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新/049/最悪の始まり・2

 ──黒色のローブを纏った人影が、二百に上る死体の山に近づいていく。

 人影は小学校低学年くらいの背丈しかなく、ブカブカのローブを引き摺っていた。


 死体の山の前で足を止めると、ローブの中から白骨で出来た短杖を取り出した。

 不気味な程白い短杖は、禍々しいオーラを放っているかのようで、まともな人なら見るだけで怖気が走ることだろう。


 黒ローブは短杖を取り出した後、キョロキョロと不安げに周囲を見回し誰も居ないことを確認。そのしぐさから、どことなく小心者のような雰囲気を感じとれて、短杖の禍々しさとのギャップが滑稽に写った。


 心を落ち着けるように数回深呼吸をしてから、魔法の展開を開始する。

 灰色の魔力光が短杖に集まり、魔法を構築していく。


「──【悪霊の宴(ゴースト・パーティ)】」


 掠れた声で重々しく呟かれた言葉と共に、灰色の光が目の前に積み上がる死体の山を覆う。


 黒ローブは十歩程距離をとって、魔法の効果が現れるのを待った。

 十数秒後、灰色の光が薄れていき、その代わりに黒煙のようなモノが死体それぞれから立ち上がってきた。


 ──悪霊である。


 黒ローブはすかさず展開していた二つ目の魔法を行使する。

 白骨の短杖に集められた灰色の光が、モクモク、ユラユラと舞う悪霊の群れに向かって放たれた。


「──【闇の衣(ダーククロス)】」


 宙に漂い陽光の光を受けて消滅しそうになった悪霊達が、灰色の光に包まれることで陽光から護られる。

 本来は単体に使う魔法だが、黒ローブの保有するabilityによって二百の悪霊全てにかけることに成功した。


 灰色の膜に包まれた悪霊達は、不定形ながら約二百の個となって空中を不気味に浮遊する。


 黒ローブは腰のポーチから取り出した赤色の液体が入る小瓶の栓を開け、口をつけて半分程飲む。酒精の強い酒の味が口内に広がった。

 胃から伝わる熱いものを感じながら、十秒程待つと軽い酩酊感をおぼえた。

 だが酔いと引き換えにMPは回復していく。

 戦闘中にはお勧めできないモノだが、直接自分が戦うわけではないので今回は気にしない。


 靄のように空中に漂う二百の悪霊達に向かって再度杖を向ける。

 回復したMPを使って三度目の魔法を展開した。


「──【憎悪(ヘイトレッド)】」


 この魔法もabilityを使用して効果範囲を広げて使用する。

 生者に使えば状態異常を引き起こす魔法だが、死者に使えば能力値を上昇させる効果を発揮する。現に魔法の効力を浴びた悪霊達は、活発に動き始めた。


 二度のability使用によるMPの急激な減少は、相応の負担となってSPを削る。

 しかしまだ終わりではない。もう一度MPを使用しなくてはならない。


 もう一度腰のポーチから小瓶を取り出して、残り半分をいっきに飲み干す。

 苦味が口内に広がり、二度の摂取で頭がふらつく。


 激しい酩酊の中で魔法は使えないだろうが、今度は自分で使う魔法ではない。

 この白骨の短杖に込められる能力を使用するのだ。


 酔いによって高鳴る鼓動を落ち着け、なんとか働く頭を回し、回復したMPを白骨の短杖に込めていく。


 白骨の短杖が灰色の光を帯びる。

 その短杖を指揮棒のように振るうと、二百の悪霊達がそれに合わせて黒ローブの前に整列した。


 ニヤリ、とローブの奥でほくそ笑む。


「さあ、始めようか──」



 ◆◆◆



「──桃園!!」


 第二応接室から出た雛は、廊下の先から必死に走ってくる三人を見て、心底面倒そうにしながら片手を挙げて吉野の叫びに答えた。

 七海達は応接室に控えている。


 先頭を走る鈴火はさすが全国クラスの運動部だけあってすぐに雛の元に辿り着き、壁に手をついてぜぇぜぇと息を荒げながら雛の背後に隠れた。滑稽な様だ。思わず鼻で笑ってしまう。

