001 転生
息抜きと言うか気分転換で書いてみました。
楽しんでいただければ幸いです。
「ほぎゃあ、ほぎゃあ、ほぎゃあ。」
うっせーなぁ! 何処かで赤ちゃんが泣いている。こっちは遅くまで仕事して疲れて眠いんだ。勘弁してくれ~
「ほぎゃあ、ほぎゃあ、ほぎゃあ。」
……ん? ひょっとして、まさかと思うんだが、この赤ちゃんの鳴き声、俺の口から出てないか?
「ほぎゃあ、ほぎゃあ、ほぎゃあ。」
間違いない。俺の口から出ている。と言うか何で俺は赤ちゃんの泣き声を出しているんだ?
別に悲しくも無いのに何故か泣き止むことが出来なかった。
「ほぎゃ…ほぎゃ……ほぎゃ………」
しばらくして泣き止むことが出来た。まぁ、疲れたからなんだけどね。
何故か泣いている最中は力いっぱい握りしめ、目もつぶっていて自分の体を上手く動かすことが出来なかったが、ようやく動かせるようになったみたいだ。
俺はまずは目を開けて辺りを確認してみることにした。
パチッ。
……えっと、目の前に口を開けて涎を垂らしている大型の犬が居るのですが、少々行儀が悪いみたいですが飼い犬でしょうか?
「あう、だう!(えっと、お座り!)」
「ガウ!」
俺のお座りの言葉を無視して犬が飛び掛かってきた。
「あうやう!(殺される!)」
無駄とは思いつつも体を守るために両手を前に出す。
「キャイン!」
その時犬の鳴き声が聞こえた。俺は恐る恐る目を開けてみると、何と目の前に透明の壁と言うかバリアみたいな物が現れていた。
「あうあきゃ?(何だこれ?)」
恐らくだが俺が出した物なのだろうか?
「ウゥ~~~~!」
犬は俺を警戒して飛び掛かるのはやめたみたいだが、俺の周りをウロウロして諦めることはしないみたいだ。
今はバリアみたいなのが有るから良いが、どうすっかな……
俺はボーっと目の前のバリアみたいなものを眺めている。
それにしても犬はまだしも、このバリアみたいなのって現実離れしている光景だよな、正に異世界転生の小説みたいな……
「あぎゅあ!?(異世界!?)」
まさか本当に異世界に転生した!? ならば!
「あうあーあきゃ!(ステータス!)」
すると目の前にステータスウィンドウが現れた。
「あきゃ……(マジか……)」
現れた画面を見ると、こんなことが書いて有った。
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名前 :
年齢 :0
種族 :神族
状態 :空腹・脱水
LV :1
HP :7/10
MP :39/50
STR:3
VIT:3
AGI:3
INT:3
DEX:3
LUK:99999
スキル:創造魔法、詠唱破棄、物理無効、魔法無効、状態異常無効、魔力盾
称号 :異世界転生者
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所々ツッコミたいところが無い訳でもないが、一つづつ確認しておこう。
名前が無いのは仕方がないとして、種族の神族って何? 俺神様になっちゃったの?
そして状態が空腹・脱水って、これって結構マズイ状態じゃない? そのせいか微妙にHPが減っているっぽい。
とは言っても、俺は今赤ん坊だ。食料を確保するために動くことが出来ない。いや、それ以前に目の前の犬を何とかしない限り俺の未来は絶望的だ。
ステータスは1つだけ異常な数値を示しているが、他のは普通……なのかな? 基準が無いから良く分らない。
でもLUKって運だよな? 何で運がこんなにも高いにも係わらず死にかけてるんだ? 理不尽である。
後はスキルだが、創造魔法って新しく魔法が作れるのか? 例えば氷の槍を飛ばすとか……
俺が氷柱みたいな物を想像してみると、目の前に想像した物と同じ直径5cm、長さが30cm程の氷柱が現れた。
「あう?(えっ?)」
と、とりあえずコイツで攻撃をしてみたらどうだろう?
俺は氷柱を犬に飛ぶように想像してみると、氷柱はその通りに犬へと向かって行った。
「ギャン!」
眉間の部分に突き刺さり、そのまま犬は息絶えた。マジか……
戦闘が終わったのでもう一度ステータスを確認してみる。
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名前 :
年齢 :0
種族 :神族
状態 :空腹・脱水
LV :2(+1)
HP :10/13(+3)
MP :32/53(+3)
STR:5(+2)
VIT:5(+2)
AGI:5(+2)
INT:5(+2)
DEX:5(+2)
LUK:99999
スキル:創造魔法、詠唱破棄、物理無効、魔法無効、状態異常無効、魔力盾、アイスアロー
称号 :異世界転生者
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何とレベルが上がっていた。さっきの犬を倒したからだろうか?
後はアイスアローのスキルを覚えていた。おそらく想像したことで創造魔法を使ったのだろう。
想像することで魔法が使えるようになるって、ひょっとしてかなり優秀過ぎるスキルなんじゃね? 創造魔法って。
ぐうぅぅぅ~~~~
「あうあばぶぅ~(腹減った……)」
犬を撃退したまでは良かったが、どうやら俺の人生もここまでの様だ。
あ~あ、前世がどのくらい生きてたのかは知らんが、今生はやたらと早かったな。まさか飢え死にすることになるとはな。
せめて異世界の食べ物を食べてから死にたかったぜ……ん? ひょっとしてだが母乳を創造出来たら飢え死にしなくて良いんじゃね? やばい、俺って天才かもしれない。
そうと決まれば早速!
「あい! あうあうあ!!(来い! おっぱい!!)」
すると目の前におっぱいが現れた。しかも左胸だけが空中に浮いていた。何か想像していたのと違うんだが……まあ良い。
今は空腹と脱水を解消するのが先決だ。俺はおっぱいへとしゃぶりつくのだった。