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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

召喚された彼女が人間を滅ぼすまで

作者: ユセ・ベルク

淡々と出来事を書き連ねる作風でした。

 異世界に召喚された場合、帰ろうとするか否かは人によるものである。

 何もおかしいことはない。誰しもが同じく帰りたい、あるいは逆の選択をすることは、確率……と言うよりは、彼女の故郷に存在していた様々な創作物を鑑みれば、容易に否定できる説であるからだ。

 むしろ選択肢の無い場合のほうが多いであろう中、彼女……御原由衣には選択肢があった。そして二択のうちの片方を選び、今、この地に立っている。


「ユイ。見張りが複数人の人間を発見した。どうやら"また"のようだ」


 二足歩行の虎が、四足歩行の虎の手そのもので器用に紙を挟み持っている。その視線の先に、彼女は佇んでいた。

 ところどころ金の線と装飾が施された、赤黒い帽子に赤黒い服。まるで乾き始めの血の色のようなその生地の印象は暗く、お世辞にも華美とは言えないが、いわゆる軍服に区分されるその服は、小学一年生と同等である彼女の背丈をもってしても、荘厳と言える雰囲気を醸し出す。着用者が幼い少女であったにもかかわらず、整えられた姿勢と着慣れた様子ゆえに、血色の軍服が似合ってしまっていた。

 ゆっくりと、視線を動かすついでのように振り向いた彼女の表情は、静かな威圧の一言に尽きた。軍服が似合う少女、威圧感を放つ少女など、常識的ではない。だが、この虎にとっては慣れたもので、彼女の視線の先へと、一枚の紙を差し出す。


「男一人、女四人。全員が純然種。内、男のみが被召喚者で、神と精霊の加護と、言霊系技能・全種魔法を持ち、身体機能は最大付与。女四人は高位魔法のみが確認された」


 ほんの少しだけまぶたが伏せられた大きな目が、虎の持つ紙を走り読みすると、彼女は視線を地平に戻す。

 そして、年相応よりは多少落ち着いていると言える、可愛らしい声で。


「捕縛作戦の開始を通達しろ」


 とだけ言って、それきり微動だにしなくなる。

 虎もその言葉が聞ければ満足なのか、紙を差し出していた腕を戻すと、ぼそりと何かを呟いた。呼応するように紙に火が付き、あっという間に灰となって散っていく。


 素足で歩く虎が足音を立てることはなく、枯れ果てた平地を特に急ぐこともなく、彼女から離れていく。残された血色の少女も、何を言うでも、あるいは何かをするでもなく、ただ地平を眺め続けていた。

 穏やかな風が吹くと、砂塵が流れるように少しだけ動く。埃のようなものの塊が転がり、しかしそれが不満であるかのように、すぐさま止まった。

 灰色の地平。

 灰色の空。

 召喚された……悪意ある言い方をするならば、異世界へと突然に拉致された彼女が、この色彩を失った地平に留まる理由は何か。そう、彼女は還ることができる。彼女はそれを知っている。


 ――それでも還ることを選ばない、彼女の……ユイの目的は、ただひとつ。





-----------------------------------------------------------





「わかった!降参だ、降参するって!!だから彼女たちには手を出すな!!」


 持っていた剣を投げ捨て、両手を上げてそう叫ぶ少年は、ユイにとって馴染みは無くとも、しかし懐かしさを込み上げさせられる姿だった。剣使いでありながら鎧らしいものを身に着けず、紺色のブレザーに地味なネクタイと白いシャツ、灰色のスラックスと履き込まれたスニーカー。この世界に生まれた者にしては珍しい、黒髪と黒目にペールオレンジの肌。

 "日本人の男子学生"。

 必ずしもそうとは限らない。しかし、かなりの確率でそうであると。

 無論、そうだとはっきりわかっていたとしても、今のユイにとっては敵でしかなかったがゆえに、……否、正確には彼らがユイたちを敵としていたがために、戦いになっていたのだが。


「わかりました。降伏した相手に危害を加えるつもりはありません。どうか信用してくださいね。

 ……あなたのその黒髪と黒目、"ニホン人"でしょう?」


 両手を上げたままの少年も、よもや金髪碧眼の美しい耳長種(エルフ)からそのようなことを言われるとは思っていなかったようで、瞠目したまま固まってしまった。対して、「あぁ、余計なことを言ってしまったようですね……」などと呟くエルフ。

 直後にその脇から、幼い少女が姿を見せる。血色の軍服に、あどけない顔立ち。凡そ釣り合わないその二つの要素であったが、しかし少年が視点を引き寄せられたのはそこではなかった。

