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第十六話 君が2020年に必要なわけ-2

僕:平凡なサラリーマン。『センター』に秘密で子猫を飼うことになった。

鳴子なるこさん :何かと頼れる開拓団の占い師

はるかさん:鳴子さんの姉。エンジニア

 19世紀から21世紀にわたって、君たちはずっと薬物と戦ってきたんだろう……?

 アヘンとか、大麻とか、合成麻薬とかさ……。

 でもね、ネコカインが開発されれば、それもすべて消えてしまうよ。

 ほかの薬物よりずっと幸福になれるからね……。


 ネコカインは依存性が高いけれど、肉体的には悪影響はないし、ながいあいだやっていても、脳に変化があるわけじゃない。

 ただ、いちどやったらやめられないのと、あの薬物によってみんな「母猫」の本能が身につくようになってしまうのさ。

 あと、一服すると、数時間は仕事にはならないね。

 だから、ほとんどの会社は就業時間にはネコカインを禁じている。


 ……思い出すよ。僕は鉱物発掘会社のサラリーマンだったって話したよね。

 僕の会社はとても古い掘削機を使っていて、その原理は21世紀のマシンにさかのぼれるらしいんだ。火星はほら、ずっと長いあいだ自主独立でやってたろう?

 それで、壊れても自分で直しやすい古い機械がまだよく使われてるんだよね。


 で、うちには28世紀に造られた、Bagger2562という(僕らは通称ゴロニャンって呼んでるんだけどね)メガマシンがあるんだけど、そいつが古いんで、よく調子が悪くなるんだ。

 僕はエンジニアじゃないけど、会社の中央管理室が故障の原因とか、必要な部品とかをぜんぶ教えてくれるから、それを持ってゴロニャンのところに行くわけだ。

 ちなみに、マシンは地上にあるから、宇宙服(実際は宇宙線防護服)を着込んでいくんだけど、一仕事終えて、誰もいない赤い砂漠を見ながらネコカインを一服するのは最高だったよ……。

 ところどころ、ソテツがはえているところを、赤い砂ぼこりが時おり通り抜けるんだ。


 それでいいのかって? いいんだよ。会社のトロッコは地上に出るまでやたらと長い地下道を何時間もかけてノロノロ進むし、乗り心地も快適でないし。ネコカインでほのぼのと猫の動画でも見ながら会社に帰るのが癒しなんだよ。

 会社に帰るころにはだいたい醒めてるしね。

 ……会社あがりの一服? それがまた最高だよね。

 センターからは一回で数日もつようなカプセルで来るけれど、だいたいみんなそんなカプセルを割っちゃって、自分の好きな分量で毎日の一服を楽しむのさ。

 僕も会社から帰って一番の楽しみはそれだったよ。

 ジーナを膝にのせて遊ばせながらね。


 まあ、僕にはもうセンターからネコカインが配給されないし、センターから逃げ回ってるんだから過去の話さ。今の僕は違法ネコカインを手に入れるのがせいっぱいだよ。

 ジーナももう膝の上にいないし。


 それともう一つ、ネコカインにはとても大きな副作用がある。

 猫のため以外には、戦う気力が一切なくなってしまうってことさ。

 これは人間にはいい効果だったのかもしれない。

 だって、地球と火星の戦争はネコカインが止めたともいわれているからね。


 ……けっきょく、ネコカインは毒か薬かって……?

 そんなの、僕にはわからないよ。僕にわかっているのは、たぶんネコカインが理由で、ジーナが連れ去られてしまったってことさ。

 センターの狙いは僕じゃない。ジーナなんだ。












普通の猫でもモフるとやばいのだ。。。

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