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18/58

新/012/ようやく

二話同時投稿になります。これは二話目です。


おや?七海の様子が………?

《オークlevel11撃破!!

 exp:16

 bonus:【暗殺+30%】【瞬殺+30%】

 total-exp:26》


《オークlevel10撃破!!

 exp:15

 bonus:【瞬殺+30%】【一撃+10%】

 total-exp:21》


《オークlevel10撃破!!

 exp:15

 bonus:【秒殺+20%】【一撃+10%】

 total-exp:20》


《オーク・メイジlevel13撃破!!

 exp:24

 bonus:

 total-exp:24》


「──オーク・メイジって言うんだな」


 妥当なネーミングセンスだ。本人を魔法使い(メイジ)と呼んでいい力量かはともかく。

 スマホを確認し終えたので、影にいるナナに出てきて良いと合図する。


「夜月!大丈夫なのか!?」


 ナナが若干涙目になって走ってきた。トテトテと。笑える。

 魔法は見た目だけ派手だったので、ナナからすれば心配だったのかもしれない。


「問題無い。特別製のスーツだしな」


 まあスーツ抜きでも問題なかったけど。

 多分だが、オークの魔法使いだったから、この程度の威力だったのだと思う。

 普通のオークの平均magic値は10以下だし。

 メイジでも大差無いはず。……行動不能にして【Dictionary】使えば良かった。


「それより、金とアイテム回収するぞ」


「うん」


 俺とナナはそれぞれ袋が落ちている場所に歩く。

 肉片が散乱している様子にナナは顔を盛大にひきつらせていたが、なんとか耐えている。

 やっぱ慣れないよな。正常な人間の感覚だったら。慣れたら異常なんだろうけど。残念ながら俺には理解できないけど。


 オーク三体は相変わらずの食べたくない豚肉。お金は20ちょっとC。

 三体の合計金額は71Cで、ナナと合わせて所持金合計は833C/2S=10330円。

 ダガーも回収しポケティで拭いていると、ナナの驚く声が聞こえた。


「どうした?」


「よ、夜月、これ!」


 オーク・メイジの袋を回収していたナナは、その二つの袋を俺の方に突きだす。

 金の方は若干だが重く感じられる。もう一つの方は……四角?

 豚肉では無い。四角い箱か何かだ。


 俺はナナの元に歩みより、二つの袋を受け取った。

 袋は紐が外れているので、ナナは中を確認したみたいだ。まあ良いけど。


「本だった」


「本?」


 箱では無く本、か。

 重さはそれなり、辞書くらいあるだろう。


 俺は金の方の袋をナナに返し、本が入っている袋を開ける。

 ……うん、確かに本だった。

 取り出してみる。


【雷魔法入門】


 バリバリの日本語で、そう書かれていた。

 何度も思うが、何故に日本語と英語が入り乱れる?


 うーん。判断がつかない。

 中を見ても、英語でも日本語でも、俺やナナの知っている言語では無い。

 とりあえず【Dictionary】で撮影してみよう。


 ──パシャ


《雷魔法入門書/magic-book

制限:[M-STR・20以上/M-PUR・20以上/M-RES・20以上/M-CON・20以上]

効果:[MPの八割を消費する事で、skill:雷魔法・Ⅰ獲得できる。(一回のみ)]

rank:[C++]》


 つまるところ、魔法が使えるようになるって事か?

 てか、書かれてる内容は特に関係ないの?

 あの魔法使い擬きの手品師の落とし物にしては、随分上等だな。

 とりあえず──


「ナナ、お前が使え」


「え?いいの?」


「スタンガン使えないだろ、今。護身用だ。杖だけじゃ心もとない」


 それに、お前のphysical値だと、オークにすら近づけさせられないからな。

 magic値は優秀だし。全部20を越えているから、制限もクリアできるし。長所を伸ばすべき。

 とはいえ、STRやVIT、AGIは最低15くらいにはしてもらうが。


「分かった。ありがとう」


「まともに使えるようになるまで、身体に仕込んでやるよ」


「……………………ありがとよ」


 何を不満そうな。

 杖術仕込んだ時は、骨二本程度だったろう?

