金の斧と銀の斧と普通の斧を纏めて泉へ投げ込んでみた
明けましておめでとうございます
ある日木こりが木を切っていると……
──ボチャーン!
「ああっ! 手が滑って泉へ斧を落としてしまった!!」
──ブクブクブク……
すると泉から女神が現れました!
「貴方が落としたのは、この【金の斧】ですか? それともこの【銀の斧】ですか? それともこの【普通の斧】ですか?」
木こりはアバンギャルドな女神に戸惑いながらも、冷静に対処した。
「普通の……斧です」
すると女神は笑顔で微笑み全ての斧を差し出した。
「貴方は正直者で素晴らしい。全ての斧を差し上げましょう!」
女神は柔やかに泉の中へと消えていった。
木こりは金銀に輝く斧と使い古したいつもの斧を抱え、暫し頭を悩ませた……。
──ボチャーン!
すると木こりは三つの斧を全て泉へと投げ入れたではないか!
──ブクブクブク……
するとまたもや泉からアバンギャルド女神が現れました!
「貴方が落としたのは、この【金の金の斧】【金の銀の斧】【金の普通の斧】ですか? それとも【銀の金の斧】【銀の銀の斧】【銀の普通の斧】ですか? それとも【普通の金の斧】【普通の銀の斧】【普通の普通の斧】ですか?」
木こりは大量の斧を持つ女神に戸惑いながらも、冷静に対処した。
「【普通の金の斧】【普通の銀の斧】【普通の普通の斧】です……」
すると女神は笑顔で微笑み全ての斧を差し出した。
「貴方は正直者で素晴らしい。全ての斧を差し上げましょう!」
女神は柔やかに泉の中へと消えていった。
木こりは金銀に訳の分からぬ輝き方をする斧と使い古したいつもの斧を抱え、暫し頭を悩ませた……。
──ボチャーン!
すると木こりは九つの斧を全て泉へと投げ入れたではないか!
──ブクブクブク……
すると案の定泉からアバンギャルド女神が現れました!
「貴方が落としたのは、この【金の金の金の斧】【金の金の銀の斧】【金の金の普通の斧】【金の銀の金の斧】【金の銀の銀の斧】【金の銀の普通の斧】【金の普通の金の斧】【金の普通の銀の斧】【金の普通の普通の斧】ですか? それとも【銀の金の金の斧】【銀の金の銀の斧】【銀の金の普通の斧】【銀の銀の金の斧】【銀の銀の銀の斧】【銀の銀の普通の斧】【銀の普通の金の斧】【銀の普通の銀の斧】【銀の普通の普通の斧】ですか? それとも【普通の金の金の斧】【普通の金の銀の斧】【普通の金の普通の斧】【普通の銀の金の斧】【普通の銀の銀の斧】【普通の銀の普通の斧】【普通の普通の金の斧】【普通の普通の銀の斧】【普通の普通の普通の斧】ですか?」
木こりは大量の斧を軽々と持ち上げる女神にちょっと引きながら、面倒臭くなりウソをつきました。
「金のやつです」
すると、女神は何故か笑って全ての斧を木こりの傍へと置きました。
「貴方は私の身を案じて敢えて嘘をつきましたね? 貴方は相手を重んじられる心優しき青年です。私はとても感動しました。全ての斧を貴方に差し上げましょう!」
泉へと消えていくアバンギャルド女神に軽い殺意を覚えながら、中古買い取りショップへと出張買い取りの電話を掛けた…………
「全部メッキですね! 買い取り価格は一つ100円になります!」
木こりはショップ店員を泉へと蹴り落とした…………
──ブクブクブク……
「貴方が落としたのは―――」
「うるさい」
──ゲシッ! ボチャーン!
最後にアバンギャルド女神に跳び蹴りを食らわし、女神を泉の中へと沈めた。
読んで頂きましてありがとうございました!