 その少女も、少年と同じ黒髪に黒目、ペールオレンジの肌を持っていたからだ。


「え……!?き、君、もしかして……!!」

「翻訳技能も持っているようだから確認しておくが、日の丸を掲げる国から召喚されたか?」


 少年は再び、合わせて二度驚いた。正確には戦闘中に何度も驚かされていたが、それはそれである。入学したての小学生としか思えない少女が、その軍服に相応しくない体躯で、その軍服に相応しくない声を出し、その軍服に相応しいとしか思えない口調で話しかけてきた。驚かざるを得ないのが少年の内心だろう。加えて、日の丸を掲げる国とはまさに、少年の故郷そのものであったことも驚きだった。驚きと共に、もしかしてと浮かんだ疑問に確信を持つ。この少女もまた、日本からこの世界へと召喚されたのだ、と。


「あ、ああ!そうだよ!!やっぱり君も……!

 ……うわ、びっくりした……一番びっくりしたかも」

「そうだろうな。……セイエン、全軍索敵態勢へ移行、通常業務に戻せ。

 さて、君たちが良ければだが、こちらが用意した場所で話がしたい。歓迎する。純然種の歓迎に比べれば貧相だろうがね」


 指示を出したユイは、やけに苦い表情をするエルフにさっさと行けと急かし、その姿を見送る。そして少年に対しついて来るよう言い踵を返すが、そこで異が唱えられた。少年の仲間である四人の少女たちだ。色彩鮮やかな美少女揃いのそれぞれが高級な軽鎧やローブを身に着け、いかにも冒険者……この世界の冒険者という出で立ちだ。日本で言えば高校生から大学生、あるいは社会人相当の体格だが、この世界の人々に比較すると、日本人は少々背が低い傾向となるため、実際はもう少し若いのだと予想でき、ゆえに少女たちである。


「シ、シンヤ!!混沌種なんて信用できないわ!!」

「シンヤ様、その女からは特異な感じがします!間違いなく人間ではありません!」

「敵の誘いに乗るにしても、混沌種が約束を守るはずがないぞ。わかっているのか?」

「シンヤさん、話ならここでもできるはずです。敵の居城に入るなど、推奨しかねます」


 少女たちの各々の、それでいてまとまった意見が耳に入ったユイは足を止め、135度ほど振り返った。視線も、シンヤと呼ばれた少年や少女たちからは外し、地平をゆるりと眺めるかのように、腕を組んで待機の姿勢をとる。周囲は戦闘の後片付けでまだ少々騒がしいが、誰も彼も少年たち、そしてユイのことを気に留めはしない。彼らは知っているのだ。今の状況が、別段珍しい事態ではないということを。


「皆の言うこともわかる、けど彼らが何かするつもりならもうしてるはずさ。

 根拠は無いし、命懸けになるんだろうけど、俺は彼らを信じてみたい。

 ……駄目かな?」


 渋々、不満を隠しもせずに、しかし少年について行くことをやめはしない少女たち。その様相も、ユイをはじめ周囲は気にした様子がなく、少女たちはそのことに対し首を傾げる。待ちの態勢に入っているユイに少年が声をかけると、ユイは無言のまま再び歩き出した。

 少年……シンヤは考えていた。この幼い背中を小刻みに揺らすのは、まるで紳士のような、あるいは地位ある人物のような、毅然として整った歩き方である。この少女が同郷であるとすれば、この幼さでこのような歩き方をする人物など、明らかに一般的ではない。加えて、仲間の一人が「人間ではない」と称していた。シンヤ自身も、少女の立ち振る舞いや話し方を考えれば、体と年齢が合致していないことくらいは予想ができていた。ただそれでも、シンヤにとってのここはファンタジーな世界であった。どうしても、故郷のほうを基準にして考えてしまうのだ。即ち、黒髪で黒目の……シンヤの故郷を、日の丸を掲げる国、と表現した人物。少なくとも、彼女かあるいは彼女と繋がりのある人物が、日本を知っている、と断じることができた。そのことが、前を凛々しく歩く少女を信じるに至らせていた。

 同郷の人物への期待に胸を膨らませるシンヤは、歩みを止め振り返った少女を見つめる。その表情は、先程までの落ち着いたものとは打って変わって、真剣そのものであった。


「目くらましをしているので見えないだろうが、この先に転移機がある。全員一緒に乗れるので警戒するなよ。

 それと、だ。ここから先は、戦った時と違い君たちの持つ能力が十全に使える」


 シンヤたちは一様に思い返した。そう、最強レベルの力を持っているはずのシンヤや、一流の部類に堂々と入る少女たちの魔法などが、先の戦いではなぜだか一切使えなかったのだ。シンヤに至っては、召喚された際に神と呼ばれる存在から受け取ったはずの、超人的(チート)な身体能力すらも発揮されなかった。何らかの仕掛けがあると考えてはいたが、戦いはそれを覆せずに負けたのである。加えて今は、これはシンヤを除けばだが、それらの力を封じられたままであることが。無力化されたまま混沌種……敵の誘いに乗ることが不安だった。少女たちは、シンヤを慕う。彼は少女たちを守り、そして彼だけは、少女たちが守り切るという、絆。しかしそれも、力を封じられていては叶わない願いでしかなかった。

