに踏み入った少年たちは、女を木の幹へと無理やり押しやった。
その女の前では、先ほどの新入り少年が緊張したようすでナイフを一つ握っている。
胸元の谷間に差し込まれたナイフの刃先がいやらしくスライドしていくと、ドレスの布地に触れた瞬間、女の体がびくりと震えた。
「やめてぇ!」
半魔女は泣き叫びながら必死に抵抗をはじめた。
「あんまり動くとケガするよ」
嬉しそうなナイフが、徐々に半魔女の服を切り裂いていく。
体を押さえつけていた少年たちも、次第に見える女の肌に興奮が隠せない様子。
「ちょっと俺たち気持ちいい遊びをするだけだからさぁ」
「ちゃんと終わったら、帰してあげるから、じっとしてなよ」
「いやぁぁぁぁ! いやぁぁぁぁ!」
だが、それでも女は首を振りながら泣き叫ぶ。
石に腰を下ろしていたベッツが、ため息混じりに立ち上がった。
「ったく……騒がしい女だな」
ポケットをまさぐると、くすんだ銀貨を一枚、つまみ上げる。
「ほらよ。欲しけりゃ静かにしてろ」
ベッツの横にまとわりつく少女たちが、その銀貨を見て驚きの声を上げた。
「ベッツ! 太っ腹! 半魔女を抱くのに銀貨1枚も出すなんて!」
「でも、こいつら全員を相手にするんでしょwww」
「サルみたいに朝までやるわよ、きっとwww」
――朝までか……いつか俺もビン子を朝まで、クックックッ……まってろよ! ビン子!
ベッツが指ではじいた銀貨がくるくる回って飛んでいくと、女の足元にポトリと落ちた。
その銀貨を見た瞬間、女の動きがぴたりと止まった。
連れ込み宿で身を削るように働いても報酬はわずか銅貨五枚。
そこから布団の交換代、衣装の洗濯代が引かれれば、手元にはほとんど何も残らない。
時には避妊具すら惜しんで眠りにつく日もあった。
それが、この少年たちのおもちゃにされることを我慢すれば、銀貨一枚 千円が手に入るのだ。
たかが千円……
普通の人から見れば、はした金である……
だが、その金額が彼女にとってどれほどの価値を持っていたか、少年たちは知るよしもない。
――このお金があれば……あの人への誕生日プレゼントが買える……
ほんのひととき、まぶたの裏に浮かんだ、ささやかな夢。
まるで諦めたかのような表情をする女は力なくうなだれる。
――ごめんね……ヨーク……アタイ……どんどん汚くなっていくよ……
それを待ってましたと言わんばかりに、前に立っていた少年の唇が小刻みに震える女の口へとむしゃぶりついた。
それはキスと言うには、ほど遠い荒々しいものであった。
少年の左手は女の胸をワシ掴みにすると激しく円を描きだす。
我慢ならない様子の右足は女の太ももの内側に押し当てられると無理やり隙間を押し広げた。
おそらく少しの時間も惜しいのだろう、空いた右手はすでにズボンのチャックをずり下げようとしていたが、どうもパンツが布が噛んだようで、それ以上したに下がらない様子。
覚悟を決めた女は静かに目を閉じた。
諦めではない。怒りでもない。
ただ、そこに感情を置いてくるしか、耐える方法がなかった。
ついに、待ちわびた一つの口が女の胸の頂で紅潮し固くなった出っ張りにガブリと力いっぱい噛みついた。
あっ!
そんな口からは喘ぎ声のような、いや悲鳴のような声が漏れおちた。
ちなみに、この「あっ!」女のか細い声ではないwwww
おそらく、もう、感極まっちゃったんでしょうねwww
しかし、そんな荒々しい少年の動きはそこでピタリと止まってしまった。
いつまでたっても何もしてこないのである。
もしかして、この少年は百戦錬磨の男の様にじっくりと女をじらすタイプなのだろうか。
いや、そんなことはないだろう。
あの焦り方、どう考えても童貞だ。
開かないチャックをいまだに握りしめて小刻みに揺らし続けているのだから。
おびえる――いや、焦れる女は、恐る恐る目を開けた。
目の前の少年の顔は、赤いトサカの大きな鶏になっていた。
卵ほどもある緑の瞳が、じっと女の瞳を見つめている。
しばしの静寂が……森の中に落ちた。