 ぐだぐだの富川を引き摺るように走る吉野は、まだ七メートル程前方にいる。


「逃げろ!!」


 吉野の言葉は必死過ぎて情報量に欠如している。

 逃げろと言われても相手がなんなのか分からなければ、的確な判断ができない。吉野達にとっては逃走を選択せざる得ない敵でも、雛達にとっては撃破してしまった方が良い敵かもしれないからだ。


 彼ら三人を追う敵で一番可能性があるのは、オークだろう。それも上位個体。通常個体ならともかく、上位個体はさすがに吉野達では無理だ。

 しかし雛ならば、ソルジャーだろうとメイジだろうと、一対一なら敵ではない。複数いれば話は別だが、その場合は七海とメメと連携すれば問題ではない。

 オークならばここで迎え撃った方が良い。


「オークじゃ──」


「──え??」


 ようやく雛の目の前に辿り着いた吉野が、まともな情報を吐き出す前に、ソレは現れた。


 濁った色の半透明の膜に包まれた黒煙のようなモノが浮いている。

 吉野達の背後から三つ、迫ってきていた。


 浮遊するソレ等には、骸骨に皮だけを貼り付けたような顔が浮かんでおり、泣き声のような、悲鳴のような、呻き声のような、そんな神経を激しく逆撫でする声を発していた。


「………ゴースト?」


 霊感とかに縁の無かった雛は見たことも感じたこともなかったが、ソレを見て頭に浮かんだのはその名だった。


 予想外の敵に思わず呆けてしまう。

 そんな雛の肩に吉野の大きな手が延びて、少し乱暴に揺すられた。


「逃げるぞ!」


 ハッ、と我に帰った雛はその案に素直に従う。

 敵が(ゴースト)ならば、雛もメメも戦力にならない。

 唯一対抗できそうなのは七海だが、未知数過ぎて判断がつかなかった。


「七海先輩!メメさん!に、逃げます!!」


 応接室の扉に向かって雛が叫ぶ。

 予想外な上に自分が無力だろうと分かる敵に対して、恐怖心を痛い程刺激された雛の声は若干震えていた。


「──きゃあああっ!!」


 しかし雛の叫びに反応するよりも早く、応接室の中から七海の悲鳴が響いてきた。

 その声に反射的に雛が扉を蹴破る。


 勢い良く開け放たれた扉から、涙目の七海を抱えたメメが飛び出してきた。

 そして応接室の中を視界におさめた雛が見たのは、廊下の先からゆっくりと迫り来るモノと同じ、黒い靄だった。


「ひいいいいいっ!!」


 鈴火が腰を抜かして反対側の壁にへたりこむ。

 富川は吉野に完全に体重を預けたまま、蒼白な顔を土気色に変えていた。


 やはり実態の無い存在らしく、にゅっ、と壁をすり抜けて霊が顔を出した。

 その骨と皮だけのような顔が、ニタリと不気味に笑う。


 この場にいる六人の背筋に、激しく悪寒が走った。


 廊下の先からも三体の霊が迫る中、応接室の壁から顔を出した一体は、メメと彼女に抱えられた七海に向かって骨と皮の手を伸ばす。


「っ!?」


 メメはサイドステップで避けようとしたが、足に鈴火がしがみついており、動けなかった。

 七海だけでも助ける為、雛の方に放り投げようとした瞬間、


「ま、ま[マジックアロー]!!」


 七海が杖に込められた魔法の力を行使していた。攻撃しようとしたというより、恐怖による条件反射のような感じだ。

 今の精神状態だと自身の魔法は使えないが、アイテムに込められた魔法は別だ。MPさえ流せば使える。


 サファイアの矢は三つともゴーストに突き刺さり、黒い靄を蒼色の閃が引き裂いていく。

 骨と皮だけの手も顔も矢によって貫かれ、宙に黒い靄を散らす。


