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第二十二話 きのう・今日・あす

 僕がどうやって21世紀の君にこうやって手紙を書いているかって……?

 電子を21世紀のコンピューターの中に送っているこの装置のことだね。

 それはとてもアナログというか、原始的な装置さ……。


 ずっと物質は光の速さを超えることはできないと言われてきたけど、2300年には電子ぐらいの大きさのものなら光の速さを超えることができるようになってきた。

 そして、2800年にはそれを正確な場所に送る技術もできた。

 つまり、過去の好きな場所に小さな電子だけは送ることができるようになったのさ。


 でも、過去は現在を変えてしまうから、一般人が使うことはきびしく禁じられているけどね。


 僕はむかし実験室で使われていた古い機械を探してきて、君に2020年の猫ブームを止めてほしいとお願いしている。

 けれど、それははたして正しいのかすごく悩んでいる……。


 だって、それは僕が生きていることを根っから意味がなくすことなんじゃないか。

 僕が未来の猫たちや人間たちのためにできることを投げ出してしまうってことなんじゃないか。


 不思議なことだけど、僕はこの手紙(つまり、小説家になろう、というサイトに小説という形で投稿されるように設定されたこの文字列のことだね)が誰にも読まれていないんじゃないかと思うと、ちょっとホッとするところがあるんだ。


 僕は平凡なリーマンで、いままで何かを自分から変えようなんてしてこなかった。

 それはとてつもなく勇気が要ることで、たとえば霊感もないのに悪魔祓いをするような無謀なことなんだと思ってた。


 でも、過去をなかったことにして『いま』を変えるより、僕が『いま』を動かすことで未来を変える方が、後悔はないのかもしれないね。


 だって、君が過去を変えてしまったら、僕はジーナとは会えないかもしれない。

 そして、地上で出会ったあの(ひととも……。


 最初の出会いから二週間後、彼女はとつぜん火星開拓団の街に現れた。

 僕が仕事帰りに『シャデルナ』の鳴子さんに会いに開拓団の街の酒場(といってもアルコールよりみんなネコカインを一服しながらワイワイやるんだけど)に行った時の話さ。


 鳴子さんと仁さんと僕が久しぶりに開拓団の人たちとマーズボール(バスケットボールの火星版だね。重力が地球よりずっと小さいから、ものすごい高いところにゴールがあるし、ドリブルも派手で楽しいよ。もし君が未来に来られたら、ぜひ見せてあげたいよ!!)の優勝について予想していたときの話さ。






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