389 集団戦
日中の訓練は、自分の得意分野を伸ばす訓練だった。おそらく欠点については自主訓練に任せてくれるみたいだ。
ちなみに俺の日中の訓練は、何故か他の人とは別の訓練となった。
「シュウは、どんなゴーレムが作れるんだ?」
どうやら昨日の特訓の様子を見られていたらしい。別にバレても良いと思ったから良いんだけどね。
「想像できるものであれば何でも。もちろん材料次第ですが。」
「そうか! ではドラゴ……」
「見たこと無いので無理です!」
いや、前世の記憶に有るから行けるか? 面倒事になりそうだから言わないけどさ。
「そうか。逆に何なら作れるんだ?」
「無難にゴブリンにオークやオーガとかでしょうか。」
「オーガか。それで良いから作って見せてくれ。」
「はい。」
どうせ作るのなら地下9階で見かけた剣と盾を持ったハイオーガにしよう。
俺は記憶を頼りにハイオーガを作るのだった。武器は石の盾と剣なのは仕方が無い。
うん、結構な自信作になったな。自分でもホレボレするぜ!
「なっ! こ、これはハイオーガか!? こんなのに出会ってよく生きていられたな。」
「し、資料を見たことがあったんです。」
「そりゃそうか。ハイオーガが現れたとなったら騒ぎになるだろうし、村の1つや2つは無くなっているからな。」
「そ、そうですね。」
まさか入団試験前にも狩りまくっていたとは言えないな。内緒にしておこう。
「こいつの動きはどうなんだ?」
「では、動かしてみます。」
俺は記憶を頼りに……あれ? どんな動きをしていたっけ? サーチ&デストロイにて速攻で沈めていたからな。今一つ記憶に残っていない。
まぁ、オーガの動きを1.5倍の速度で動かせば良いか。
「ほぉ! これは良い訓練になりそうだな。シュウ、これを後何体出せる?」
「えっと。」
とりあえずドローン操作による限界でもある9体を作ってみることにした。
「おぉ! これは壮観だな。動かしてみてくれ。」
「はい。」
俺はオーガを動かしてみたのだが、全部が一糸乱れぬ同じ動きになっていた。バックダンサーか?
つーか9体同時に別々の命令で動かすなんて無理に決まってるじゃん。どんな脳構造をしていれば出来るんだよ!
「さすがに難しいか。」
「えっと、初めての経験なので難しいですね……まてよ?」
お米作りゴーレムと同様に、精霊にお願いすれば良いんじゃね?
俺は9体の土属性精霊を呼び出すと、ゴーレムへ付与させた。
「よし、まずは3体ずつの3グループに分かれてくれ。」
俺がそう言うと、3つのグループに分かれてくれた。
「そっちのグループは待機、残りの2グループで戦闘を行ってみてくれ。」
俺が命令をすると、2グループが戦い始めた。
動きは悪く無いが、完全に同じ性能同士の戦いのため、決着はつかなそうだ。
「そこまで。」
俺が命令をすると、ゴーレム達は戦闘を終了した。
「こんな感じでどうでしょう。」
「凄いな……動きが凄いのはもちろんだが、何処にでも護衛を増やせるのも悪くない。」
「まぁ、材料にもよりますけどね。これは土で出来ているので、それほど強度は無いので、そこそこの性能しか無いですね。」
「いや十分だ。ちなみに武器を変えたり、魔法を使うことも可能か?」
「武器は可能です。作っても良いですが、別途用意して持たせても問題無いと思います。
魔法については……どうだろう?」
(出来る)
出来るのか。だったら試しにMPを1だけ譲渡してと。
「ストーンアロー!」
俺がゴーレムに命令すると、ゴーレムは石の矢を繰り出したのだった。
「ほぉ!」
「出来るみたいですね。」
「よし、なら大盾持ち、剣、槍、魔法、弓の5体で2グループを作ってくれ。」
「分かりました。」
新たにハイオーガゴーレムを1体追加し、それぞれの武器を作って持たせた。さすがに弓を土では作れないため、騎士団の物を借りることにした。
オーガメイジに姿を似せて作り直したゴーレムだが、全く持つ意味は無いのだがスタッフモドキを持たせ、10回分の魔法が使える様にMPを譲渡しておいた。
「出来ました。」
「よし! では、全員集合!」
教官の一声で、訓練場にいる全員が集まった。
「これよりゴーレムとの戦闘訓練を行う。5人でグループを作る様に!」
「「「「「「はい!」」」」」」
「!?」
俺は、何故だかその言葉に対し、心の底からの恐怖を覚えたのだった。何だ?
その時、1人の訓練兵が質問をしてきた。
「教官殿、それだと2名が余ります。」
「そう言えばそうだったな。シュウはゴーレムの制御が必要だから抜くとして、後1名か……よし、1グループのみ6名を許可する。では、グループを作れ!」
「「「「「「はい!」」」」」」
あ、俺は参加しなくて良いんだ。別に精霊まかせなので、制御も何も無いんだけどな。
まぁ、参加したとしても6人のグループが2つになるだけみたいだから、安心だけどな。
そんなことを考えていたら、グループが出来たみたいだ。
「よし、左のグループから順番に戦ってもらうぞ。1グループ前へ!」
「「「「「はい!」」」」」
最初のグループが前に出た。おっ、トムさんが居るな。
「では、始め!」
教官の掛け声で、戦闘が開始された。
「よっしゃあ! 1番は貰った!」
トムさんがそんなセリフを叫び、先頭を切って飛び出して行った。
「あっ、馬鹿!」
仲間が慌てて止めに入っていたが間に合わなかったみたいだ。
トムさんは先頭の盾持ちハイオーガゴーレムに剣を振り下ろすが、盾によって防がれてしまった。
「なっ!」
トムさんは驚いているが、そりゃ防ぐよね。そこにオーガメイジによる石つぶてによる攻撃で、あっさりと撃沈させられるのだった。
その後に残った4人は、多少奮闘していたみたいだが、数の上でも負けているのも有って、あっという間に負けてしまったのだった。
「そこまで!」
そこに教官からの終了の掛け声が入った。
「お前たちが負けた原因は……言うまでも無いよな?」
「「「「「……はい。」」」」」
「どうすれば良かったのか話し合い、その結果をレポートとして提出するように。」
「「「「「はい!」」」」」
こうして初戦はゴーレム側の勝利で終わったのだった。




