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ファンタジーライフ  作者: 烏賊猫
8/10

08.グラスウルフ

付いてきちゃった(はぁと/低音)

 スプテの町に戻って来ました。

「で、本当は何が目的だ?」

 正確に言うならば、スプテの町に入る前の門で捕まって、そこにある詰所に。

 兵隊さんに尋問されてます。はい。ついでに、あのグラスウルフと共に。

 またねって言ったのに、彼はずーっと後を付いてきて、そのままずるずると……。今は私の隣でお行儀良くお座りしてる。

 尋問されても仕方ないよなぁ。というか、彼を森へしっかり帰さなかった時点でこの結果は目に見えていたのに、やってしまった私に責がある。

 今は大人しくしてくれているが、グラスウルフはモンスターだ。

 そんなのを連れていれば、なにか悪い事でも企んでいるんじゃないかと思われても仕方ない。

 それに、私の<魔物知識>ではレベルが低くて詳細は分からなかったが、帰りの道中ですれ違った人たちがぎょっとしていたり、めちゃくちゃ怖がっていたりしていたので、恐らくかなり危険な部類のモンスターなのだろう。第一印象もあって、いまいち怖がれない自分がいるが、多分そうだ。

 ちなみに、これが私が知ってるグラスウルフの情報。


◆グラスウルフ

毛にあたる部分に草が生えたウルフ型モンスター。

個体により、生えている植物が変わる。


 まあ、それはそれとしてだ。今は兵隊さんと向き合わなければ。

「目的も何も……先ほども説明し、言いましたが、私はこの町をどうこうする気はありません。それに、私の浅慮により混乱を起こしてしまった事も反省しております。それによる罰則も、きちんと受けます、と……。」

「ふん!どうだか。門人ゲーターだからって俺は容赦はしないぞ!さあ、本当のことを言え!!」

 うーん、堂々巡り。無限ループってこわくね?

 説明からの本当のことを言え!を、かれこれ20分ほど繰り返している。疑り深いというかなんというか……。

 てかね?少しずつだけれど、お隣のグラスウルフの機嫌が悪くなって来てるんですよ。兵隊さんが言っている様な事が本当になってしまうじゃって、内心汗だらっだらなんですよ。お願い信じて……!そして、グラスウルフの様子に気付いて……!!

「よう、邪魔するぞ。ゴーラ、それくらいにしとけ。」

「えっ、なっ、ゲルディさん!どうしてここに?」

 1人焦っていると、突然部屋の扉が開き、そこから身なりとガタイの良いおっちゃんが現れた。というか兵隊さん、ゴーラさんって言うのね。覚えたよ。

「ギルドにグラスウルフを連れた老人の報告が来てな。特徴を聞いてたら、うちの受付が今日登録したばっかりの新人冒険者じゃないかっつーもんだから、気になって来ちまった!」

「は、はあ……。」

 このゲルディさんとやらはもしかしなくとも、うちの受付と言って、私の事分かってるって、冒険者ギルドのお偉いさんなのでは?

「で、ジイさんが新人のゲンジで間違い無いか?」

「あ、はい、ゲンジと言います。初めまして。」

「おう!オレはこの町の冒険者ギルド長をやっているゲルディだ。後、警備長も兼任している。よろしくな!」

 やっぱりお偉いさんだった!しかもトップじゃないですかヤダー!

「ゴーラ、お前は持ち場に戻っとけ。オレが代わりにやるからよ。」

「そんな!こんな危険な所にゲルディさんを1人には……!」

「おいおい、最近書類仕事ばっかりだったにしても、グラスウルフ1体に新人1人に後れを取るほど腕は鈍って無いぜ?ほら、行った行った。」

「しかし!……っ、分かり、ました。失礼します。……何かしやがったら許さないからな。」

 すっごい睨んで部屋からゴーラさんは出て行かれた。怖いよ……。出掛ける際に会った時も、プレイヤーカード見せた途端、あまりよろしくない態度になったが、何が彼をそうさせるんだ。他の人には爽やか青年してたのに。

「まったく……悪いな。あいつ、門人に対して元々良い感情を持っていなかったんだが、ここまで露骨に出す奴じゃ無かったんだ。ちょいと前にあった事で、あんなになっちまってな……。だからと言って、あんな取り調べ方をするのはいけねぇ。オレの監督不行き届きだ。すまない。」