 だが。

 もし、この少女の言うことが本当で、振り返り立ち止まっているこの少女の先に進めば、自分たちの力を取り戻せる、というのであれば。


 視線で会話をする四人の少女たち。どの道向こう側には行く様子であるがゆえに、一人が焦るなと制する。しかし、もしこの血色の軍服をまとった少女に何らかの力があるならば、ぎりぎりで力を封じられているはずのこの場所に、少女が留まっている今がチャンスでもある。果たして少女にも同様の封じが効いているのかは不明だが、可能性は残る。確実ではないが、成功する確率は高いように思えた。

 何が成功する確率か?

 それは、"この世界に生きる純然たる人間、その永遠の敵"である、混沌種の根絶――だ。


 少女たちの話はすぐに終わった。そして、出た結論は即座に実行され…………なかった。

「皆、何があってもこっちから攻撃をするなよ」と。

 行動に移す前に、少年が釘を刺したためだ。そのことに四者それぞれが不満を漏らすが、しかし反発することはなかった。不安と不満を抱えながらも、少年の言うことには従う。

 今回はこういう性格か、とユイは思った。……服を作り直す必要はなさそうだ、とも。





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 チートという単語は英語であり、直訳すれば"騙す"・"欺く"などの意味を持つと同時に、ことゲームにおいては"狡い行為"を指し示しもする。

 この場に居る内の二人が持つそれは、神から得た力。それは決して平等なものではなく、その力によって世界そのものに何らかの影響をもたらすのであれば、その世界に生きる者たちの努力や成果に、一体どのような意味があるのか。

 まるで箱庭をいじるかのような神の采配を、しかしユイは思考の末にとある結論を出していた。

 難しい話ではない。いかなる知的生命体であっても、生まれを選ぶことはできないのでは、という仮説に端を発した結論だ。神がシステム……即ち物理法則の産物であるならば、神として座し続ける存在とは、科学で証明できる、世界と神とで相互に影響し合う存在として説明ができる。あるいは、神が思考する存在であるならば、ただ神と呼ばれる力を持った、知性体のひとつとして説明できるだろう。

 ……要するに、ユイにしろこの世界にしろ、神とやらに好き勝手される側であり、それを防ごうとするならば、神に匹敵する力を持つしかない、という結論である。


「この世界が、何かとやりたい放題できる世界なのは知っているだろう?シンヤ君にはわかるはず、あっちには魔法などという法則は存在していなかったからな」

「そうだなー。剣と魔法の世界なんて、ゲームや漫画の中だけの話だった。あー、こっちに来てから3か月と少ししか経ってないのに、すっげえ懐かしいよ」


 そう言うと、シンヤ――桂木伸矢(カツラギシンヤ)は空を仰いだ。どこまでも広がると錯覚させられる、シンヤのよく知る青い空。それはこの世界には無いはずの、青い空だった。三か月ぶりの青空を、シンヤはこの世界に来る前を思い出しながら見上げる。その姿を、少しの寂しさを内に秘めながら見つめる、四人の少女たち。

 灰色の平地から転移した先にあったのは、見渡す限りの緑の大地と、青い空だった。その景色に強く驚いたのは、見覚えのある景色を見たシンヤではなく、見たことのない景色を見た四人の少女たちのほうであった。「かつてこの地は緑の大地と青き空の下、色彩豊かな世界であった。だが混沌種によって世界は灰色に沈められ、純然種は苦しめられ続けている」。それが、生まれた時からの少女たちの常識であり、少女たちが生まれる前からの、純然種(にんげん)の常識だった。

 例えば、混沌種がこの豊かな自然を独り占めしているだとか、純然種から奪ったものだとか、そういった仮説はいくらでも立てることができる。今もなお混沌種、目の前に居る血色の軍服を着た少女や、丸太のベンチに座る彼女に寄り添うように丸くなっている、小さな白兎でさえ警戒対象である少女たちには、そうすることもできた。

 しかし、少女たちは高位の魔法を扱い、それでいてただ力だけを伸ばしてきたわけでもない、人間の中でも優秀とされる人材でもあった。だからこそ、見抜いてしまった。見抜けてしまったのだ。大きく広がる緑の大地には、今や絶滅が危惧されている種類の精霊の気配で溢れていた。精霊は自然から生まれ、自然の中で生きる存在だ。荒れ果てた灰色の大地からは、暗く陰気な灰の精霊ばかりが生まれる。だがこの地には見慣れた灰の精霊の気配がほとんど無く、晴れやかで瑞々しい気配で満たされていた。