 今回は状況が状況だから、最悪でも打撲程度で済ませるさ。それに実戦の機会は多いしな。


 ナナは俺に金が入った袋を渡し、入門書を手に取る。

 辞書の様な本は、ナナの手には大きすぎて抱えるように持っている。


「ところで、MPってどうやって注ぐんだ?」


「………とにかく感覚的にやってみ」


「……わかった」


 気功とかなら俺でも分かるが──もっとも、ナナに言っても理解も実践もできないだろうが──魔力とかは流石に分からん。てか、何?


 ナナはとりあえず、本に手を抱えたまま、目を閉じる。

 静かに、何かに祈っている様な雰囲気は、ナナの神秘性を否応無く高める。



 ◆◆◆



 ぼくは神に祈らない。

 追い詰められた時だけに神に懇願し、絶望した時だけ神に罵声を吐く事が、なんだか凄く醜く感じるのだ。


 ぼくが祈るとすれば、それは自分自身。

 自らの(うち)に秘める願望に、ぼくは祈る。

 必ず叶うと信じて祈る。

 本を抱えて、目を閉じて、祈る。


 ぼくは夜月に並びたい。

 果てしない空想の彼方にある願いかもしれないけれども。


 強く、強く、強く、ぼくは力を望み、本を抱き締める。



 ◆◆◆



 本が輝いていく。

 その光は、オークが放っていた光がドブの様に感じるほどに、美しい蒼。

 世界中探しても、このサファイアの光に勝るものは、存在しないだろうとすら感じる。


 発光がピークに達した時、ナナを中心とした空中に幾何学的な球状の陣が形成される。

 その陣からは、光と同色のサファイアの稲妻が発生しており、ナナへと吸い込まれていく。

 思わず手を伸ばしそうになるのを堪えて、成り行きを見守る。横槍を入れて、失敗したら嫌だからな。


 蒼の稲妻をその身に受けてもナナに変化は無い。

 ダメージは無いのだろう。

 ナナの顔は相変わらず怖いくらい真剣な表情で、真摯に、切実に、そして強く、力を望んでいる。


【幸運】──ナナはそれを持っているが故に、ここまで切実に力を望むのだろう。


 俺に言わせれば、そんな事考えても意味など無い。

 「幸せ」か「不幸せ」かを決めるのは、結局自分だ。

 一杯の酒の味で満たされる者もいるし、使いきれない大金ですら満たされない者もいる。

 幸運か不運など、考えたところで答えは無数に存在する。


 先程、意図せず囮となった奴等は自業自得だし、俺がお前の側にいるのは、決して護衛だからとかでは無い。


 ナナ、お前は知らないだろうけど、俺は──幸せなんだぜ。


 お前と一緒にいることで、俺は──


 ──その時、光が収まり、展開されていた幾何学的な陣も消えていく。


 神秘的な光は、不思議なことに網膜に残光を残す事無く溶けて消えた。

 今だ目を開かないナナの両腕には、すでに入門書は無くなっている。


「よう、気分はどうだ?」


「……………少しぼんやりしてる」


 MPが八割、つまり48も抜けた影響だろうか?

 外見上の異変は見つからない。


「……うん。何となくだけど、雷魔法が使える気がする」


「ふーん」


 表情には少しの疲れと、やり遂げた爽快感、そしてようやく獲得した力への期待が強く現れていた。

 ま、使えるのと、扱うのは違うんだけどな。

 流石に水をさす気は無いけど、もしもこれだけで強くなったと錯覚するようであれば、状況が状況だが、指導(ボコボコ)にしなくてはならないだろう。


 ナナはスマホをポケットから取り出して【Status】のチェックを始める。

 俺もあまり確認してないし、見ておくか。


《name:西園寺七海/人間

level:2

exp:32

title:


energy:[LP・13][MP・12/60][SP・7/13]

physical:[STR・12][VIT・10][AGI・11][DEX・20]

magic:[M-STR・28][M-PUR・35][M-RES・20][M-CON・27]


skill:[格闘・Ⅲ][杖・Ⅲ][雷魔法・Ⅰ][罠察知・Ⅱ][気配遮断・Ⅰ][料理・Ⅴ][裁縫・Ⅴ][栽培・Ⅳ]


tolerance:[苦痛・Ⅳ][催眠・Ⅱ]