「いえ、気にしてません。それに、今回の事に関しては私にも問題がありますし……。お互いに悪かった。そういうことで、どうでしょう?」

「そうか……ありがとう。さて、話を戻そう。報告はある程度聞いているが、お前さんの口から、もう一度経緯を話してもらえるか?」

 部下思いで、話もちゃんと聞いてくれる、いい人だなぁ。こういう上司の下で働きたい。

 さて、雑念を払ってもう一度、経緯をゲルディさんに話そうか。

「────と、いう訳です。」

「ふむ、なるほど……。信じ難い話ではあるが、実際そのグラスウルフが傍にいるしな。うむ、信じよう。」

「信じてくださって、ありがとうございます。」

「おう。で、今回は被害が出た訳でも無いし、初心者で、お前さんに反省の色もあるという事で、この件は不問にする。ただ、今度はこんな事を起こさないようにしろよ。」

「はい、肝に銘じます。君も、今度はくっついてきちゃだめだよ?」

「クゥン?」

 なんで?みたいな顔しないで。可愛い。

「しっかし、グラスウルフが人に懐くとはなぁ。」

「珍しいのですか?」

「珍しいなんてもんじゃねぇ。グラスウルフっていうのは、ドラゴン並みに気位が高く、気性が荒い。だから手懐けるのは、例えその道のベテランでも相当な年数がかかる上、言う事なんざほとんど聞きやしない。そんなモンスターがお前さんの隣で大人しくしてるんだ。正直、今でも大人しいのが信じられん。」

 思いの外ヤベーモンスターだった。ドラゴン並って……。ファンタジーで定番モンスター並って……。

「君、そんな凄いモンスターなんだね。」

「ワフッ。」

 うーん、この「そうだぞ!」ってドヤってる姿よ。今聞いた話の方が信じられんのだが。

「……なあ、ゲンジ。お前さん、そのグラスウルフはどうするつもりだ?」

「え?依頼の品を納品したら、元居た森へ帰しに行くつもりですが……ってちょちょっ!」

「そいつは帰る気は無さそうだな?」

 服の袖をくわえてイヤイヤされると、力の差と体の差で身体が大きく揺れる揺れる!

 ゲルディさんはニヤニヤせんで、助けてください!

「おち、おちついって!……ふー、えっと、君は、森に帰りたくないの?」

「ワンッ!」

「つーか、お前さんと共にしたいんじゃないのか?」

「そんなまさか……。」

「ワンッ!」

「……そうなの?」

「ワフンッ!」

 まじか。何がそこまで彼にそうさせるんだ。

「観念して、連れてってやったらどうだ?助けたお前さんには、責任があるだろう?ま、連れ歩くにはテイマーかサモナーのスキルを取ってもらわなきゃならんがな。ま、お前さんは門人だから、その辺は問題ないだろ。」

「くぅん……。」

「ヴッ。」

 すっごい昔のCMにあった、チワワを髣髴させるその目はいけないっ。

 ゲルディさんの言う事も一理あるけど、あるけど……!!

「……一緒に行くかい?」

「ワオン!!」

 弱いな、私。

 あー、もう、尻尾そんなブンブン振っちゃって可愛いなぁ、ちくせう。

「ハッハッハッ!これで一件落着、丸く収まったな!」

「笑い事ですか?」

「悪い悪い。まあ、なんにしても、お前さんがうちに報告に行く間も、そいつは後を付いて来ただろう。そうなったら、町は大混乱だ。だが、お前さんの従魔になっていると分かれば、それも最小で抑えられる。オレとしては、将来的な仕事が減って嬉しいって話になる。」

「それは、確かに。」

 そうだよな。少し考えれば分かった事だ。私はギルドに行かなければならない。その時、彼もついてくるだろう。そうなったら、手綱の無い猛獣が町を歩く事になる。町の人は混乱するし、兵は動くだろうし、最終的には血を見ることになるだろう。

「……すみません、また私の浅慮で問題を起こす所でした。」

「分かってくれたなら良いさ。とりあえず、テイマーかサモナーのスキルを取れるようなら取って、従魔にしろ。取れないようなら、そいつはお前さんの従魔だと分かるように、仮の印を付けな。」

