人間好きな人魚も種族差には悩む
きらきらピラピラしたものが好きなのは、もはや本能としか言えない気がすると、叔父が言っていた。
ピラピラしたフリル
きらきら光る金貨
ちょっと熱帯魚たちと似てる気もするが、まぁ気のせいだろう。あいつらといると目がチカチカして疲れるから。
「アイーシャ、またそこにいるの?」
「……アイーシャはいませーん」
「……こらこらこら」
この隠れ家を知っている友人が、また今日も来た。
彼女の尾びれはとっても綺麗。
絶妙なカーブと、その長さが知人の中ではトップクラス。特に晴れた日に泳いでる姿は本当に夢のよう。ひらひら光を弾きながらたなびく優美な姿を一目見ようと男共がこっそりそこらの岩陰に隠れているのを私は知っている。
「アイーシャ、そろそろご飯の時間なんだから、諦めて出てきなさいよ。おばさんそろそろ怒るわよ?」
この趣味に囲まれた空間から出なくてはならないなんて、なんて苦痛なのか。
だが、食事なら仕方ないか。我々人魚も食べなければもたないからね。
「……あんた、なんで巣穴から出て来るだけで"ドヤ顔"なのよ」
「………!!!!メ、メ、メチル!!!!」
思わず飛び出して友人の手を握ってしまったのもしょうがない。
「あんたもついに!人間の言葉を使うように!」
目をキラキラさせてメチルを褒めちぎったのに、当のメチルは呆れ顔。
「あのね、あれだけ聞かされてれば一つくらい使えるようになるっての。全く……なんであんたは人間の男が好きかねー。それさえなければ、うちの群れでもモテるのに」
はぁ、とため息を吐くのもなんだか人間臭い!もー、メチルったらいつの間にそんなに学習したの!?
でも、この趣味は誰がなんと言おうと譲らないけどねー
「メチル……、わかってない。わかってないよ!男は男臭いのがいいのよ!あの盛り上がる筋肉!迸る汗!人魚族のなよなよした男なんで、お呼びじゃないのよ!」
そう!
人魚族の男のモテる基準は、いかに美しいか!髪とか女より長いし、綺麗だし。肌なんて、なんであんなに綺麗なのか意味不明。筋肉は程よく。盛り上がりすぎちゃいけないのよ。人魚族の男の秘策とかあるのかしら。
とにかく!
男は、人間の男に限る!
「……また自分の世界に入ってる。はあ、おじさんも大変ねぇ。今朝見たらまたお見合いの連絡が山のように来てたみたいだし……いつになったら現実を見るのかしら」
メチルがこんなことを言いながら、大きな溜息をついた理由を、この時私はまだ知らなかった。
種族の壁はまだ厚い!!