 加えて、遠くに見える緑の山から上に広がっているのは、見慣れた灰色の空だ。青空は上空に発動し続ける魔法が、灰色の雲を押し退け続けて維持していた。仕組みとしては、実にシンプルで、それが可能かと言われれば至難の業。だが、それを実現しているこの、混沌種の国は……

 その名を、"鶴ノ国(つるのくに)"と呼ぶことさえ、純然種の国であるザストゥバ・エルフェネテーア・カール・ウズ・セテルエルタ王国、即ち"王国"が知らないことであった。


「この世界の魔法にはルールが無い。単なる意志が精神を糧に現実へと転化される。実に素直に、それでいて愚直に。もっとも、相応の手順を踏まねば発動はしないが」

「聞いたことがあるよ。祈りや願いじゃなく、命じないと発動しないって。なあキリエ、そうだったよね?」

「えっ?――あ、そ、そうね」


 突然に話を振られた少女たちの内の一人が、慌てて肯定する。なーに慌ててるんだと他の少女たちにからかわれる様子を見れば、ユイも多少なり安心できた。純然種……人間に残されている、混沌種、即ち亜人との歴史は、あまりにも亜人を悪し様に罵る形で伝えられている。混沌種の地に残されている歴史とは、全く別の物語と言えるほどの相違であった。それゆえに、どれだけ懐を開いても、あるいはもてなそうとしても、信用されずにトラブルに発展することが多々あったのだ。過去にあったそれらの事例に比べれば、今回は最高の状態で話ができると言っても過言ではない。それは偏に、少女たちの純然種としての教えなどよりも、このシンヤという少年との関係を大事にしているという現れだ。

 だからこそ、状況が最高であっても、慎重に話をする必要があった。

 ――のだが。


「シンヤ君、日本に帰りたいか?」

「えっ?」

「帰れるぞ。シンヤ君が望むなら、仲間の子らと一緒にでも。更に望むのなら、君たちが持つ力が向こうでも扱えるようにすることも」

「ちょ、ちょっと待った!!」


 面倒くさがって説明を大幅に端折ったユイに、シンヤは一発で音を上げた。面倒くさがっている、というのは彼女の表情を見れば、こちらも一発で判明したからである。少女たちも開いた口が塞がらない様子だが、ユイはそうなる理由も知っていた。日本から召喚される者は、「混沌種の滅亡と共に、帰還の魔法陣が復活する」と教えられることを知っているからだ。シンヤも同様のことを言われていると断言できる程度には、見識もある。まあ調べた結果、帰還の話自体が真っ赤な嘘だったのであるが、今のユイにとってはどうでもいいことだ。


「亜人の滅亡が魔法陣復活の鍵という話は嘘だ。……いや、まあ試しに絶滅させてもらっても構わんが、私たちは抵抗するから確認するのは無理だろうな」

「はあ!?――い、いや、そうじゃなくて」

「つまり、帰せる。送れると言うべきか。どっちでもいいな。あっちにそのままの力で戻ったら色々とんでもないことになりそうだが、そこは私の知ったことではないし」

「勢いだけで押し切れると思わないでほしいんだけど!!最初から説明してくれないかな!?」


 シンヤの叫びに対し、ユイは面倒だからと「ブラック」の名を呼んだ。白兎がユイの帽子の上に乗ると、紳士ボイスがシンヤたちに丁寧な説明をする。細かい説明は白兎からも省かれたが、どうやら血色の少女……ユイの開発した魔法は、シンヤたちや純然種の国……"王国"が研究し続けている魔法体系とは全く別のものであるようだった。仲間の少女たちが、そんな魔法が作れるなんてと驚き通しであったことも、その証明となった。

 結果として、特定の存在を、特定の次元、特定の場所、特定の時間に、送ることが可能なのだという。それもなんと、ユイ自身が実際に飛んで試したと言うのだから、シンヤたちの驚きは最高潮だ。なぜそのまま帰らなかったのかと聞けば、「色々あって」としか返って来なかったので、まあ色々あったのだろうと、シンヤは聞かないことにした。シンヤ自身にも、心当たりがあったからでもある。


 さて、シンヤは考える。この世界に来てから……無理矢理連れて来られてから、三か月と少し。日本に居た時も、高校生としてそれなりに充実した生活を送っていたシンヤだが、この世界に来てからはそれを上回る濃密な忙しさ、慌ただしさがあった。それらは大半が楽しいことではなく、どちらかと言えば召喚者……純然種の王たちによる無理強いばかりの苦しいことだらけであったが、その結果として、かけがえのない四人の少女たちとの絆を得てもいた。