「はい。」

 スキルポイントは薬草採取中の戦闘で上がったので取れる。

 ちなみに、私のレベル自体もLv.4からLV.6に上がっている。ステ振り?まだだよ。

 で、レベルの上がったスキルは以下。


──────────────────

【戦闘スキル】

<杖術─Lv.2>→<杖術─Lv.3>

<火魔法─Lv.1>→<火魔法─Lv.2>

<土魔法─Lv.1>→<土魔法─Lv.2>

<回避─Lv.1>→<回避─Lv.2>

<気配察知─Lv.1>→<気配察知─Lv.2>


【生産スキル】

<採取─Lv.2>→<採取─Lv.3>

<生物知識─Lv.1>→<生物知識─Lv.2>

<植物知識─Lv.2>→<植物知識─Lv.3>

──────────────────


 合計8個のスキルが上がったので、SkP8ある。じゃけん、サクッとスキル取りましょう。

 で、取ったのは<獣魔術>。テイマー関係のスキルになる。

 なぜ私は<獣魔術>にしたのか?理由は前提条件だ。

 <獣魔術>は契約したいモンスターを初期魔法「テイム」を使用し、成功すればオッケーという、結構簡単な所がある。まあ、それ以外が大変みたいだが。

 逆に、サモナー関係のスキルは<獣魔召喚術>になるのだが、これは種類は気にしなくても良いみたいだが、宝石が必要になる。そして、契約したいモンスターを倒し、身体が消える前に宝石を持ち、初期魔法「シール」を使用すると、以降そのモンスターを呼び出せるようになる。だが、失敗すると宝石は消え、モンスターも消えるという、賭け要素がある。

 面倒だし、失敗のリスクが高い。それに、せっかく一緒に来てくれるという彼を倒したくない。ので、<獣魔術>を取りました。

「では、さっそく……テイム!」

 今回も、杖を構えて唱える。


《グラスウルフのテイムに成功しました。》

《グラスウルフのニックネームを設定してください。》


 彼が望んでいるからなのか、あっさり成功。すると彼の両前足がパッと光ったかと思うと、小さくカットされたラブラドライトの付いた輪っかが嵌められていた。これが従魔の証になるのだろう。

 で、ニックネーム。ニックネーム、なぁ……。下手なもん付けられないけど、ネーミングセンスは無いんだよ、私……。グラスは安直だし、ポチは無し。タマは猫のイメージだし……。

「あ、キク。キクは、どうかな?」

「ワン!」


《グラスウルフのニックネームを「キク」で決定しますか? ▽はい いいえ》


 自分の名字にも入っている菊。これの花言葉が確か「高貴・高尚・高潔」だったはず。覚えやすいし、彼の種族的に合っているんじゃないかと思って「キク」はどうかと聞いたが、どうやらオーケーみたいだ。ならば決定。


《「キク」に決定されました。【従魔】に「キク」が登録されました。》


 これでステータスに【従魔】の項目が増えて、そこから色々見れるようになる。

「これからよろしく、キク。」

「ワオンッ!」

 初っ端プレイヤー以外の友達ができるとは思わなかったが、良い誤算だ。

 さーて、じゃあギルドに今度こそ行こうか。

別にチートではなく、キクにはゲンジに付いて来た理由はちゃんとある。

だがゲーム内世界で生態が明らかになって無いせいでチートのようになってる。こんなはずじゃ……。


【Name】ゲンジ Lv.6

 HP:152/152

 MP:168/168


【Status】

 物理攻撃力──16

 物理防御力──10

 魔法攻撃力──18

 魔法防御力──16

 敏捷値  ──27

 器用値  ──15


     (残りStP2)


【戦闘スキル】

<杖術─Lv.2>→<杖術─Lv.3>

<火魔法─Lv.1>→<火魔法─Lv.2>

<土魔法─Lv.1>→<土魔法─Lv.2>

<回避─Lv.1>→<回避─Lv.2>

<気配遮断─Lv.1>

<気配察知─Lv.1>→<気配察知─Lv.2>


NEW<獣魔術─Lv.1>


【生産スキル】

<釣り─Lv.1>

<採取─Lv.2>→<採取─Lv.3>

<生物知識─Lv.1>→<生物知識─Lv.2>

<植物知識─Lv.2>→<植物知識─Lv.3>

<料理─Lv.1>

<魔物知識─Lv.1>

<木工─Lv.1>

【控えスキル】


     (残りSkP7)


【従魔】

キク(グラスウルフ)


【アイテム】

 プレイヤーカード──1つ

 体力回復薬   ──20本

 魔力回復薬   ──20本

 簡易釣りセット ──1つ

 球兎の肉×2

 球兎の毛×1

 球兎の皮×2

 スライムの核×6

 スライムの薬液×4

 スライムの消化液×1

 ヨモギ×10→10+30

 マナ茸×2→2+15

 シイタケ×5

 枝×21

 ボールラビットの焼肉×2

 料理道具(初心者セット)×1

 木工道具(初心者セット)×1

 簡易野営セット×1

 バケツ×1

 手提げ型のランプ×1

 斧×1

 鉈×1

 小鍋×1

 鉛筆×3

 メモ用紙×1

 塩×1

NEW

キクが持ってきた植物多数


【所持金】

180クラポ


【依頼アイテム】

・チユ草      ─30本

・ポイズンリリィ  ─20本

・マジックジンジャー─10本

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