『ォォォォオオォォオオオッ!!!』


 不気味な声はさっきのような生者の恐怖を煽るような声ではなく、純粋な悲鳴に聞こえた。

 それにより雛もメメも思考をなんとか取り戻す。


「七海先輩ッ!!」


 魔法が有効だと分かった。それも威力の低い[マジックアロー]だけでも相当効く。

 ここは彼女に頼るしかない。


 ぎゅっ、と目を瞑っていた七海がその雛の声で怖々と目を開き、目の前で苦悶の悲鳴を放つゴーストに驚く。


 七海が状況を呑み込む間、廊下の先から迫ってきた三体が雛や吉野達に襲いかかろうと手を伸ばしてきた。

 吉野は富川と二人で転がるようにその手を回避し、雛は危なげなく回避し、そのままメメの足に抱きつく鈴火を引き剥がす。

 文字通り足手まといが剥がれたことで、メメが何時でも逃走できるように位置を変える。


「七海先輩!お願いします!!」


 必死な雛の叫びにようやく理解が追い付いた七海は、抱えられた状態で苦悶を浮かべるゴーストへ再び[マジックアロー]を放った。


 さっきより薄れていたゴーストは、再び放たれたサファイアの矢に貫かれる。しかも矢はそれだけでは終わらず、吉野と富川に襲いかかろうとしていた三体へと貫通していった。


『『『『アアァァァアアアァァァァアアアアッ!!』』』』


 不気味な悲鳴が合唱となる。計六本の矢に貫かれた個体は黒い粒子となって消滅し、二つの袋を落とす。後ろの三体も一本ずつとはいえ魔法に弱い為にそこそこのダメージを負い、悲鳴を上げて吉野達から離れた。


 その隙に吉野達は半ば転がるように雛達の方へと逃げてくる。

 七海は自分の能力が有効だと確信し、なんとか魔法を使える状態まで心を落ち着けた。


「【弱電撃(スタン)】!&[マジックアロー]!!」


「【水球(ウォーターボール)】!!」


 七海が細い電撃と三つの矢を放つのと同時に、腰に挿した短剣からも魔法が放たれる。

 実は襲われた時から短剣は魔法を展開しており、マントの中では魔力光が輝いていたのだ。


 電撃は左の一体へ、サファイアの矢は真ん中に三本共命中する。短剣が放ったバレーボールサイズの水の球は、残る右の一体へと直撃した。


『『『オオオォォォォオオオオオオォォッ!!!』』』


 左の一体は電撃の直撃により消滅。二つの袋を落とす。

 真ん中と右は悲鳴を上げているが、未だ残っている。

 その残っている二体に向けてだめ押しとばかりに、白い杖から[マジックアロー]が放たれた。


 真ん中の個体に二本、右の個体に一本飛んでいく。

 サファイアの矢が黒い靄を引き裂き美しい閃を刻む。

 その美しき矢によって短い悲鳴を上げ、残りのゴースト二体は二つずつ袋を落として消えていった。


 しばし沈黙が流れる。

 誰かの唾を呑み込む音が廊下に反響した。

 そして数秒の時間をおき、


「「「はあああああぁぁぁ」」」


 雛、メメ、七海の三人は一気に脱力する。

 メメは七海を下ろし、七海は杖に体重を預けてふらふらと立つ。雛は壁に体を預けて、額に浮かんだ汗を着流しの袖で拭った。

 未だ恐怖が抜け切らない吉野達は表情を強張らせているものの、次第に顔へ血の気が戻ってきていた。


 SP的には問題ないはずなのに、雛もメメも七海も呼吸が荒い。

 それだけ敵に対する恐怖心が強かったということだ。


 ──ここにいる者は知らないが、ゴースト系のモンスターには【恐怖の波動】というabilityがあり、生者に対して硬直や恐慌、気絶等のバッドステータスを与え易くなっているのだ──


