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26/58

新/020/準備

一番前に、妙な閑話が投稿されています→旧/971。

「長かった……」


 levelを一つ上げるのに、まさか五時間かかるとは。

 途中途中でナナを休めていたとはいえ、もう昼だ。

 オークを十体。倒したのはほぼ全て【暗殺】【瞬殺】bonusが出たというのに……。


 ていうか、未だ住宅街から出られず。

 金と経験値の為とはいえ、午後は少なくとも学校を越さなくては、ペースが遅すぎる。


「少し疲れたッスね」


「ぼくも」


 二人共汗だくで、疲労を顔に出していた。

 ナナは相変わらずの体力の無さに、この暑さ。今日の気温は三十を越えているっぽいのでしょうがない。

 雛の体力の消耗は、ナナより早い。暑さもそうだが、雛は常に素早く相手に近づかなくてはいけない接近戦。ナナや俺とは体力の消費量が違う。その上、武術を習っているお陰で扱いは非常に上手いが、慣れない打撃武器。手に残る衝撃は軽くとも、疲労は積もる。金属バットって結構重いしな。

 二人とも度々休んではいるし、levelも上がっているが、SPの消費は早かった。


「んじゃ昼だし、飯にして休憩」


 寂れたスーパーが近くにあるので、そこまで行って休憩にする。……この辺、スーパー多くない?今は好都合だけど。


 道具屋(スーパー)内部の日陰に腰を下ろし、スマホを操作して入店する。

 rankはG。ラインナップは前の店より酷い。

 とは言っても、あった食品は同じなので大差無いのだが。


 ちなみに、金は今のところ、三人で平等に分配している。

 ドロップアイテムも同様。storageには限界があるので、一ヶ所にまとめると埋まってしまうのだ。


 現在の所持金は三人合わせて、996C/1S=10960円。

 豚肉三十二個を売って1636C/1S=17360円。


「これ、幾らで売れるかな?」


「さあ?」


 俺達はメイジ個体を二体倒した。

 入門書はどうも毎回出るような物では無いらしく、オーク・メイジから出たアイテムは【粗末な灰色ローブ】で、DEF+3、M-DEF+3という性能の品物。


 当初、良いものでは無いが、気休めにはなるからとナナに着せた。

 しかし今日は暑い。そしてローブは意外な事に結構分厚かった。

 オークの様に、下がほぼ全裸なら大した事は無いだろうが、ナナは夏服とはいえしっかり服を着ている。その状態で、分厚いローブは拷問だ。

 結局暑さでSPの消費が早まり逆効果だった。


「75Cか、まあまあだな」


 粗末な灰色ローブは75Cだった。二つで150C。

 メイジ個体がどこかに集中していないかな?


 全部売った結果、三人の所持金1786C/1S=18860円。

 三人で大体均等に割る。俺=596C。ナナ=600C。雛=590C/1S。


 売却と分配を終えて各自で食事を買う。ちなみに最初に買ったビスケットや水は、とっくに無い。

 道具屋にあるのはやっぱり干し肉か、ビスケット。干し芋もある。


 俺はとりあえず、100C消費して水を十個購入。暑いからこれでも足りないかもしれない。

 食欲はそもそも無いが、流石に何か口に入れておかねば。それに、この先スーパーは一応あるが、何処にでもある訳じゃ無い。纏めて買っておいた方が良い。なので、干し肉を五つ、干し芋を五つ購入した。

 これで俺の所持金は、396C。


 ナナは水を十と、ビスケット(6枚)を五つ、干し肉を五つ購入。雛も同じだ。

 ……あのビスケットを良く食べるな。


 全員合わせて600Cも消費したが、必要経費。

 とはいえ、あまり使ってもいられないが。


「先輩、どうするんスか?やっぱ、あいつと戦うんですか?」


 雛がビスケットをかじりながら、俺に尋ねてくる。

 ……まあ、現状金が欲しいしな。

 その為にlevelも上げたし。


「……あの巨猪か?ちょっとキツい気がするんだが」


「いや、ナナ。お前と雛は戦わずに隠れていろ。俺が殺る」


「え!?一人で!」


「そうだ」


 雛なら連れて行けるがお前は無理だ。

 身体能力は上がったが、残念ながら巨猪とは戦えるlevelじゃ無い。

 ナナを一人で待たせる訳にはいかないから、雛もお前の側に残すしか無い。それに流石に雛でも金属バットで対抗する訳にいかないだろうからな。


「むうぅ~」


 不満そうにナナは膨れる。

 あのなあ、お前は魔法を覚えただけで、そこまで強くなった訳じゃ無い。

 今までノーダメージで勝利してきた弊害か、少し自惚れてきたな。そろそろ伸びてきた鼻を折っておかなきゃ、驕りで致命的な失敗をしそうだ。


「まあまあ、自分等じゃ、夜月先輩の足手まといッスよ」


「………まあ、そうだが」


 まだ少し納得していない様だが、俺の実力はナナも十分理解しているので、引き下がる。

 一応、自分が足手まといなのだという自覚はあるようだ。


 しかし、いよいよ巨猪か。

 時間をかける訳にはいかないし、午後には戦う事になるだろう。

 いや、夜かな?もしかしたら、相手は夜目が利かないかもしれないし(望み薄)。それに、あの周囲は人がたくさん居すぎる。昼間にやると、面倒な事になりかねない。

 俺は夜でも問題ないし。


 しょうがない。もう一泊、この辺でするか。



 ◆◆◆



《オークlevel10撃破!!