 だから、だ。帰るか?と問われても、その答えは否である。

 そしてそれよりも、シンヤは別のことを考えていた。それは、この場の緑豊かな大地を眺めていて気付いた、小麦色の畑らしきものであったり、森らしき濃厚な緑色であったり、まあ、それらである。


 この世界は、シンヤが見てきた創作世界の中では、退廃的な世界観を持っていると言えた。と同時に、本格的なそれらの世界に比較すれば、ずっとましなほうとも言えた。死んでいく世界とは断じて違う。まだ滅びず、そして明確な復活の手段があり、これからどうにでもできる世界。その根源にあるのが、魔法だ。

 この世界の魔法の仕組みはルール無用と言っても良く、エネルギー源である魔力さえあればあらゆることが可能となる。無論、大規模なものや細かいものは相応に技術や頭脳が必要になるが、可能であるという希望の前には些細な障害だ。例えば、死者の蘇生。体の損傷を治療した上で、抜けかけた魂を特定の場所へと定着させ、体を生存状態へと戻すことで、死者の蘇生が可能である。例えば、特定の物質の生産。これはもっと単純で、発動式と魔力さえあれば、水であろうが金属であろうが、何も無いところから無尽蔵かつ、何の難点もなく生産し続けることができる。まさに夢の世界だ。むしろ日本……地球よりも圧倒的に良い環境であると、人によっては言えたであろう。

 しかし同時に、日々食うに足る魔力自体を生産、または補充できない者にとって、この世界とはどうにもできない衰退世界でしかないのも、また事実であった。日本には、日本の中で生活を保証するための様々な制度がある。決して完璧とは言えないが、あることに違いはない。そしてそれらは、王国には無いものだった。利益を上げる魔法を扱える強者が輝くのに対し、弱者は自身の生活の維持すらままならない。弱者であることが悪いと言う者もいるだろうが、これは逆説的な結果なのだ。成果を出すことができないから弱者であり、強者は自身の立場を守るために、成果への道筋を秘匿する。これ自体は自然なことと言えるし、例え弱肉強食の世界であっても、それが社会として成り立つのであればまだ良かった。

 だが王国の現実は、強者は魔法を扱い利益を得るため、労働力を弱者から得る必要が無い。強者個人としての利点が無ければ、わざわざ弱者を囲い守る必要も無い。制度として強者の権益を弱者に分け与える行為にしても、強者に利点が無いのだから起案されるはずもなく、そのような起案自体が逆に強者を敵に回すこととなる。その上、そもそも政治権力が強者の持ち物なのだ。即ち、誰も弱者を守らない。王国においては、弱者は野垂れ死ぬのが常識なのである。

 この事実は、日本で生まれ育ったシンヤにとっては大きな衝撃だった。可能な限りの施しなども、弱者の絶対数を考えれば焼け石に水どころか、噴火口に霧吹きでしかない。シンヤたちとて、無尽蔵に食糧を生産するほどの能力を持つには至っていなかった。召喚された際に神からのチートを受け取ったシンヤと、王国でもトップクラスの魔法使いである、四人の少女。彼らの力は圧倒的であると同時に、五桁を悠々と越える飢餓対象を救えるだけの力には、到底及ばなかったのだ。

 つまり、だ。


「なあ、ユイ。ちょっと提案があるんだけど」

「んー?言ってみろ」

「王国とさ、貿易、してみないか?」


 シンヤの身内側から驚きの声が再び上がるが、シンヤがまずは聞くよう促せばすぐに大人しくなった。ユイも特に話を切り上げることはなく、黙っている。説得は難しそうだなと考えつつも、しかしこの場は極めて大きなチャンスだと考えるシンヤは、穏やかに深呼吸をして思考を整えた。

 シンヤの目的は、王国で飢えている人々の救済だ。それには莫大な量の食糧が必要で、王国で用意するのは至難の業である。自前の生活以上に魔法が扱える者は、基本的に利益を上げて贅沢をすることに執心しており、弱者のために食糧を生産しようなどとは考えない。ただ、そのような常識の中でも変わり者は存在し、自身の倫理のために施しを行う者もいるにはいるのだが、実際のところ食糧の生産自体が、"それなり"に魔力を食うのだ。個人の力では十数人程度が限界で、そういう意味でなら、自宅の管理や世話などを任せる形で、人を雇っているところがほとんどとなる。