 ゴーストのことを頭から追い出して、七海は活躍した短剣の柄を撫でながら、労いの言葉をかけた。


「ありがとう」


「なんのなんの!お安いごようです、姫!!」


 短剣は嬉しそうに声を上げる。

 調子にのってるとメメが睨んだが、活躍したのは本当なので口を挟むことはなかった。

 ちなみに、甲高い声がどこからともなく発せられたことによって、鈴火と富川が敵だと勘違いしたらしく、短い悲鳴を上げて吉野に飛び付いていた。


 七海は倒した敵の確認をする為、スマホを取りだし起動する。


 《イービル・ゴーストlevel1撃破!!

 exp:25

 bonus:

 total-exp:25》


 level1だというのに通常のオークを凌ぐexpが手にはいった。

 中々強いモンスターなのだろう。level1で助かった。そして改めてこの【天空珠の白杖(スカイハート・ホワイトスタッフ)】に感謝する。これが無かったら七海は死んでいた可能性が十分ある。

 後──


 《level-UP!!

 level8→level9

 BP10を獲得。振り分けますか?yes/no》


 ──というように、七海のlevelが上がった。

 BPはM-STRへ注ぎ込み、魔法の威力向上に勤めた。ちなみに、前回のlevel-UPの時に、【高位回復薬(ハイ・ポーション)】に必要なVITは上げている。


 七海がスマホに集中している傍ら、メメと雛はドロップアイテムの回収を行っていた。


 金は一体45~50C。ドロップアイテムは死霊石という黒い石だ。【Dictionary】で鑑定してみると、MPを注ぐとゴーストを生成できるらしい。ただしコントロールはできない。

 正直ドロップアイテムは要らないのだが、売った時の値段が気になるので雛のstorageに収納された。


「ん~っ!」


 雛が伸びをした。

 恐怖で強張っていた身体が伸びていき、快感を与える。


「さあ、とっとこんなところおさらば──しま、しょ……う」


「雛?」


「雛さん?」


 本来の明るい笑顔を取り戻し、何気なく壊れた扉から応接室の窓を見ると──


「……嘘、でしょ」


 ──外には、無数の黒い靄が漂っていた。



 ◆◆◆



 ──七海達六人は上階へと駆け上がる。


 増援も補給も期待できない状況で、逃げ場の無い上に逃げるのは下策。

 それに霊体であるがために壁も床も天井もすり抜けてくる相手に対し、屋内での戦闘は不利過ぎる。

 更にはオークの残党まで残っているのだ、ゴースト達に追われながらオークと戦うなど、消耗を早める。

 本来ならば上階ではなく、外に逃げるべきだ。


 ならば何故上に逃げているのかというと、悔しいことにゴースト達に誘導されているのだ。

 体力的及び精神的に若干の余裕がある雛とメメは、その事実をしっかり認識している。

 そしてその事実は、このゴースト達が自然発生ではなく、人為的に産み出され操作されているということだ。


(慎重?……いや、遊んでる?)


 ゴースト達を操っている者の正体を、雛は思い浮かべて首を捻る。

 最初は上へと追いやっているのだから、慎重な奴かと思った。しかし、考えれば否定的な意見が多数上がる。


 雛達を倒すことが目的ならば、下に居た時に数に任せて問答無用で囲んでしまえ良かったはずだ。ゴースト達は透過できるのだから、遮蔽物など関係ない。

 下で囲む場合は外へ逃げられる可能性があるとはいえ、数が百を超えている。七海と短剣が魔法で道を抉じ開けるにしたって限度があるのだから、その数の利で囲んでしまえば物量で押しきれる。

 なのに上階へと誘導してくる。こちらはどんどん逃走不可能になってきているものの、敵にしたら余計な時間がかかる。

 なにか時間をかけなくてはならない理由でもあるのだろうか?それともそんなに此方を警戒しているのだろうか?