 exp:15

 bonus:【暗殺+30%】【瞬殺+30%】

 total-exp:24》


《level-UP!!

 level8→level9

 BP10を獲得。振り分けますか?yes/no》


 太陽が西の空に沈んでいく茜色の世界の中、一体のオークが幻想的な光となって消えていく。

 夕日が割れた硝子に反射して、俺の顔を照らした。

 スマホの画面を読み終え、BPをいつも通りに振り分け終わり、俺は西の空を見上げた。


 ………頑張った。俺、超頑張った。

 誰か俺を褒めてほしい。

 誰も居ないけど……。


 未だ住宅街から出ずに狩りを続けていた、俺達。

 だがしかし、午後になって一層増す日差しの影響で、ナナと雛のSPの減少速度は戦闘以外の行動でも増加。昼を一時間半以上休憩して挑んだ午後は、三時間経たずに断念する事になった。


 とはいえ、俺の体力は未だに有り余っている。

 特殊インナープロテクターに特殊ダークスーツを着ている俺だが、暑くとも特に問題は無い。戦闘行為や隠密行動は慣れているし、雛の様に激しい接近戦を演じる事もない。最小限の力での一撃必殺。そんな俺のSPの消費量は、周囲に気を配っていても大した問題にはならないのだ。


 ──ちなみに、俺が所有するability、skillの効果である。


 passive-ability:【超回復】は、SPとLPの自然回復量をVIT10につき、5%増量させる。1自然回復するところ、俺の場合4となる。ちなみに基本的な自然回復速度は、座って休憩している場合、SPとMPは五分で1らしい。


 更に言えば、消費量等には効果的に直接関係ないのだが、tolerance:[苦痛・Ⅹ]で暑苦しく感じるのを、90%カットしていたりもするので、SPの消費量を抑えられたりしている。


 後はskill:気功・Ⅷによって、体内の気の流れをコントロールしているために、回復速度をかなり増幅させている。


 もっとも、一番はskill-levelが軒並み高いので、そもそも行動に対するSPの消費量が少ないのだが。


 ──閑話休題。


 ナナと雛は、今日もうは休まなくてはSPの消費がキツい。

 しかし俺の体力は有り余っている。

 まだ沈むには早すぎる太陽。

 稼がなくてはならない金。


 という事で、安全だと思われる頑丈な壁に囲まれた家の中にナナと雛を休め、その周辺にて安全確保も含めて狩りを行っていた。


 ナナから離れるのはあんまり気が進まなかったのだが、雛というまあまあ使える護衛(たて)がいるし、周囲の安全確保の為に敵を駆逐するのも、それなりに重要だ。


 オーク達の行動パターンを追跡して調べたら、どうも一定の行動範囲がある様だ。縄張りかな?

 屋内に隠れていれば安全、という事は決して無く、五感が獲物を捉えれば、普通にぶち破って屋内に入り込んで来るようだ。後、なんか気まぐれとか、日除けとかでも入って来る。

 だから、休憩する場所の範囲にいるオークは安全の為、狩っておく事が重要なのだ。


 これは余談だが、オークの生態を軽く確認していたら、【Dictionary】で閲覧できるオークの情報が増えていた。俺が今しがた確認した情報が、記載されていた。


《オーク/rankF

 level-average:10

 energy-average[:LP・90][MP・10][SP・80]

 physical-average:[STR・45][VIT・53][AGI・7][DEX・6]

 magic-average:[M-STR・10][M-PUR・5][M-RES・5][M-CON・3]