 シンヤにとって、王国に農産業がほぼ無いこと自体は、さほど疑問には感じていなかった。何しろ灰色の雲に覆われた空からは太陽の光が注がれず、水も汚れたら汚れっ放しで、雨は粉塵をまといとても飲めたものではなかったからだ。同じ理由で、畜産業や水産業も存在していない。よくこれで生活ができていると、来てすぐの頃は思ったものだ。とは言え時間が経つにつれ、シンヤはこの世界での生活を理解していく。この灰色の世界を、緑が育つ地に変えることが不可能だからこそ、このような生活になっているのだ、と。

 だが、この地を見たら話は変わる。こんな風に緑の大地と青い空を取り戻せるのであれば、話は別だ。王国もここと同じように復活させたいと、シンヤは思う。そのためには、何はともあれ人手が必要となる。土壌・大気・水の洗浄は、魔法を使えば容易であるが、魔力の絶対値が明らかに足りない。しかし、シンヤには日本で得た知識がある。下水処理場や、土壌の改善手法、空気清浄機など、システムや機械であれば、作ってしまえば後は管理する人手の問題が残るのみ。その人手を雇うために足りなかった食糧を、この鶴ノ国から調達することができたなら、シンヤの夢は夢に留まらなくなるのだ。


 考えながらゆえに拙いながらも、シンヤは自分の意図を必死に伝えた。四人の少女も、血色の少女も、白兎(ブラック)も黙って聞いていた。話を終えたシンヤ自身も解決できていない問題は、王国から支払われる対価と、輸送の手段だ。即ち"魔物"への対処である。シンヤたちが護衛に付くとしても、輸送隊が一隊ずつとなり非効率的で、増やせないことが難点だ。しかし王国から腕利きを雇うとなると、必然的に鶴ノ国の近くに腕利きが立ち寄ることになり、人間が教わっている思想を考えるに、悪手となる可能性が高い。同じ理由で、亜人の護衛を雇うというのも難しい。

 しかしこの問題について、なんと白兎(ブラック)から援護が放たれた。召喚と送還を使い分けることで、王国の特定の地点から、鶴ノ国の特定の地点との送迎が可能である、と言ったのだ。なるほど確かに、"特定の地点"は転移の情報として必要なもの。つまり王国に待機所を作り、鶴ノ国から定期的に転移させ、食糧を積んだ後に王国の出口側に送れば良い、というわけだ。これならばそもそも護衛が不要となり、安全性も確実である。ユイも「まあ構わん」と言ったので、シンヤは次の問題へと移る。


 最後の問題は、対価である。鶴ノ国の食糧事情も、かなりの余裕こそありはしても無限ではない。金銭でと言っても、鶴ノ国には通貨の概念が無かった。何より一切の交流が無い間柄なので、物々交換にせざるを得ないと予想できた。しかし王国での様々な産品を、白兎(ブラック)は次々と却下していく。技術や知識にしても、思い付く限りのものをシンヤは、そして四人の少女は語ったが、その全てが白兎(ブラック)によって却下されてしまった。白兎(ブラック)がはっきりと物語ったのは、まさに今シンヤの目の前に居る血色の少女、ユイによって鶴ノ国は創設され、そしてユイのためだけに鶴ノ国は存在しているのだそうだ。有無を言わせない究極的な独裁政治である以上、ユイの意志を汲んだ白兎(ブラック)の許可が無ければ、道理が通っていようがいまいが話は通らない。

 そして追い打ちをかけるように、ユイはシンヤに現実を突き付ける。


「シンヤ君は、王国と鶴ノ国で、対等な取引ができると考えているようだが。私はそれが疑問でな」


 これにはシンヤをはじめ、四人の少女もそれぞれ顔を見合わせ、疑問符を浮かべた。取引とは元来対等なもので、商品と対価の釣り合いは王国でも基本的な概念だったからだ。

 しかし、彼らは失念していた。


「鶴ノ国、……いや、混沌種が、この世界を灰色に追いやったのだろう?

 その混沌種から、食糧を"恵んでもらう"代わりに対価を払う?

 "そんなこと"、純然種が受け入れると思っているのか?」


 ――考えるまでも、ない。

 なぜ自分たちを灰色の世界に追いやった者たちと、対等な取引をしなければならないのか。

 元凶は混沌種なのだから、混沌種は純然種に償いをするべきではないのか。

 否、それは当然のことだ、と。


 流れるように、王国の人々の思考が読めた。

 否定の隙など一切与えられず、確実にそうなるだろうと断言できた。


「……まあ、そういうわけだ。計画は面白かった。日本の話ができたのも楽しかったぞ」


 シンヤはユイが話を切り上げるのを黙って見ているしかなかった。四人の少女も同様で、こちらはシンヤの役に立てなかったことを悔やんでいるのであろう、それぞれに自責の表情が浮かんでいた。


