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第百十一話 『センター』を出し抜け!-1

僕:山風亘平 『センター』に秘密で猫のジーナを飼っていた。いま行方不明。

池田さん:採掘場の責任者。生産現場に詳しい。

上川さん:採掘場のリーダー格

 最初の一週間、僕はなにも考えつかず、ただネコカインに逃げて君に手紙を書いていた。2020年にネコブームが起きると書いたね。……じっさい、ネコブームは起きたかい? それとも、僕の手紙によって未来線がズレてしまったかな……。

 僕がこの手紙を書き送るために粒子転送装置を使ってることは前も話したけれど、これは大きさはそれこそ片手に入るぐらいの箱なんだけど、とにかく電力を食う(原始的なレーザー加速器だからしかたないね)。

 一週間、僕はなるべく目立たない動きをしながら、自分に必要なものを考え抜いた。

 ひとつは、この加速器に必要な電源だ。そして、怜にもらったデータを引き出せる独立したコンピューター。そして、そのためにもこの『センター』からのビジネスリングを外せる場所が必要だった。

 僕はそれで、思い出したんだ。唯一、正当な理由でリングを外すことができるあの過酷な現場をね……。

 

 オテロウに呼び出された一週間目、僕は演技でも何でもない必死の形相でこう言った。『センター』が僕を試しているのはわかっている、もう一度チャンスが欲しい、とね。

 僕は池田さんからもういちど必要な情報を得るつもりだと熱心に言った。そして、必要な種類の金属が確保できれば、計画は二倍に加速できるとね。(じっさい、そもそもわざとスローペースで運んでいたから、その話には現実味があったはずだ)

 

 僕はオテロウを説得したその足で、池田さんのいるあの採掘場へ向かった。池田さんはでも、首を縦に振らなかった。僕が腹を割って話していない以上、それまでだ、というんだ。


「池田さん、僕をとにかくもう一度だけあの現場に降ろしてください」


 僕は食い下がった。上川さんたちが休憩に上ってくるまでそこを動かなかったので、上川さんたちが間に入る羽目になった。


「そうは言われたって、命にかかわるぞ」


 上川さんも池田さんの味方をしたけれど、僕はこう言った。


「それでもかまいません、あと一度だけ、あの現場に降ろしてください」


 池田さんは


「往生際が悪いってのはまさにこういうことを言うんだよ」


 といいながら、最後にしぶしぶ承知をしてくれた。

 そして僕は無事にセンターのリングを外すことができた。そしてこの状況を上川さんたちに説明するのに許された時間は、地上から採掘レベルに降りるまでのエレベーターの中だけだった。僕は上川さんたちに言った。


「上川さん、僕は『センター』に監視されています。実はグンシンの中央から来たんです」


 上川さんたちは一気にしゃべり始めた僕を怪訝そうに見た。


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