(いや……違う。警戒しているなら、どうして昼間に襲ってきた?夜に襲った方が確実なはず)


 そもそも昼間に襲ってきた理由がわからない。

 敵は陽光の下でも活動できる──雛は【闇の衣】を知らない──ようだが、それでもゴーストなのだから夜でも変わらぬ働きができるはず。いや、視界の効かない人間相手ならば、夜に襲ってくる方が断然有利だろう。


 ──敵は遊んでいる可能性が高い。


 もっとも、遊んでいようといまいと、現状では関係ない。悔しいし怒りも湧くが、黒幕の思惑が分かったところで雛達には対処のしようがないのだ。


「【弱電撃(スタン)】!!&[マジックアロー]!!」


 雛が一瞬だけ思考の波に捕らわれていた背後で、メメに手を引かれた七海が奮戦している。


 七海は短剣の魔法と合わせ、十以上のゴーストを撃破することに成功しているが、いっこうに減る気配がない。

 敵が非実体であるが故に、魔法が貫通していくので結構な数が纏めて倒れるのだが、数が違う。

 MPはまだ余裕があるものの、それでも精神的な負担と逃げ続ける肉体的な負担は馬鹿にならない。


(どうする??)


 真横の壁からすり抜けてきたゴーストの襲撃をかわしながら、ダメもとで斬りつけてみる。

 当然の如く手に残る感触は素振りと変わらない。今まで何度も試してはみたが、顔だろうと胴だろうと斬っても無意味だ。怯みすらしない。


「[マジックアロー]!!」


 雛が斬りつけたゴーストに向かって、七海からサファイアの矢が放たれる。

 矢に貫かれたゴーストは、苦悶の叫びを上げながら壁の向こうに逃げていく。


「ありがとうございます」


 お礼を言いながら七海の状態を確認する。

 SPが上昇している為にまだ走れているが、肩で息をしている。

 これ以上逃げ続けるのは難しいだろう。

 打開案を考えねばならない。


 上に行けば行くほど逃げるのは難しい。

 ここで一か八かゴースト達を無視して飛び降りてみるか?

 しかし、窓の外にはゴーストが七海だけでは払えないほど密集している。ゴースト達に触れられるだけでも危険な気がするというのに、身体ごと飛び込むのは危険過ぎる。

 それに外に脱出しても百以上のゴーストに追われる。逃げ場が増えて多少時間を稼げるかもしれないが、体力的に状況は対して変わらない。


(結局、ゴースト(こいつら)をどうにかしないといけないわけなんですよねえ)


「ひいぃぃぃいいいいいいいい!!」


 その時、鈴火がゴーストの手に触れてしまった。

 顔からは血の気が一瞬で失せ、触れられた右腕は痙攣し始める。

 そのまま硬直してしまいゴーストの抱擁を受けそうになった。が、辛うじて七海の【弱電撃(スタン)】が間に合いゴーストが消滅する。


 しかし硬直は解けず、他のゴースト達が鈴火を襲ってくる。

 吉野が富川から離れ鈴火を抱き抱える。襲ってきたゴーストは七海の[マジックアロー]により退くも、まだ消滅しない。


「雛さん!宝箱です!!」


 体力的に危険なゾーンに達しそうな七海を抱え上げたメメが、雛に向かって叫ぶ。

 この状況を打開する方法は、すでに七海の【幸運】しかないと彼女は判断したのだ。


「了解!!」


 雛もそれしかないと、急いでスマホを取り出す。

 その間にもゴーストが襲ってくるが、敵は遊んでいるようでギリギリ七海が対応できる数しか出現しない。

 今はそれがありがたいものの、七海が宝箱を開く時には無防備になるだろうことが予想できる。


(この際、一回二回は喰らってやるッスよ!!)


 内心で恐怖を振り払いつつ奮起し、storageから出した真っ白な立方体を七海に投げ渡す。


「お願いします!!」


Q:『短剣さんの魔法はどれぐらい効くの?』


吸魔の短剣:「level-UP前の姫の[マジックアロー]よりちょい上くらいです!」


Q:『赤色の液体の正体は?』


黒ローブ:「……【高位魔力回復薬】……………あ、アルコール、30%」


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