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385 総当たり戦1


次の日になり、目が覚めた。



「仕事に行きたくない。」



今の俺の気分は、5月病になった新入社員の気持ちそのものだ。はぁ……

だけども犯罪者にはなりたくない俺は、無理やりにでも食事を取ると、騎士団へと向かうことにした。


昨日と同様に騎士団の訓練場へとやってきた。

向こうにカルロスさんが見えたので声を掛けることにした。



「カルロスさん、おはようございます。」


「おはよう。ちゃんと来たみたいだね。」


「犯罪者にはなりたく無かったので。」


「はははっ。昨日も言ったが、騎士もそう悪いものでもないからね。お互い頑張ろう。」


「はい。」



カルロスさんと雑談している内に、全員が揃ったみたいだ。

そこに指導する教官らしき人がやってきた。



「これから適正試験を行う。その適正によって訓練内容や配属先が決定するので心してかかる様に。」


「「「「「「はい!」」」」」」



適正試験か。何をやらされるんだろうな。



「まずは魔法の適性の有無で分けさせてもらう。適性の有る人は左側へ、それ以外は右側に移動してくれ。」



一応魔法は使えるが、使えることは言ってないし、右側で良いだろう。

俺は右側へと移動しようとしたら、声を掛けられてしまった。



「何処へ行く、お前はこっちだ。」


「えっ?」



教官が俺に示したのは魔法が使える方だ。



「えっと?」


「隠してもダメだ。試験の時に使ったのだろう?」



どうやら魔力を感知されていたらしい。これは誤魔化すのは無理みたいだな。

仕方が無いので魔力適正が有るグループの方へと移動するのだった。魔力適正グループは、魔法使いが2人、僧侶が3人、俺を入れての計6人だ。

まぁ、1人は破戒僧と言った方が良い感じの人も居たけどね。実際試験では普通に殴っていて、自力で合格を勝ち取っていたしな。



「では、各自使える属性を教えて欲しい。ここは冒険者では無くて騎士団だ。秘匿は重罪となる。

 どうせ後で鑑定を行うんだ、正直に話しておいた方が得だぞ。」



さて、どこまで正直に話すべきか……隠蔽は大丈夫だと思いたい。後でバレた時が怖いが、その時は新たに覚えたとでも誤魔化しておこう。



「私はロイドと申します。火魔法の爆発魔法が得意です。」



最初に答えたのは第1試験で爆発させて勝利した人だった。



「私はトール。風魔法使いです。ウィンドカッターをよく使います。」



次の人は風か。そう言えば第6試合で不可視の攻撃をしていた人が居たな。魔力感知が出来る人にはバレバレだったけどね。



「私はルナです。サリーとは幼馴染で、光魔法が使えまして、回復が得意です。なので戦闘はあまり得意ではありません。」


「サリーです。同じく光魔法です。どちらかと言うと魔法よりは攻撃と防御をする方が得意です。」



なるほど、試合の時も思ったけれど、この2人って幼馴染だったのか。何か納得だ。

もしこの2人が別のグループだったら、両方とも落ちていたかもしれないな。



「拙者はゴンゾーと申す。光魔法が使えるが、回復はあまり得意では無いとだけ言っておく。」



近接戦闘するってことは、シールド魔法で防御を固めて殴るとかが得意なのだろう。見た目破戒僧だしな。



「えっと、シュウです。土魔法と氷魔法が使えます。アイスアローをよく使います。」


「2属性持ちか。珍しいな。」


「えぇ、まぁ。」


「武器を壊したのはどうやったんだ?」


「内緒……は駄目なんでしたっけ。土魔法とだけ言っておきます。」



ゴーレム操作は土魔法だから、あながち間違ってはいないしね。



「まあ良いだろう。おいおい暴いてやるとしよう。

 今日はお互いの力を知るためにも、1対1での総当たり戦を行ってもらおうと思っている。」


「「「「「「はい!」」」」」」


「最初は……ロイドとトールからだ。」


「「はい!」」



まずは魔法使い同士の戦いか。2人が前に出て距離をとる。



「では、始め!」



お互いが得意の魔法を打ち合うだけの退屈な試合だ。まぁ、魔法使いは後方から魔法を撃つことが多いし、こんな物だろう。

結局は魔力の多さで、トールさんの勝ちとなった。



「次はルナとサリーだ。」


「「はい。」」



今度は僧侶同士の戦いか。どんな戦いになることやら。



「では、始め!」



先制攻撃はルナさんだ。メイスをサリーさんへと叩きつける攻撃だ。それをサリーさんがシールド魔法で防ぐと、ライトアローで反撃する。

ライトアローはルナさんに当たるが、回復魔法で直すと、再びメイスで殴り返していた。この2人もそれほど戦闘に特化している訳じゃないみたいだな。

最後は、回復魔法が得意なルナさんの勝利で幕が下りた。



「次はゴンゾーとシュウ。」


「「はい。」」



いよいよ俺の出番だ。向こうはどう見ても近接戦闘が得意だろう。さて、どうやって戦おうか。



「では、始め!」


「うおおおおぉぉ!」



開始と同時にゴンゾーさんがダッシュで近づき殴りかかって来た。俺はまずは普通に戦ってみることにした。

状況把握に高速思考を発動して、ゴンゾーさんの攻撃を避けまくった。



「ぬぅ! 当たらん!」



まぁ、レベルが10以上も離れているし、ステータス的にも勝っているから、そうそう負ける気がしないぜ。

ゴンゾーさんは、連続攻撃の影響で、少し息が上がってきた。そろそろ反撃のチャンスだ。



「シールドバッシュ!」



俺は左手に装備しているバックラーでゴンゾーさんの顔を殴りつけた。



「ぐはぁ!」



見事命中した。と言うか、かなり綺麗に入ったな。

ゴンゾーさんは鼻血を出しながら倒れたのだった。



「そこまで!」



俺の勝利で試合は終了したのだった。



「シュウ殿はお強いですな。完敗です。」


「ありがとうございます。ゴンゾーさんも中々でしたよ。」


「それにしてもシュウ殿は、本当に魔法職ですかな?」


「ステータスからするとそうですね。実際、狩りは魔法だよりな場合が多いですしね。」


「なんと! それであの強さとは、ゴンゾー感服いたしました。もっと精進したいと存じますぞ。」


「が、頑張って下さい。」


「おう。」



何と言うか、ゴンゾーさんは侍っぽい話し方をするな。見た目は全然違うけどね。


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