ability:【幸運】【幼き美貌】


party:【NO NAME/2】

guild:》


《name:神崎夜月/人間

level:6

exp:482

title:


energy:[LP・164][MP・74][SP・165/166]

physical:[STR・61][VIT・60][AGI・83][DEX・86]

magic:[M-STR・62][M-PUR・56][M-RES・99][M-CON・51]


skill:[格闘・Ⅸ][短刀・Ⅸ][暗器・Ⅷ][投擲・Ⅷ][杖・Ⅵ][拳銃・Ⅶ][狙撃銃・Ⅴ][気功・Ⅷ][軽業・Ⅸ][気配察知・Ⅷ][気配遮断・Ⅷ][罠察知・Ⅶ][調合・Ⅴ]


tolerance:[苦痛・Ⅹ][恐怖・Ⅸ][混乱・Ⅸ][支配・Ⅸ][魅了・Ⅷ][毒・Ⅴ][病気・Ⅴ][雷・Ⅲ][炎・Ⅰ]


ability:【思考加速】【冷徹】【超回復】【超抗体】【武の力】【頑強】【柔の力】【剛の力】【羽の力】【潜む者】【不眠症】【拒食症】


party:【NO NAME/2】

guild:》


 ほーう。

 雷魔法はしっかり覚えたようだな。

 というか、気配遮断のskillまで覚えてる。確かにここに来るまでに仕込んだけれど、覚えてるとは意外だ。


 俺の方は数値の上昇が中々って事だな。

 しかもphysical値は総合で50上げたから、それなりに実感できる。

 それ以外は特に無い。


「ところでナナ。お前、mailはどうした?」


 あの戦闘中に掛かってきた着信。

 ハッキリ言って、かなり迷惑。

 もしも賢い奴なら、間違いなくナナを狙いに行っただろう。まあ【幼き美貌】の効果が本当ならば、少しはなんとかなるだろうけども。

 音が鳴らないようにするのは、最低条件だよなあ。


「あ、忘れてた」


 ナナの番号を知っているのは、俺と桐原のみ。

 addressをlistに登録すると、名前のみ登録されて番号は表示されない。だから、八桁の番号を記憶していないと、他者から他者に番号を伝える事はできない。

 桐原ならナナの番号を覚えていそうだが、あの性格上勝手に教えるとは思えない。


「光からだな」


「なんて?」


「えーと」


《桐原光:七海、今何処にいるんだ?連絡をくれ!》


「だ、そうだ」


「………とりあえず、【Configuration】探ってマナーにしとけ。返信は……適当にあしらえ。音のせいで敵に感ずかれるから、とか理由書いてmailを控えてもらえ」


「わかった」


 桐原達は未だ学校で存命か。

 まあ、正義の味方はしぶといのが基本だからな。


 学校で思い出したけど、一人だけ使える奴が居たんだよな。

 鬱陶しく俺にまとわりついてきた後輩(ばか)が。


 何考えてんのかイマイチ理解できないけど、あいつなら一緒に行動しても邪魔にはなるまい。

 もっとも、一番は椿ちゃんを含む西園寺のボディーガードとの合流だろうが。

 とはいえ、西園寺の家はここから遠すぎる。ナナのペースじゃどれくらいかかるか分からない。


 ナナがスマホで桐原への返信を行っている傍ら、俺はスーパーの割れた窓ガラスから内部に入り【Shop】を起動。

 豚肉をさっきのを含めて11の豚肉を売却する。

 ここの道具屋も、rankFだな。


 豚肉全部で220C。二人の所持金に合わせて1053C/2S=12530円。

 あ、後入れるの忘れてたけど、オーク・メイジの落とした金額、52Cをプラスして、1105C/2S=13050円。オーク・メイジはオークの倍以上の金を落とすんだな。大差無いのに。一般人にしたら十分強力なんだろうけども。

 売却を終えた俺と、mailを打ち終わったナナは互いに頷いて確認する。

 

 そして二人揃って目的地である情報屋へと、足を進めた。



 ◆◆◆



【NEW WORLD】

 開幕から三時間四十二分──

ようやく情報屋に到着。 

長いですねハイ。

しかしながら、これからも基本こんなペースだと思います。


【幼き美貌】:敵の視界に入っている時、自分に対するヘイト値を下げる。

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