第二十七話 縞々をさがせ-2
このあいだ、センターが『はじめの人たち』のことをひた隠しにしていると言ったね。
なぜセンターが彼らのことを隠さなきゃいけないのか、僕にとってはそれが疑問だった。
確かに『開拓団』の人たちは、『火星世代』やセンターを『気取っている』と嫌ってはいる。
でもそれでも遥さんのようにセンターで働くひともいれば、商売はセンターとも自由に行っているんだ。
特に『開拓団』は肉体労働や、メカニックの技術を売りにしている。
彼らに言わせれば『火星世代』は軟弱すぎるんだそうだ。僕もよくからかわれるけど、実際は仁さんとそう変わらないと思うんだけどね……。
『火星世代』はまあ、21世紀で言うなら事務労働が多い。
センターから降りてきた仕事の管理だったり、営業だったり、生産の管理だったり。たいていがコンピューターとにらめっこの仕事だ。
それで、たぶん21世紀の君たちにはそもそも『センター』が理解しにくいとは思うんだ。
センターの中央指令室は地球にあって、火星にあるのは火星支部だ。
地球はとても強力に守られている。
地球と自由に行き来することのできる人間はセンターの火星支部で働いている人たちだけで、普通の『火星世代』や『開拓団』の人たちは厳重な審査でビザをもらえるかどうか決まる。
猫たちへの忠誠心が大切なんだ。
だけど、どうしてそんなに厳重にやらなくちゃならないかはわからないよね。
みんなネコカインが必要なんだから。
でも、『はじめの人たち』はどうやってネコカインを手に入れているのだろう……。
僕はそんなことを考えながら、自分のコンピューターで開拓団の歴史を調べ始めていた。
ちなみに僕のこどものころは歴史はずっと赤点だった。
正直いって、自分が生まれてもいないむかしに、誰がどうしたとかいう事には興味が持てなかったからね。
でも、いきなり『はじめの人たち』について調べるのはハードルが高すぎる。だって、すべてのコンピューターは検閲されているからね。
センターへの忠誠心を疑われるのはマズい。
そもそも、怜のことがなぜこんなに気になるんだろう……もし彼女が『はじめの人たち』だったら、僕にとっては危険なことなんだろうか。
もう調べない方がいいのだろうか。
そんなことを考えていたら、いつの間にかジーナがコンピューターの横で僕をじっと見つめていた。
「ごはんにしよう、今日はおやつもあるぞ」
僕がそういうと、ジーナは僕をじっと見つめながら、机の上のマグカップをそっと床に落とした。
もちろん、マグカップは派手に割れて、しかもジーナはこれみよがしにゴロゴロと機嫌よくノドを鳴らした。
火星では地球人というだけで憧れ。