 豚頭人体の亜人。

 上位個体を除いて知性に乏しく食欲や性欲を剥き出しにする。

 雌が存在しないため、近親種の雌を孕ませる。


 リーダー個体を中心に、十数体以上の群を作って一定範囲内を縄張りとする。

 リーダーの強さや、群の規模で縄張りの範囲は決まる。


 気配を察知する事は出来ないが、嗅覚に優れる》


 レッサーヴァンパイアやゾンビの方は、別に閲覧出来る情報量は増えていなかったので、時間経過で情報量が増えるのでは無く、自分で確認したから情報が開示されたのだろう。

 撃破数かとも思ったが、その追跡した個体を倒したら【追跡+10%】【観察+10%】とか出た。


 まあともかく、一人で安全確保をしつつ金稼ぎと経験値稼ぎをしていたのだ。

 そして現在、ナナと雛を休めてから三時間。日が沈み行く中、午後から数えて十七体目を倒した。


 ドロップした袋を二つを【Item】に放り込み、昼休憩したスーパーに急ぐ。

 ちょっとstorageが一杯になってきた。アイテム売却して、後無くなって来た水も買おう。

 水は各人十個買ったのだが、やはり消費が激しかった。ちなみに塩分は干し肉から摂取している。かなり塩辛いので十分過ぎる量を摂れていると思う。


 現在の所持金は三人合わせて、1845C/1S。

 豚肉22個と、灰色ローブ3個売って、2510C/1S=26100円。


 三人で神殿に一日泊まっても問題無いくらいは稼げた。

 もっとも神殿に一日も泊まる必要は無い。寝る時間と休む時間を含めて、十時間くらい泊まれればいい。それならぶっちゃけ一人200Cで済む。


 拠点として休むなら宿屋の方が良いだろうが、合間で休むなら神殿でもいいか?

 しかし悲しいかな、この辺の神殿=神社って居酒屋の更に先にしかない。来た道を戻らねばならない。

 半野宿を繰り返して、宿屋まで行くしか無いか。ただ、スマホのバッテリーが心配だ。


 さてそろそろ夕日が沈む。

 まだ明るい内に、ナナの所に戻ろう。

 そしてナナを少し落ち着けてから、行くべき所に行くとしよう。


 金はともかく、levelは今日だけで二つ上がった。

 BPのおかげで、結構な力に達したはず。あんまり嬉しくは無いけど。


 体力的にも大した問題は無い。

 傷も無いし、装備もダガーが少し痛んで来たくらいだ。


 俺がこうもlevel上げに腐心してきた理由は、巨猪と戦うため。

 金の為だ。後ついでに経験値。


 結構稼いではいるが、この先の事を考えれば少ない。

 安定的に倒せるオークで稼いでも良いのだが、それだと時間も労力もかかる。


 俺の見立てだと、奴はrankC以上。

 少しは期待して良い筈だ。



 ◆◆◆



《name:神崎夜月/人間

 level:9

 exp:1276

 title:


 energy:[LP・194][MP・95][SP・197]

 physical:[STR・67][VIT・60][AGI・95][DEX・98]

 magic:[M-STR・62][M-PUR・56][M-RES・99][M-CON・51]


 skill:[格闘・Ⅸ][短刀・Ⅸ][暗器・Ⅷ][投擲・Ⅷ][杖・Ⅵ][拳銃・Ⅶ][狙撃銃・Ⅴ][気功・Ⅷ][軽業・Ⅸ][気配察知・Ⅷ][気配遮断・Ⅷ][罠察知・Ⅶ][調合・Ⅴ]


 tolerance:[苦痛・Ⅹ][恐怖・Ⅸ][混乱・Ⅸ][支配・Ⅸ][魅了・Ⅷ][毒・Ⅴ][病気・Ⅴ][雷・Ⅲ][炎・Ⅰ]


 ability:【思考加速】【冷徹】【超回復】【超抗体】【武の力】【頑強】【柔の力】【剛の力】【羽の力】【潜む者】【不眠症】【拒食症】


 party:【NO NAME/3】

 guild:》


《name:西園寺七海/人間

 level:4

 exp:163

 title:


 energy:[LP・25][MP・24/82][SP・9/26]

 physical:[STR・15][VIT・15][AGI・15][DEX・20]

 magic:[M-STR・28][M-PUR・35][M-RES・20][M-CON・35]


 skill:[格闘・Ⅲ][杖・Ⅲ][雷魔法・Ⅰ][罠察知・Ⅱ][気配遮断・Ⅰ][料理・Ⅴ][裁縫・Ⅴ][栽培・Ⅳ]


 tolerance:[苦痛・Ⅳ][催眠・Ⅱ]


 ability:【幸運】【幼き美貌】


 party:【NO NAME/3】

 guild:》


《name:桃園雛/人間

 level:6

 exp:398

 title:


 energy:[LP・84][MP・65][SP・32/93]

 physical:[STR・45][VIT・22][AGI・50][DEX・50]

 magic:[M-STR・35][M-PUR・19][M-RES・36][M-CON・31]


 skill:[刀・Ⅶ][格闘・Ⅴ][棍棒・Ⅰ][気配察知・Ⅴ][気配遮断・Ⅳ]


 tolerance:[苦痛・Ⅳ][恐怖・Ⅱ]


 ability:【武の力】【柔の力】【猫の目】


 party:【NO NAME/3】

 guild:》




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