「今はあまり多くないが、確か300トン程度の食品備蓄があったはず……」

「980トンだ」


 白兎(ブラック)が訂正した数字を聞いて、すぐさまその量を想像できる者はそう多くないだろう。シンヤもまた、980トンってどれくらいだろうなと思った。物凄く多いように思えるが、どの道商談は失敗したのだから、そんなことを聞いても何の意味も無い。義務だったわけではないが、望みであったがゆえにより強く胸が痛んだ。

 シンヤが持つチートは、身体強化、言霊、古代魔法と、細かいものが複数……

 結局、自分は戦い以外に何の役にも立てないのか、と。……その戦いですら、ユイたちに負けてしまっているのに。

 そして、そんな風に自分を責めるシンヤに、呼応するように少女たちもシンヤを見た。何もできなかったのは、彼女たちとて同じこと。戦い以外に役に立つと言っても、例えば食糧を創り出すと言っても、100人分は間違いなく賄えない。人間としては超人的な魔法使いであっても、万を超える飢えた人々を助けたいと願う、シンヤの助けになるにしては、あまりに小さな力だったのだ。


「そうか。シンヤ君、アイテムボックスか無限収納か異次元空間か、まあ何か収納系の法則外技能(スキル)を持っているだろう?全部詰め込んで持って行くといい、多少は足しになるだろう」

「は?」


 落ち込んでいたシンヤに、とんでもない話が降りかかってきていた。……少なくとも、シンヤにはそう思えた。


「ユイ、水も持たせてやらんか」

「ああ、そうだった。……面倒くさいな。ブラック、手配しておいてくれ。

 シンヤ君、悪いが容器はなんとかしてくれ。ああ、貯水槽ごと持って行っても構わないぞ」

「は……?」


 四人の少女も、自分の耳を疑った。何百トンという食糧、そして水を、あっけらかんと軽く渡す。それはシンヤにとって、そして少女たちにとって、極めてスケールの大きい話だったのだ。


「え、い、いや、ユイ。そんな大量に、え?冗談か?」

「シンヤ君、君の考えに私は賛同し、私は私のできる限りの協力をする。

 …………。面倒くさい、ブラック」

「お前という奴は……まァ、いい。シンヤ、お嬢さんたちもよく聞いておけ。

 1000トンの食糧と3000トンの水を用意するが、俺様たちにできるのは"それだけ"だ。

 どうも勘違い……違うな、良く知らないみたいだから説明しておくぞ」


 まさかの協力に喜ぶことも忘れたシンヤだったが、しかし白兎(ブラック)の説明を聞けば、自分たちがどれだけ夢物語を語っていたのかが、明確にわかった。

 仮に人間一人が、一日に1キログラムずつの食糧と水を消費するとする。1トンで千人が一日を過ごせる計算になる。10トンで一万人である。飢えている人々は万単位であり、一日に数十トンの食糧と水が消費される。……即ち、1000トンの食糧は一か月程度しか持たない計算になる。

 加えて、万単位の人間に対し、シンヤたち5人でどうやって食糧を配るのか、という難題も発生する。一人に対して10秒で渡したとして、5人で一万人に渡し切るための時間は5時間半以上にも及ぶ。一万人で5時間なのだ。短縮のために数日分を一気に渡すとしても、強奪などが発生する可能性があり、逆に治安の悪化を招きかねない。

 問題はまだある。人々を集める場所、宣伝方法、受け取る人々の移動手段、水に関しては容器をどうするかという問題もあった。

 シンヤたちが途方に暮れるのも、無理はないだろう。大勢の人を助けることは、例え圧倒的な力を以てしても、難しいことなのだ。

 だからこそ、と白兎(ブラック)は前置きする。


「シンヤ、味方を作れ。一人でも多く、それでいて信頼できる味方を増やすんだ。

 人助けには何より人手が要る。味方を作り、お前の信念を教えるんだ。その味方が更に味方を作り、その信念を受け継いでいくように。

 ユイが渡すものはただばら撒くのではなく、お前の味方のために使え。……この辺のやり方は人によるか。正解のある話ではないからな、後は自分たちで考えたほうが良いだろう」


 それは、難しいことだった。単純に、やったことも教えられたこともないこと。それでいて希少なものを探せと言われたようなものだ。王国でさえ、シンヤが信頼できる人材などそうそういない。仲間の少女たちにしても、色々あって孤立したりしていたからこそ、シンヤは自分の懐に入れることで守っているのだ。信用できる味方。あまりに難しい注文だった。だが、やらなければ道も拓かれはしないと、重々理解もしていた。


 胃に穴が空きそうだなと思うシンヤは、ふと耳に入った聞き慣れない音に誘われ、空を仰いだ。太陽が輝く青空には、小さな影がひとつ。鳥……にしては大きい何かが近付いて来ているのが見えた。正面から見れば普通の純然種(にんげん)だが、違った。背中から雀を思い起こさせる茶と白の翼を生やした亜人は、数秒の後に傍に降り立つと、肩掛け鞄から白い封筒を取り出し、シンヤに差し出した。

 ――シンヤに、である。


「え、俺?」


 こくりと頷く鳥人から封筒を受け取ると、すぐさま大きな羽ばたきをし、飛び去って行く。どうやら魔法を交えて飛んでいるらしい鳥人を見上げつつも、興味はすぐに渡された封筒へと移った。真っ白な封筒には、血色の――一本の木を象った紋章の封蝋がしてある。「カツラギシンヤ宛」と書かれてはいるのだが、どこか開けるのに躊躇してしまうものであった。


「その封蝋は、この鶴ノ国のユイ個人を指す紋章だ。

 ユイ、……ユイ?……寝てやがる。添い寝役が居ない時に寝るなと何度言えばわかる、ユイ。おい起きろ」

「ブラック……さん?――これは」


 疑問を呈したシンヤに、白兎(ブラック)はにやりと笑いかけたような気がした。

 兎の表情などシンヤにはわからなかったが、なんとなくだ。


「お前と同じようなことを言い出した"ニホン人"は、実はお前で24人目でな」

「……は!?」

「どいつもこいつも化け物じみた能力を持ちながら、中身は困窮した人間を助けたい、見捨てられないっていう偽善の塊な連中だ。お前と気が合うこと間違いなしだろうよ。

 何か困ったことがあったら、その封筒の中身に書いてある奴らを訪ねるといい」


 繊細な白い毛の前脚で、俯く……寝ているらしいユイを何度か叩きながら、白兎(ブラック)は「話は終わりだ」と切り上げる。その言葉に呼ばれるかのように、ユイの背後に二足歩行の虎……黒い軍服を着た虎が現れた。転移して来たようだ。

 ユイに用事かと思いきや、虎はシンヤたちのほうに歩み寄り、手の平を差し出す。橙色と黒の虎柄の毛と、丸く切られた爪。少々黒ずんではいるが肉球……肉球……


剛沙(ゴウシャ)だ。まずは飯と水を渡すが、異存ないか?」


 収納に関するチート持ちであったシンヤは頷きながら、恐る恐る肉球に触れると、「お前たちは大体そうするな」と虎は笑った。仕切り直して握手をしたシンヤは仲間の少女たちを促して虎について行った。

 この後、彼らは鶴ノ国の人々の暮らしを見ていった。良くも悪くものどかな農村にしか見えない鶴ノ国には、王国の教育では混沌種で一括りになるが、様々な種族が穏やかに、かつ楽し気に暮らしていた。現代日本とはさすがに比較にならないながらも、中世よりはずっと近代的な王国との技術差、文明の差はある。しかし人々の活力はあまりに高く、陰鬱なスラムが大半を占める王国とは比較にならなかった。落ち着く暇は良い意味で与えられず、精霊の加護を加えた料理に舌鼓を打ったり、シンヤが"おばあちゃんの焼きおにぎり"に涙を流したり、少女たちがシンヤとお揃いの学生服を着てはしゃいだりと、とにかく楽しんだ。

 鶴ノ国には、王国には無い余裕があると、シンヤは感じた。そして、いずれは王国をこの鶴ノ国のような、穏やかで、それでいて豊かな国へと変えてみせる、と。

 そう決意を新たにして、転移して行った。


 剛沙(ゴウシャ)は思う。彼らの行く末には数多の苦難が待ち構えていると。

 こうして送り出した"ニホン人"は、シンヤで24人を数える。だが、王国は未だに彼ら、異世界から召喚した人間が法則外技能(チート)を与えられることを利用して、亜人を滅亡させようと彼らを送り込んできている。23人の彼らは誰も彼もが圧倒的な力を持っていたが、それでも、王国を変える程には至っていないのだ。

 ……しかし、まだ終わりと決まったわけではない。

 諜報員の報告によれば、少しずつだが変わりつつあるという話もある。集団で"会社"を立ち上げた人間たちの話。"料理"で経済の活性化に成功したという話。決して諦めることのない彼らが居る限り、いずれ必ず、純然種と混沌種の平和は成り立つであろう、と。


「……間に合うと良いがな」


 誰も居なくなった転移機に背を向けると同時に生まれた囁きは、誰の耳に入るでもなく、この世界からは失われたはずの、色鮮やかな空に溶けていった。





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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです。 一見すると、勇者側が正しいように見えて実は体制は末期状態。 敵対する側と協力して少しずつ良くなるかも、という将来に向けての少しの希望があるというのは救いですね。
[一言] すごーく好きな作風です。 他には書いてないんですか? おもしろかったです( ´艸`)
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